表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/67

クリスタの力

コンコン


Zzz…


コンコン


Zzz……


ドンドン


!……Zzz…


ガチャガチャ


「ムニャ。」


ガチャガチャガチャガチャ


「ん、ん、ん?」

なんの音だ…?


ガチャガチャ

ガゴンッ


何かが落ちた……?


「んもうっ!外れちゃった。」


誰だ?

何が外れた?


「お・に・い・さ・まー!」


ドゴンッ!

バタンッ!


ものすごい音が聞こえて、流石に目を覚ました。

見ると、部屋のドアが倒れている。

その向こうには、


「あら!お兄様、起きてらしたの?」


いやいやいやいや。

君のその所業に起こされたの!今!


「散々呼んだのに、つれないですわ。」


そう言って、声の主はソファーに腰掛けた。


黒みが強く出たグレイのツインテールがソファーの背もたれから覗いている。


あまりのことで思考が追いつかなかったが、彼女は俺の妹、クリスタ。

クリスタは確か、この家族の中で一番の剛力だ。

その力を使って、戦斧で戦うのが彼女の戦闘スタイルだったはず。


「すまない。少し疲れて寝ていたんだ。クリスタが来て、やっと目が覚めたよ。」


ツインテールが振り返り、ニコッと笑う。


「お兄様、今日教会に異世界から聖女様が召喚されたんですって?」


はい?

聖女?


いや、あれは確かに聖女に見まごうシーンだったが奴らそのまま受け止めたのか?


聖女じゃないよ。

ただの女子高生だ。

ちょっと王道ヒロイン気質なだけだ。


「よく知らない。」

「えぇっ⁈だってお兄様はその場にいたんでしょう?」


この話をクリスタが知ってるってことは、城のほとんどが知っていることになる。

下手したら街の者たちにも知れ渡ってるかもしれない。


「あの女の子が目覚めた時にはいたが、俺はすぐに離れた。だから彼女が聖女だとか、よく知らないよ。」

「ふぅーん。」


クリスタはソファーから立ち上がり、俺の隣に座った。


「可愛かった?」


何が聞きたいんだ?


「どうかな。あんまりよく覚えてないよ。」

「ついさっきのことでしょー!思い出して!」


食い下がるなぁ。


「あー、あ!レスターが見惚れてたよ。だから、きっと可愛かったんじゃないかな。」


クリスタが怖い顔で、俺の顔に近づいてくる。

何が聞きたいんだぁ!


「し、白い寝衣を着てて、せ、清純そうだった!」


やっとクリスタは俺の顔から離れてくれた。


「いいなぁ。私も聖女様に会いたいな。」


ただ王道ヒロインのことが知りたいだけなのか?


「私、お兄様みたいにかっこいい人はリズベット様みたいに平凡な人じゃなくて、聖女様みたいに特別な人がいいと思うんだ。」


はぁあ?


ああ、そう言えば悪役令嬢をプレイしてた中2女子が「クリスタ、むかつくー!」って、よく言ってたな。


クリスタはカインの二つ下で、ルーベンが生まれるまでずっと2人一緒いたから、めちゃくちゃブラコンの設定になってたはずだ。

で、もともと婚約者だった悪役令嬢のリズベットを毛嫌いしていて、ことある毎に邪魔してた気がする。

で、何故か王道ヒロインを気に入って、後押ししてたんだ。


その理由が、これなのか。

王道ヒロインは聖女で特別か。


馬鹿らしい。


クリスタの頭を撫でる。

「お兄ちゃんは、聖女でもなく、リズベットでもなく、クリスタが女の子で一番好きだよ。」


こう言うのか、一番正解だ。


クリスタの目からハートが見える……。


「お兄様ー!」

ガシッ!


グハッ

「ゲホッゲホッ。」


クリスタを喜ばせすぎるのは不正解だ。


「ああ!私、やり過ぎちゃったー(><)」


次からは気を付けよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ