無差別殺人鬼とワタシは同居をはじめる。
___ワタシは、何も持っていない!
ワタシの人生は、何も得ていない人生!
___ずっと、そう思ってるわ。
*
___そんな時、ワタシの住んでいるマンションの前で。
夜10時ごろ、雨に打たれてずぶ濡れになっている男性を見たの。
彼は、深緑のレインコートを着ていて、下はズボンで上はフードを
被っていたから? どんな顔か見えなかった!
___ただ、どこを見ているのか?
雨に濡れて立っているだけ。
ワタシは、思わず彼に声をかけてしまう。
『___あぁ、あのう? どうしたんですか? 雨でビショビショ
でしょ? よかったら? ワタシの部屋に来ますか?』
『・・・・・・』
その男性は、ワタシをチラッと見たら?
ワタシに向かって、小さく【うん】と頷いた。
___ワタシは、マンションの部屋の番号を押して。
マンションの中に入り、彼は黙ってワタシの後ろを着いてきた。
・・・そして、ワタシの部屋の508号室の前に着くと。
ワタシは、鍵でドアを開けて、彼にこう言った。
『___さあ~! 中に入ってください。』
___彼は、黙って玄関まで入ると?
着ていたレインコートを脱いだの。
___そしたらね?
彼の顔には、血がベットリとついていたわ!
ワタシは、びっくりしたのと? 彼が怪我をしていると思い。
直ぐに、家にあった救急箱を手にして彼を部屋の中に入れて
手当したのよ。
『___どうしたんですか? この怪我、どこかで転んだんですか?』
『・・・・・・』
『___何かで? 引っかかれた跡みたいですよ!』
『・・・・・・』
___彼は、ここまでにまだ一言も発していなかった。
ワタシは、何故なのか?
この男性が心配で心配で仕方がなかったのよ。
『___今日は、ここに泊まっていってください!』
『・・・・・・』
*
___その頃。
少し、離れたマンションの一室で。
家族5人が、何者かに? 殺された事件が起きていたの!
警察や救急車の音がワタシの部屋まで聞こえていたわ!
___ワタシは、そのニュースを朝のテレビ番組で知ったの。
『___この近くのマンションで、殺人が起きたみたいです。
貴方も、気を付けてくださいね。』
『・・・・・・』
・・・結局、犯人は捕まっていないらしい。
▽
___その後。
ワタシは、この男性と同居することになったわ。
彼は、行くところもないみたいで、、、。
だから? 少しの間だけ!
ワタシは、この男性と同居することに決めたの!
『___今日の、晩ご飯? 何がいいですか?』
『・・・カレー、』
『___わかりました! 家に帰った、カレー作りますね!』
『・・・・・・』
___少しずつだったけど?
ワタシと、会話をしてくれるようになったわ!
なんだか? それが嬉しかったの。
*
___その間にも。
彼は、ワタシが仕事に行っている間に無差別殺人を繰り返して
いたみたい、、、。
___それでも、警察に捕まる事はなかった。
何故なのか? 彼は、“完全犯罪” が出来る頭のキレる男性
だったから。
___警察を欺いていた。
彼は、犯人候補としても浮上してこなかったひと。
___今まで、逮捕歴・前科歴・犯罪歴もまったく無く。
【優良市民】だったのよ。
___彼を、疑う者は? 誰もいなかったわ!
“ワタシ以外” はね!
*
___ワタシは、彼の行動が不思議に思ったのよ。
ワタシが、仕事が終わって家に帰って来るころ、彼は家に居るけど?
なんだか? ワタシより少し前に帰ってきたような気配があるの。
___それに、【彼がカレーが食べたい!】と言った日の次の日は?
必ず、朝のニュースで! ワタシのマンションの近くで殺人が起きている。
・・・これって? 偶然なのかしら?
___でも、もし?
彼が、“無差別殺人鬼” だったとしても!
ワタシは、彼を愛し続けるわ!
___それでもいいのよ。
ただ、彼がワタシの傍に居てくれるのなら、、、。
ワタシは、彼の手で殺されたい!
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