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ようこそ神託カフェへ!!  作者: 幸・彦
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鳥瞰の顛末

誰も彼も、思慮が浅いなあ本当に。


確かに今この街はゴチャゴチャだ。何でもアリ状態ってのは認める。

かつては敬虔な宗教都市だったかも知れないけど、今は欲望の坩堝。

それまでの在り方に対する揺り返しなのか、とにかく節操が全くない。


だからと言って、何をしても大丈夫という話にはならないだろう。

いや、むしろ出し抜かれないように注意をしないと。そういう意味では

皆が思慮に欠けている。何をするにせよ、もう少し考えられないのか。

…無理なんだろうなあ。


何だろう。



昔の自分を見てるようで、ちょっとモヤッとする。


================================


神託師たちも馬鹿じゃない。天恵を持たない人間に対する困惑が、既に

統一された疑念へと変わっている。まあ、無理もない話なんだろうね。


三人寄れば文殊の知恵ってわけじゃないけど、やはりここには同業者が

そこそこ大勢来ている。とすれば、それなりに情報交換がされていても

おかしくないだろう。情勢を見れば商売敵と言うより、むしろ仲間だ。

後ろめたい気持ちを共有するなら、連携を取るのは当然だとも言える。


ちょっと侮ったね、教皇女たち。

いくら何でも、動きが派手過ぎる。天恵のリセットと違い、ネクロスは

本人が訪ねるというリスクが高い。神託師という存在を甘く見過ぎだ。

若さゆえの浅慮とでも言うべきか。まあ、そりゃ無理もないんだけど。


ああ、完全に捕捉されちゃってる。いや、ケイナも気付いてはいるか。

だけどあの感じじゃ振り切れない。動かされてる感じになってきてる。

どうやらあのまま捕まえるよりも、泳がせた上で根城を突き止める方が

いいと判断したんだろう。賢明だ。残念ながら、こっちの方が聡いね。


あーあ。

撒いたと思ったのかな、ケイナは。まだマークされてるままなのにね。

ポロニヤたちの宿泊する宿は確か…ああ、あの川沿いか。だとすると、

迂回して戻る気なんだな。マズいよそれは。選ぶコースが不自然な分、

かえって目的地を悟られてしまう。…ああ、言わんこっちゃない。


おっと。

あっちは先回りの別動隊か。思った以上にガチで探りに来てるんだね。

動いた。ああ、大当たりだよそれ。確かにそこに狙う相手がいますよ。

って事は…


行ったか尾行組。ケイナは…ああ、まだ気づいてない。もうアウトだ。

手際がいい。ああいう拉致を専門に請け負う輩なのか。なかなか見事。

それで先回り組は…あぁなるほど、連絡手段を持ってるのね。尾行組が

ケイナを押さえたから、今日はもう撤収って事になったのか。賢明だ。


とうとう、一線を越えちゃったね。

そんな必要がどこにあったのかは、正直あたしにはあまり分からない。

ロナモロス教のロクデナシどもならともかく、あなたたちはそんな風に

揉める間柄じゃないでしょうにね。どこをどう掛け違えたんだか。


やっぱり、原因はロナモロス教か。まあ、分かり切ってる話だけどさ。

ネイル・コールデンのやってる事は刹那的で、あまりにも考えが浅い。

最終的な目標がどんな形なのかも、もしかしたら見えてないのかもね。

場当たり的にとんでもない事をして世界をかき回す。スケールの大きな

愉快犯といったところかな。何とも迷惑と言うか。


ハッキリ言って、ネイルという女は大きな力を持つべきじゃない。

根っこの部分が刹那的なのに、妙に頭が回るから非常にタチが悪い。

何もかも台無しにして自分も破滅を選ぶ。多分そんな感じなんだろう。

実にタチが悪い。そういう刹那的な蹂躙をこの聖都で強行した結果が、

今の混沌を生んだ。ポロニヤたちもある意味、ネイルに踊らされてる。

…いや、一緒に踊ってると言うべきなのかも知れないね。


さて、と。

どっちみち、このままほっとくのはあたしの流儀に反する。とは言え、

単純な加勢なんてしても仕方ない。それもまた流儀に反するからね。

状況が動くとすれば深夜、もしくは明日の朝だろう。時間が経つほど、

ポロニヤたちの状況は悪化の一途を辿る。それは間違いない。


ならどうする。

避けるリソースが普通よりも少ない現状、あまり何度も厄介な手出しは

したくない。看過しないのならば、やっぱり一発で決めたい。


…………………………



よし。

ここはやっぱり、ローナに相談だ。

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