㉑
それからはてんやわんやと慌ただしく、特に大々的に祝おうとする国王陛下と面白半分にからかおうとするエント様が騒いでいたのだが。
「静かになさい」
という女王陛下の一言でその場は収まり。
それ以上騒ぎになるのも面倒だということで、会の終わりを待たずに屋敷へと帰ってきた。
「……」
しかしさっきまでは騒ぎの渦中の中にいたことで感じていなかった色々な感情が、冷静になったここにきて一気になだれ込んできて。
ジン様の顔をまともに見ることができない。
「……もしかして、後悔しているのか」
そんな私の様子を心配したのか、ジン様がこちらへ近づいてくる。
「断りづらい雰囲気になっていたからな。考え直したなら今からでも……」
いつもの調子が戻っていないのはどうやらジン様も同じらしく。
余裕の一切ない不安な表情をしながら、そんなことを聞いてくる。
その様子を見て私の方は、ゆっくりと落ち着きを取り戻して。
普段の余裕そうな態度の方が一種の強がりのようなもので、今のジン様が本来の姿なのかもしれないと。
今のジン様を見ていると、そんな気がしてくる。
「後悔なんて、してません」
ジン様の不安を断ち切るように、言葉を遮って前へ出る。
「……ん」
気づけば私とジン様の間にロイドが割って入っていて。
非常に既視感を覚える状況になっていた。
「変なこと、を検知しました」
ロイドが言ってくる言葉も、予想通り。
なぜならほかでもない私が指示したことだから。
「ありがと、ロイド」
私はロイドのことを優しく抱きしめてから、耳の後ろにあるスイッチを押した。
「でももう、変なことは止めなくていいからね」
ゆっくり、私の手元を離れていったロイドに見守られる形で。
私たちは互いの気持ちを確かめるように、ゆっくりとキスをした。
「そういえば、私のどこがよかったんですか?」
「……チープに聞こえるかもしれないが、運命を感じたんだ」
「運命……ですか」
「ステラに整備してもらうまで、この義手は動作不良を起こしてばかりだった。それが今ではこんなに安定している」
「買い被りですよ、それは」
「……いや、私は運命の方を信じている」
「……では私も、運命だったのだと思うことにします」
「……ステラ」
「……ジン、様」
「お嬢様、起きてください、お嬢様」
「……ロイド、その機能もストップ!!」




