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俺ドライブシュート打てるんだぜ!

金曜日の仕事終わり。


ヴァボボボ


「あ、来た!こっちで〜す」


UTUMIさんの白い車が大きな音で近づいて来る、最近はカローラに乗ってたから久しぶりにあの車見たな。

テンション上がっちゃってる私は良い歳してぴょんぴょんと飛び跳ねて手を振ってしまった。


「お待たせしました諸橋もろはしさん、どうぞ乗ってください」


今日は金髪ウィッグじゃない、素のUTUMIさんだ♡



先日、UTUMIさんがうちの会社に打ち合わせに来た時に、社長にチケットを貰ったものが有ったのでダメ元で誘って見たら、ちょうどその日は空いてたらしくOKしてもらえたのだ。誘っておいてなんだがビックリだわ。


18号線バイパスを走って南長野運動公園へ、ここは野球場やテニス場、プールに球技場と様々な施設が集まっている、そして今日私達が行くのは球技場である長野Uスタジアム、なんかJリーグ?の試合をやるらしい。

私はあまりサッカーとかには興味ないのだが、一応W杯のニュースくらいは見るけど、ウチの会社がここの電気設備工事で参加してるので社長がチケットを貰ったらしいのだ。



屋外看板にはJ3リーグ 長野パルセイロvsザスパ群馬の文字、J3?Jリーグとは違うのかしら?

長野パルセイロ、長野に2つあるサッカーチームの一つ(もう一つは松本山雅:拠点は松本市)で地元長野市を拠点とするチームだ、社長に言わせるとあまり強くないらしく、このところは連敗が続いているらしい、まぁ今日はそんな事はどうでもいいのだ、今日の目的はUTUMIさんとのデートなのだから!

そう思い隣を見れば。


「お、でっかい看板、印刷どこでやったんだろう」


UTUMIさんが口を開けて看板を見上げて呟いていた。

本当にカッコいいな、今日はパンツスタイルで長い黒髪は後ろで三つ編みにしてキャップを被っている、黄色のサングラスがたぶん日本、いや世界で一番似合っている。背ぇ高いし、ちょっと男っぽい所が良いのよねぇ〜。私が男だったら絶対口説いてるわ。


売店で五平餅を買って二人で食べながら歩く、あら、味噌だれが美味しいわ、でも口元が汚れ。


「ハハ、諸橋さんタレがついてますよ、じっとしてて」


あぁ、UTUMIさんそんな優しく私の唇を拭わないでドキドキしちゃう。

スタジアムを左右に見渡せるホーム自由席に座る、周りはパルセイロカラーのオレンジのユニフォームだらけだ、田舎のサッカーチームの割には人気あるのね。(失礼だな)


「諸橋さん、たこ焼きも熱々で美味しいですよ、あ〜ん」


ズキュン


「あ、あ〜ん♡」


UTUMIさんにあ〜んされてしまった。

えっ、このサービスっていくら払えばいいの、カードでも大丈夫かしら?

夢のようなひと時に、ずっとUTUMIさんを眺めてしまう、ノンアルビールなのにもう酔ってしまったわ。


ザワザワ


「ね、ねぇ、あそこでたこ焼き食べてビール飲んでるのって」

「へ、あ、あれってもしかして…」

「キャップにサングラスだけど間違いない」

「あのスターオーラはそんなのじゃ全然隠せていない」


「「「UTUMIだ!!!」」」


「なんか隣のメガネのお姉さんも綺麗だな、脚長いしどっかのモデルさんかな」

「あ、あ〜んされてる、URAYAMA!」

「私もUTUMIお姉様にあ〜んされたい、そしたらもう死んでも良い!」

「メガネのお姉さんめっちゃ幸せそう」

「あぁ、あんなに顔寄せて微笑まれたらキュン死するぅ!」


「「「ヤバい、こっちが気になって試合が見られない!」」」



ねぇ、UTUMIさん、なんか本気で私の事口説いてません、試合全然見てませんよね、そんなに見つめられると顔が熱くなって困っちゃうんですけど。グランドからも観客席からも凄い視線を感じる、これって絶対にバレてますよね。


「すみません、UTUMIさんでいらっしゃいますよね、私パルセイロの広報やってる者なんですけど、お話しよろしいでしょうか」


試合が始まってしばらくして、私たちの所にこのスタジアムの関係者の人がやって来た、あ、この人ウチの会社にも何回か来た事がある。


二人で話を聞くと、どうやらUTUMIさんが観戦に来てることをHPに載せたり、アナウンスで会場に流して良いかの許可が欲しいらしい、今の時代コンプライアンスがうるさいですもんね。


「あぁ、別に良いですよ、今日は彼女とのデートなんで記念になります」


「デ、ちょ、UTUMIさんそれは!」


「何でしたら、試合後に信濃の国でも歌いましょうか、あれって試合前にやるんでしたっけ?」


「ぜ、是非お願いします!!」


あ〜あ、走って行っちゃったよ、大丈夫かなぁ。


「諸橋さんも隣で歌います?デュエット」


「め、滅相もない!!」


私ごときが紅白アーティストとデュエットなんて釣り合いが取れてないにも程があります。

その後場内にアナウンスが流れ、私たちが紹介されUTUMIさんは立ち上がって手を振っていた。

場内から凄い歓声が起こって、思わず耳を塞いでしまった。


ピピーーッ!


「じゃあ、ちょっと行って来ますね、ちゃんと聞いててくださいよ」パチンッ


ウインクすなぁ〜!!惚れてまうやろ〜!

このスタジアムは観客席とグランドが近いので、試合が終わるとUTUMIさんはグランドに歩いて行く。

あれ?試合はどっちが勝ったんだっけ、もうどうでも良いか。


「今日は熱戦で楽しませてもらいました、両チームの選手の皆さんありがとうございました!」


「「ウオォーーーーーーーーッ!!」」


グランドの中央でUTUMIさんがマイクを持って挨拶すると会場全体が歓声で揺れる、これ試合よりよっぽど盛り上がってない?


「では本日は私が、「信濃の国」を歌って皆さんへの感謝とさせてもらいます、皆さんも一緒に歌ってくださいねぇ!!」


信濃の国はぁ〜♪


大合唱が始まるかと思ったが、UTUMIさんの歌声が凄すぎて皆んな聴き入っちゃってる、これは邪魔出来ないよね、信州人には馴染みの曲だけどこのレベルのは……。


国の固めぇ〜なり♪………………………………。



ん、終わり?

「ごめんなさい、私2番までしか覚えてなくって〜www」


「「「「ドワッ!!」」」」


まぁ、6番まである歌だからね。


「では次の試合のゴールを祈ってぇ〜!シューーート!」


あ、誤魔化した。


UTUMIさんがグランドに転がっていたボールをゴールに向かって蹴り上げる、ボールはポーンとゴールを超えて観客声に飛び込む、これには観客も大喜びだ。ボールの争奪戦が始まった。


「あれ?落ちなかった」


UTUMIさんは首を傾げていたけど、ゴールに入れたかったのかな?でもあれだけ遠くに蹴れれるのは凄いんじゃないかな。



次の日、地元の新聞にそのニュースが記事になってて、社長に羨ましがられた。

グッズいっぱい貰ったの差し上げますので、ご勘弁を。


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