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ゲネプロ

アニメーションでもゲネプロと呼ばれる試写会がある、まだ完成前の状態でところどころ色のついてない絵コンテの部分もあるが、一応完成の目処がついた時点で出来映えを一旦確認するのだ。

オープニングはなぜか完璧に完成しているので、お兄ぃと菅野さんもこの試写会に呼ばれている、ついでだからと私も一緒について来ている、土曜日で学校が休みだったのが幸いだった。

一視聴者の貴重な感想は役に立つんじゃないかな、決してアニメ好きだからじゃないよ。


「ほへぇ、これがアニメを作ってるスタジオかぁ、お姉ちゃんの会社に比べるとおっきいわ〜」


「まぁ、うちは3人しか社員がいない丸ちゃんの個人事務所みたいなもんだしね」


「アニメはどうしても人数が増えるから仕方ないよ、UTUMIの会社は広告メインだからね」


ロビーで話してると男の人が小走りでやって来た。


「やぁ、UTUMIさん、菅野さん今日はご足労いただきありがとうございます」


「監督、もうゲネプロなんてペースが早いね、無理してんじゃない?」


「HAHAおかげさまで使える予算が大幅に増えたので大丈夫ですよ」


「川森監督、ご無沙汰してます、あ、これ妹の春夏です、アニメ好きなんで連れて来ちゃいました」


私達の前に現れたのは監督さん、ほぅ、これがマキュロスを作った。


「妹の春夏です。前作マキュロスフロンティア最高でした!」


「どうも、川森です。…UTUMIさんにこんな可愛い妹さんがいらしたんですね、今日は楽しんで観てくださいね」


「そんな〜、私なんかちょっとアイドル並に可愛いだけなんで」


「ハハハ、今度は噂のお母様も是非ご一緒に」


監督さん、それはどう言う意味かな?





会場である視聴室に案内されると、大勢の人が集まっていて騒めいていた、小さい映画館より狭いので立ち見の人も多い。

でも私達、いや正確にはお兄ぃが部屋の中に入るとシ〜ンと静まりかえる、おぉ、なんかラスボスみたいで凄いぞ。


ヒソッ

「うわ、本物が動いてる!」

「銀河の歌姫降臨」

「え、やべえ、これ俺が描いた作画実物に負けてんじゃねぇ」

「本当に脚長え、アイドルじゃん」

「カッコいい」


一人のスタッフが前に出てお兄ぃの手を取る、お、なかなか仕事が出来そうなお姉さんだ。目の下のクマが濃いな。


「UTUMI様、ようこそ!オープニングは私、高橋が担当しました、UTUMI様の魅力を出来うる限り表現したつもりです!!後で是非ご感想を!!」


「あぁ、高橋さん、ありがとうございます、貴女みたいな素敵な女性にそう言ってもらえると、私も期待しちゃいますね」


あ、お兄ぃ、お姉さんに手握られて嬉しそう、おいおいハグは映像観た後にやれよ。欧米か!





視聴室の大きなスクリーンに、プロジェクターで投影されるマキュロス・ファイナルステージの第1話。


「凄っ!」


中山さんにこっそり見せて貰ったMVに負けない迫力のオープニング、お兄ぃがモデルのキャラクターが歌ってるんだけどこれ他のキャラの登場シーン少なくないか。


お兄ぃの隣に座った高橋さん、凄えドヤ顔なんですけど、いいのかコレ?

その隣では菅野のおばちゃんがブツブツ言ってる。


「Aメロはあと2秒詰めて、サビのバックの音量ちょっと下げるか」ブツブツ


オープニングが終わって本編Aパートが始まる、あ、ここはまだ色ついてないんだ、この状態でも見れるもんなのね。

ヒロインの声は当然だが声優さんがやっている、お兄ぃにこんな演技が出来る訳がない、大人っぽい声だなぁ、普段のお兄ぃぽくはないけど絵にはめっちゃ合っている、あ、こっちじっと見ている女の人いるけどあの人が声優さんかな、って水稀NANAぁ!うわ、後で握手してもらおう!

え、それじゃあお兄ぃの奴、水樹さんを差し置いて主題歌歌ってんのかよ生意気だなコノヤロ。


流石にエンディングには主要キャラがいっぱい出てきたけど、エンディングもお兄ぃが歌うのか。



「いや〜、所々色ついてないけど、面白かった!高橋さんのオープニング凄く綺麗で良かったですよ」


「UTUMI様ぁ!」


またハグしてやがる、もう、勝手にしろ。菅野のおばちゃんは監督と話しているな、あ、水稀さんがこっち来た!


「初めましてUTUMIさん、貴方の声をやらせていただきました水稀です」


「あぁ!!六甲おろしの!」


「え、ご存知なんですか、ありがとうございます!」


「今年の阪神調子いいですよね、藤川監督がんばってますよね!」


「そうですよね!!髙橋も良い感じだし今年は行けますよね!!」


なんか瑞稀さんが興奮している、なんだこの会話、アニメの話しろよ。でもちゃんと握手はして貰った、サインまでしてくれて良い人だった。


「歓談中失礼します、UTUMIさんその節はどうも」


「え、あれ?ナインの李さん、どうしてここに?」


「ナインエンタープライズもこのアニメーションのスポンサーになっているのです、このアニメーションは中国でも放映します」


「今や中国の協力はこの業界では当たり前になっていますからね、売上でも技術でも」


ああ、この人が前に言ってた牛丼の人か。最近のアニメのオープニングやエンディングのテロップ見てても中華系の名前いっぱいだもんね。あ、おばちゃんと話してた監督も来た。


「ナインエンタープライズがスポンサーになってくれたおかげで予算も映画並に使えるようになったんですよ」


「川森監督」


「でもこのマキュロスはほとんどがうちのスタジオで作ってます、今回はスタッフが気合入っていて自主的に頑張ってくれまして」


「うわ、それは大変でしたね」


「いえいえ、これが創作の醍醐味ですよ」


「川森監督の、いやジャパニメーションの底力を見せてもらいました」


牛丼の人が微笑む、なるほど顔は笑ってるけど目が笑ってないタイプの人だ。


「ありがとうございます、まぁ、細かい部分は中国のスタジオに頼る事になっちゃうんですけどね」


テレビシリーズは映画と違って話数が多いからしょうがないね。


ガラッ


「はぁはぁ、すみません、遅れました!あ〜もう終わっちゃタァ〜」


あ、椿坂の松田ちゃん、そう言えばもう一人のヒロインの声やってるんだよね、アイドルのお仕事忙しいのによくやるよ。


「あ、UTUMIお姉様!遅れてしまいました〜すみません、ど素人の新人のせいで収録が長引いちゃって」


「お疲れ、松田ちゃんの声、可愛くてバッチリだったよ」


「お姉様♡」


おい、松田ちゃん、遅れて来てお兄ぃと見つめ合うのは良いけど、ちゃんと空気読めよ、浮いとるぞ。

そこに割り込むように牛丼の人が声をかける。


「どうも松田さん、はじめまして、ナインエンタープライズの李です」


「あぁ、貴方が……初めまして日本でアイドルやっている椿坂46の松田由莉奈です、よろしくお願いします」


「「ウフフフ」」


突然真顔になった松田ちゃんが牛丼の人に丁寧に頭を下げる、ちゃんと社会人やってるなぁ、目が笑ってないけどなんで?





さて、せっかく東京に来たんだ美味しいもの食べて帰ろう!

え、菅野のおばちゃんが奢ってくれるの、なんで松田ちゃんまで一緒に?



あぁ、渋谷で食べた、つけ麺美味しかったなぁ。

女4人でつけ麺ズルズルやってるのはどうかと思うけど、出来ればオサレJKぽくクレープが、あれは原宿だっけ?




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