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22/25

家族団欒

マキュロスファイナルステージ、初回90分の第一話スペシャル先行放送!

(最近多いよね、初回延長放送)

春夏秋冬と一体日本では年間何十本のアニメが放送されているのだろう、そして今期の覇権最有力とされているのがマキュロスファイナルステージだ。放送前のPVが発表された時から、その作画、キャラクター、音楽、話題性で他の作品を頭ひとつ、いや圧倒的に飛び抜けていた。

普段、アニメに興味の無い一般層をUTUMIの名前で引っ張り込み、一種の社会現象とまでなっていた。



「いや、これ家族全員で観るもんじゃないと思うんだけど」


お兄ぃが実家のリビング、65インチのテレビの前で愚痴る、あれ、テレビ大きくなってない?買ったの。

お兄ぃも諦めが悪いなぁ、お母さんに呼ばれちゃったんだからしょうがないでしょ。

ほれ、ちょっとずれなさいよ、真正面に座れないでしょ。

私は途中ゲネプロ段階で1度見てるけど、完成品を楽しみにしているのだ、お母さんもお父さんのお酒のおつまみを用意しながら席についた。とりあえずアイスでも食っとくか。ペリ

こう言うビニール包装されてる物ってひっくり返して、裏面右上からが開けやすいのよね。


「あ、春夏、またアイス食べてる、ご飯食べたばかりだろ」


「しょうがないでしょ、チョコモナカジャンボが美味しいんだから」


「何がしょうがないんだよ、それにしてもモナカって年寄りくさくない」


「お兄ぃ!全国のお年寄りに謝れ、チョコモナカジャンボはアイスの中で一番美味いんだぞ」


「えぇ〜、レディボーデンよりも?」


「え、レディボーデン?ハーゲンダッツじゃなくて?う〜〜んその二つと比べると難しいなぁ」


「じゃあモナ王だったら」


「あれは、ジャンボのばったもんでしょ!」


「違いがわからない」


「はぁ〜!チョコモナカジャンボはパリパリでしょうが」


「あんた達、何しょーもない会話してるのよ、春夏も1つだけにしときなさいよ、太るわよ」


「ング」


お母さんの奴、自分は食べても太らないからって、今度冷蔵庫のお母さんのハーゲンダッツ食べてやるぅ。


「それにしてもアニメって結構作るのに時間がかかるのね、最初の話から随分時間が経ってるけど」


お母さんがそう呟く、いやこの作品はあのクオリティならめっちゃ早いよ、普通は1年以上かかるよ。

元々が春アニメだったのに延期して秋放送だからね、あれ?いつから作ってたんだ?


「あぁ、川森監督が2/3は出来たってこの前電話で言ってた」


「あら、そんな状態で放送しちゃうの?見切り発射じゃない」


「お、CM終わるぞ」





「おぉ!凄いオープニング、ゲネプロで見た時より更にかっちょ良くなってる!」



「なんかモデルが自分の息子かと思うと、感想に困るな」グビ


「だから家族で観るもんじゃないって言ったろ」グビグビ


お兄ぃとお父さんは早くもお酒を飲んでいる、お母さんは、何熱心にメモ取ってるの?



「へぇ、お兄ぃ、凄いギター上手くなってない?」


「その曲、俺はギター弾いてねえよ、グレーのヒサヒさんだよ」


「ああ、やっぱプロはお兄ぃと違うねぇ、同じ曲なのにね」


「あ、この挿入歌のギターもかっこいい」


「それはHOTOMIさんだよ!」


「…………あ、この楽しげなアップテンポのはお兄ぃでしょ」


「あ、わかる?」


「なんとなく。それにしても挿入歌多いな、インド映画か!菅野のおばちゃん頑張ったねぇ」


「あぁ、凄え歌わされたわぁ、アニメの宣伝なのに何故か俺がTVの取材受けるんだぜ、またタモリさんに会っちゃうわ、中山さんなんかこの前、航空自衛隊に電話してた」


戦闘機の前で歌うのかな?空母の甲板の上で歌ったらカッコイイだろうな。

まぁ、お兄ぃがヒロインのモデルになってるし、夏元さんも椿坂の松田ちゃんを売り出すチャンスを見逃さないよね、二人でTVに出演する事が多いんじゃない。



「あ、終わった」



こら、男ども飲み過ぎだ90分でビール何本開けてんねん。お父さんなんか寝ちゃってるじゃん。

コラ、起きれ。あれ?お母さんは。


「あ、中山さん。ドームでの衣装の事なんだけど……」


あら、電話中。


うん、身内贔屓じゃないけど面白かった、コレ間違いなく今期の覇権でしょ、次回も絶対に観よう!




「あ、お兄ちゃん来週、隣の公民館で町内カラオケ大会あるけど出る?回覧板来てたのよ、出るなら浴衣用意してあげるけど」


中山さんとの電話を終えたお母さんが、思い出したように聞いてきた。


「もうそんな時期、去年は佐藤さんちのじっちゃんが優勝したんだっけ」

「そうそう、スイカ1玉抱えて帰っていったわ」

「スイカか、いいね!出てみようかな、最近はなんか忙しくて出れなかったし」

「ん、けどお前プロになるんだろ出ていいのか?」

「プロって言っても町内会だしいいんじゃない、それにまだ引き継ぎ終わってないし」


「あ、お兄ぃ、ギター持ってっちゃ駄目だよ」

「え、なんで?いいじゃん」

「大学生の時、覚えたてのヘタなギターでジャカジャカとノリノリで歌ってたの忘れたの!あれ凄く恥ずかしかったから駄目!」

「今ならそん時よりめっちゃ上手くなってるからいいじゃん」

「うっさい!町内カラオケ大会で洋楽ロックは禁止!メタリカなんてパンクでしょ」

「えっ、浮いてた?」

「2丁目のおばあちゃん、入れ歯外れてずっとポカーンとしてたわ!」


「う、じゃあ天城越えは?本人公認だぜ」(褒められただけ)

「夜桜お七は、父さんが歌うから駄目だぞ」

「あ、それ紅白でギター弾いたぜ、バックで弾いてやろうか」


「あれ?家は公民館が隣だから昔から顔出してるけど今年はお兄ぃって女になっちゃてるな、……まぁ記憶力怪しいじっさんばっちゃんばかりの飲み会だし、気にする奴はいないか〜」





ドーーーーン!

「うぐっ」


月曜日、学校に行くと陽子がいきなり抱きついて来る、勢い強いぞ痛いだろ。


「マキュロスファイナルステージ、良かったぁ!円盤出たら絶対に買う!」


えっ、私は身内なのにテレビ録画でいいやって思ってたんだけど、標準画質なら1クール、BRディスク1枚で済むんだよね。


「あぁ、お姉さんのバニー姿最高だった、超エロい!」


「黙れバカ竜太!あれはアニメだ、実物じゃない」


本物も似たようなもんだけど。

全く、竜太まで、お前ら普段はそんなにアニメなんか見ないだろうに。


「春夏、お姉さんのアニメすげえ面白かったぞ」

「あれ、ヒロインまんまお姉さんじゃん」

「歌も良かったよね、次回も楽しみ」

「アルバムとかも出るんだよね、絶対ダウンロードする!」

「あれ、歌は全部お姉さんが歌ってるんだよね、どんな曲でも歌えちゃうんだ凄いね〜」


次から次とワラワラと。

おぉ、やっぱアニメは若者層には影響力あるんだね、紅白の時より反応いいじゃん。






おまけ

アメリカ合衆国、ホワイトハウス。

「なぁ、この日本のアーティストをジェラルド・フォードの甲板で歌せたら、孫が喜ぶだろうか?こう、F-35の編隊をパァーッとバックに飛ばして!」


「お孫さんアニメにハマってるんですか?しかし我が国の空母となると?大統領、今は中東が微妙な時期ですのでおやめになった方が」


「そうか、次の選挙の票集めにも良いかと思ったのだが」

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