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冷えたマッコリにはチヂミがよく合う

チャンチャラチャリラ♪


ホテルの大きなベッドで目を覚ました俺は、アラームの鳴ったスマホを手に取った。

う〜ん、よく寝た。しかし、フカフカで寝心地良かったし超大きいなこのベッド、キングサイズ?俺のアパートの部屋には絶対入らねぇんだろうな。


ん、陽子ちゃんからのラインが入ってる、何々、「藤崎の奴が最近圭さんと凄く仲が良いんですよ♡」とニコニコマークがいっぱいで送られて来ていた。

くそっ、朝っぱらから嫌な情報を仕入れてしまった。


「藤崎のやろ〜、女には興味ありません〜みたいな顔してやがったくせに」



圭ちゃんのあのスラリとしたおみ足を藤崎に取られた気分になってムカついたので、ソファーでパソコンをいじっていた荒川さんに近づき太ももにそっと手を添えてみる、耳元で囁くのも忘れない。(最低だなこいつ)

荒川さんはパソコンをいじる時は眼鏡をかけるのだが、それがまたエロいのだ、昨日の夜も一緒に寝ようと誘ったのだが断られてしまった。


「おはようございます」ピトッ


「きゃ、何ですかUTUMIさん、いきなり」


「荒川さんの足、綺麗だなって思って」ニコッ、スリスリ


「な、UTUMIさん!私はノーマルですから!ちゃんと彼氏いますから!」


「ちぇっ〜、女同士のただのスキンシップなのに」


「さわり方がやらしかったです!まるで男の人みたいでした」ドキドキドキドキ


「チンチンついてないわよ」


「知ってます!!」






UTUMIさんと一緒にフェス1日目のステージを見学する。

ほへぇ、凄いな韓国にいる人全部集まって来てるんじゃなかろうか、満員御礼だ。


オッオッオッオッオッオッ、ギャアーーーーーッ!!


「ちょっとUTUMIさん、Adaさん出てますよ見ないんですか?ほら、顔わかりますよ、凄い熱気ですよ」


ステージ上では1日目のヘッドライナー日本でも有名なAdaさんが熱唱している、なかなかの迫力だ、それなのにステージ裏では……。


「あはは、叔父さんありがとー、まぁ、飲んで飲んで」


奥の休憩スペースで、スタッフと一緒に騒いでいるUTUMIさんをジト目で見つめる。

誰だよそのおっさん達、照明さんはそんなとこで飲んでていいの?言葉良く分からんのに、なんであんなにすぐに仲良くなれるんだこの人。


「うん、本場のマッコリ超美味い!日本で飲むのとはどこか違う気がするぅ」


しかも午前中に行ったソウルの広蔵市場で色々買い込んできてるし、観光旅行じゃないんだぞ。

初日の今日は出番がないからって、緊張感なさ過ぎじゃ無いかな、朝のリハだってちょろっとギター弾いて終わったし、明日の本番大丈夫か。


「あ、そこの綺麗なお姉さ〜ん、アンニョンハセヨ!1杯飲んでいかない?ハイネケンもピンデトッもあるよ」


うわ、悪質な客引きまではじめた〜、お姉さんフラフラと行っちゃ駄目ぇ、そろそろ止めないと日本の恥になる、いやいや私は仕事中なんで飲みませんよ、も〜う、1杯だけですからね。


「あ、マッコリ飲みやすくて美味しい、このチヂミにも良く合いますね」






ジャガ♪ギャガギャガーーーーッ


照明の落ちた空っぽの会場、スタッフしかいない深夜のステージ中央、月明かりの下アンプなしでギターを弾き歌う姿は、誰もが見惚れるほど美しくて、いつの間にか涙が流れていた。

人って歌を聞いて泣けるんだ、これが昼に飲んだくれてた人と同一人物とは思えない。

なんで凄い人って変な人が多いんだろう。







インターステラミュージックフェスティバル 2日目、21:00



ワァーーーーーーーーーーーーーーッ!!


「お疲れ〜♪」ゴンッ


「おう、会場はあっためておいたぞ」


ワンオクの皆さんがステージを終えて汗だくでステージ裏に戻ってくる、UTUMIさんはメンバー4人と笑顔でグータッチしながらすれ違うようにステージに向かう。

会場はこのフェスの最後を飾るヘッドライナーの登場を待ち望んで、フェスならではの強烈な熱気に溢れていた。


ワァッ


「アンニョンハセヨ! チェ イルムン UTUMIイムニダ!マンナソ バンガプスムニダ」(こんにちはUTUMIです!お会い出来て嬉しいです)


ドワァーーーーーーーーーーーーーーッ!!


UTUMIさんがステージに出て行くと韓国語で、会場を埋め尽くすオーディエンスに挨拶をする、ステージ上には大きなマーシャルのステージアンプがデデンと置かれていて、UTUMIさんは観客に背を向けると、ガコンとシールドジャックをアンプに差し込み、カチカチとボリュームを弄る、それだけの行為なのに目が離せない。

長い黒髪に足首までの革ブーツ、スリットの入った赤の短いタイトスカートに黒のタンクトップ、シンプルだが素材が良いとここまでカッコ良く見えるのか、その姿に同じ女として嫉妬を感じるどころか憧れてしまう、オニューの真っ白なギターも照明を反射してキラキラと存在感が凄い。

ドラムとベースは邪魔にならないように後方に下げられて、他にメンバーのいないソロステージ、会場中の視線は当然UTUMIさん一人に集中している。

それを平然と受け止める度胸は、本当に頼もしい。


ビンッ

UTUMIさんがギターの弦を軽く弾くと、スタンドマイクの前に立った。


「じゃあ挨拶代わりのオープニングナンバーは、韓国ということでBTSのDynamite!いってみよーーーっ!」


ジャ、ジャ、ジャリ、ジャガ♪ ギャガギャガギャガ


ウオォォォォォォーーーッ!


UTUMIさんの韓国での初ライブが始まった。


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