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「……前の家でも、そうだったのか?」


「いえ、そんなことは……」


 ヴィントとは幼馴染なので、確かに小さい頃はあまり気にしていなかったような気もするが。

 さすがに大きくなった今でも同じように思うほど私もずぼらではない。

 この屋敷での行動からすると、説得力はないかもしれないが。


「……今もこうして、されるがままではないか」


「それは……」


 ジン様が相手だからです、なんてのは言えるわけがない。

 きっとまたからかわれているだけだろうに。


「……それは?」


 私の顔を覗き込むように、ジン様が頭を傾けながら少し近付く。

 ジン様の瞳の奥で、もう一人の私が私を見つめ返してきて。

 今の私、こんな表情をしてるんだ。


「変なことを、検知しました」


 突然、ロイドがそんなことを言い出したかと思うと、私とジン様の間に割って入って。

 そのまま私たちを引きはがすと、立ちはだかるようにまた間に立った。

 あまりに唐突なこと過ぎて、私もジン様も反応できずされるがままで。

 このなんとも言えない空気を感じていないのは、機械であるロイドだけなのだろう。


「またロイドが粗相を……」


 ロイドの肩越しに、少し驚いたような表情で固まっているジン様へ声を掛ける。


「……いや、こちらこそ度が過ぎていた。すまない」


 別に謝る必要など全くは無いとは思うのだが。

 度が過ぎていた、ということはやはりからかわれていたということなのだろう。

 折角シャワーを浴びたというのに、もう汗が全身にじんわりと滲んでしまっている。


「……私も少し、シャワーを浴びてくる」


 ジン様もロイドの肩越しに私へ言葉を返すと、そのまま部屋を出て行ってしまった。

 後に残されたのは無駄に汗をかいてしまった私と、なにやらしたり顔(に思えるが実際は無表情)のロイド。


「ロイド、変なことの定義からジン様は除外ね」


 まずはさっきのようなことが二度と起こらないよう、ロイドに伝えておく。


「再定義開始……」


 元々あまり融通が利く造りをしていないとはいえ、この屋敷へ来てからは輪にかけてひどくなったような気がする。

 一応ある程度、自己判断と自己学習する機能も備えているはずなのだが。


(……私が変なせいで、それがロイドにも影響しちゃってるのかな)


「定義完了しました」


「ん、それじゃ今日はもう休もうか」


「了解しました」


 やれる作業はまだまだあるが、ジン様には今日の作業を終えたと伝えてしまったし。

 なによりこんなに頭のこんがらがった状態で、いい作業ができるとも思えない。

 古今東西こういうときは、寝てしまうのが一番だ。

 と、そう考えたのはいいものの。


「……寝れない」


 身体はそれなりの疲労感で充実しているのだが、頭がそれに反旗を翻している状態。

 結局、あーだこーだと考えても仕方のない事で悩んでしまって。

 寝付いたのはだいぶ時間が経ってからだった。

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