プロローグ: 誕生日には・・・
あなたは、ペットショップで売られている動物たちを
かわいそうだと思ったことはありますか?
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カメリアはこの一帯、いやこの国の中でも指折りの大金持ち、
クルンスト家唯一の娘。
二つ年上の兄と三つ下の弟、カメリアにかなり甘い父と母と
数十人のメイドや執事と暮らしている。
その日は、カメリアの十四回目の誕生日だった。
(お父様からはまだ何ももらっていないけれど、何かほしいものがあれば
教えてくれと言っていたわ)
カメリアは自分の広い部屋の中で兄のディモルからもらったクマのぬいぐるみを掲げた。
「それにしても・・・」
いつの間にか、考えは言葉になっている。
「兄様ったらいつまで子ども扱いする気かしら」
確かに、十四にもなったカメリアに、この大きな、子供らしいクマのぬいぐるみは
なんとなく不適切だった。
たとえカメリアが大のぬいぐるみ好きで、その中でもクマのぬいぐるみが
一番大好きだったとしても・・・
カメリアの心の中では、もう父からのプレゼントに何がほしいかは決まっている。
(でも、それを言い出す前にこのクマさんに名前を付けてあげないといけませんわね。)
クマに「ネモフィラ」と名前を付けたあと、
カメリアは自分の長いつめでこの新しいクマさんに傷をつけてしまわないよう
気をつけながら、一緒に大好きな父親、コリウスのもとへと足を運んだ。
いつもいる書斎の中にいる、というカメリアの直感は当たり、
コリウスはすぐに見つかった。
「お父様」
自分の娘があいているドアのところから声をかけると、
コリウスはすぐに顔を上げた。
「なんだい、カメリア」
「私、プレゼントにほしいものが決まりましたの」
コリウスは、そうか、と言うと
「そしてその素敵なものはなんなのかな?」と続けた。
カメリアは、一息おいて、
「ペットですわ」と言った。
「ペット?」コリウスは一瞬眉をひそめたが、すぐに優しい顔に戻る。
「カメリア、ペットならもうたくさんいるじゃないか。ほかにほしいものはないのかい?」
彼女は首を横に振る。
「それに、あれは正式にはお父様とお母様のものですわ。
私、自分専用の・・・お友達になってくれるようなのがいいのです。」
「友達、か」
コリウスはつぶやき、自分のひげをひっぱると、
「まぁ良いだろう。早速買いに行くとするか」
立ち上がった。
さて、これを書き終えられるでしょうか。
長くなりそうです。