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№005 ボクらの時代の話をしよう 【横道だけどな!】

今更ですがネタの乱用が見受けられるのでご注意

一応あらすじにも載せてはいましたが、この辺りから読み返しで寒気が、ね…?


 現代日本には数多くのサブカルチャーが蔓延しており、それが人類の妄想力というか日本人のマニア魂を大いに顕わとする証明になっていると思う。


 漫画を初めとした個人の自己表現、それを発展し始めた科学技術の『未来』を想起することを、可能性を同時に法則に準えて自己の世界を発展・解放させる活動は、今も尚鳴りを潜めることを知らない。

 その中でもここ十数年ほどは、大きく蔓延り間口を広げた『科学』よりも見通せない暗渠のような『オカルト』へと方向性を傾倒させ、新規開拓というよりは依りマニアな寓意に準える発展を拡散させてきていた。


 ――要するに、手塚先生や赤塚先生や水木先生などの大御所から始まり荒木先生とか上遠野先生とかかまちやきのこや富樫や西尾維新なんかの(冒頭以外あいうえお順)、『個人の世界(妄想)』の発信者の金字塔による漫画や小説やゲームというサブカルの発展のお陰で日本人の知識層はえらいことになってるよ、っていう話だ。

 え? 途中色々と抜けてる? そうかなぁ、妥当じゃないかなぁ。


 さて前回の『引き』に話を戻す。

 現代日本は今説明したように、魔法とか超科学とかオカルトとかSFなんかに理解が広い。

 そういうモノがある、という前提の受け入れ幅がハンパない人種とでも言えばよかろうか。

 だからこそ、魔術が()()()胡乱なオカルトに本物が混じっていたことが判明しても、現代日本人は狼狽えたりしないのです。


 そうでなければ異世界トリップで此処まで冷静じゃないですよー。

 そう思って尋ねたところで、返された答えがこちら。



「惜しい、それじゃないです」



 惜しいんだ。

 完全な否定じゃない、という曖昧な返答。

 あー、という苦笑いに似た顔で、烏丸くんは続けた。



「というか、日本人は先天的に魔術師になれないんですよ」


「えっ、そうなの? じゃあ魔術学部って何を教えてるの? どこかの大学であったよね?」


「いや、文学部行く奴がみんな小説家になるわけじゃないんですから……」



 そう例えられると確かに納得はできるけれども。


 ちなみに魔術が実在しているもうひとつの証拠として、佐賀県が【魔王】という存在に支配されているという前提を知っているから、魔術を題材に使うとあるノベルゲームの舞台とも近しいのでてっきりアレも魔術の(トモガラ)だと思っていたのだが。

 それでも型月は偉大だと思う。


 え? 佐賀の魔王?

 ああうん、中学の公民の授業で地図を黒く塗る程度の認識。

 それでも偶に熊本と間違えちゃうのは致し方ない。

 住所に『ヴァルハラ城』という如何にもな名前使っているモノだし、『魔王様』ってイメージすると熊本弁のブリュンヒルデと混同しちゃうんだよね。やみのま!



「遺伝子的に術式阻害が働きまして、現代魔術師みたいに魔術を使うのに適した身体性能備えちゃいないんですよ。此処の王様が言ったみたいな遠回りな手順踏めばなんとかなるかもしれんですが」


「へぇー。まあ、元々行く気もなかったけどさ」


「……逆に、なんでうちの学校は家庭科系をやたらと推してるんです? 調理実習が必修科目に入ってたのですが……」


「素敵なお婿さんになる為じゃないかな?」



 ボケ半分で答えたが、大学で魔術専攻が出揃うのと同じように、現代では技術系を習得する方向性は割と必須だ。


 ホノコーは進学校寄りの普通科だが、ただ大学に生徒を送り出すだけではなく、一年から家庭科の実習を必修で備えさせ、二年・三年では被服製作にまで手を及ばせる。

 そうして『芸』を備えさせることで、勉学一辺倒だけではなくもっと人間性を成長させよう、という狙いがあるらしい。

 実際、そうすることが進路の傾向にも働きをかけているとか。


 穂織野宮は元々そういう学校だったから問題は無かったのだろうが、大学の専攻学部が増設された当初は困惑に塗れていたことだろう。

 魔術学部はまだ新しい方で、最初の頃に出てきた忍術や陰陽術や風水に錬金術なんかには、さぞかし誰もが目を疑ったにちまいない。


 さておいて、烏丸くんはそういったところにはまだ想像は及んでいなかったご様子。

 まあどんな学校でも『ことのあらまし全部を一から十まで順序立てて説明する先生』なんてほうがずっと珍しいから、そういう教師に充たらなかったのだろう。

 自分で調べることもできるっちゃあできるが、それはそれでまた面倒に遠回りするのが当然な順序であることだし。


 個人の知識は偏っているのが普通なのだから、知ってることと知らないことに差が出るのも、ある意味当然の話だ。

 とりあえず、家庭科担当の本田先生の調理の腕はプロ級なので、取っておいて損はないと暇が空いたら教えておこう。



「というか、烏丸くんが妙に魔術に詳しいのはなんで? 飛び級でもした?」


「飛び級はしてませんが、まあ専門に引っ掛かっているので。あとは一身上の都合によります」



 その辺をつついてみたい衝動もあるが、恐らく今問うのは適切ではないのだろう。

 なによりボク以前に、本日用事があったのは先ほどから呆けている姫様なのだから。



「それで、こういう平坦なことを話すために来たわけでもないんでしょう? いったいどういうご用事なんです?」



 予め察してはいたのだろう。しかし入室時よりは幾分か機嫌も良くなった気がする顔で、改めて本題を烏丸くんの方から切り出してくれた。

 やはり小粋な会話は緩衝材としては最適らしい。


 しかし……、このまま彼女の当初の予定通りに身を差し出す真似をさせて大丈夫なのだろうか。

 一見すると機嫌は良さそうだが、会話してみて普通の学生とそれほどの齟齬を感じなかった彼がガチで魔王様みたいな扱いされることを予測できていて、……その機嫌のままでいられるとは思えない。


 冗句こそ不発に終わったが、姫様の用事が不発になってしまえば彼女自身がこの国から見咎められても可笑しくない『使命』なわけだし。

 彼流の対処がどうなるかはさておいてなんとか渡りだけでも付けてあげたいと思うのが人情である。



「とりあえず……、こちらヴァジニア=シャーロット=ヘラ=パトリクシアさん。この国の第三王女です」


「いや、知ってますけど……」



 ……そういえば出会った時に彼女の情報を読んだのも彼であったか。



「名前の最後が姓名で、最初が生まれ月を指すもので、ミドルネームに値する最も短いモノは敬意を備えるために王族にのみ与えられる【祝福】だとか、だから適切に本人のみの名前は前から二つ目に当たるモノだということも知ってます。 姉が二人、婚約者が三人いて、次期王としての継承権はそれぞれの配偶者に充てられるので彼女自身には国を従える権利が無いことも知ってます。 ちなみにこの国の結婚適齢期って15か16で、早いと12だそうですよ。とんだロリコン国家ですよ」


「マジで? じゃあボクら普通に成人扱いになるんだ?」


「どうにもうちの世界と比べても寿命が短いようでして……。まあ、江戸時代の元服なんかも実例にはありますし、死期が近いと成人扱いも引き下がるのは納得ですけどね……」



 予想以上に色々把握していて「(なんだその情報把握力!?)」とびっくりしたけど、それ以上の驚きの真実まで飛び出してきて二度びっくりしたボクです。


 通りで、シャーロットさんも言うほど抵抗があるように見えないわけだ。

 彼女の歳でも問題ない法律があるから、この国もまた彼女に無理を通せるってわけだね。

 ……地味に嫌な話だなぁ。



「で、そんな彼女がこんな深夜に男性の下へ訪れる、なんていうのがどういう意図かも把握できます」



 ……普通に八方塞がりだなぁ。


 そしてこの国の意図と彼女が行おうとしていた行為の真意を察せられてしまったシャーロットさんは目に見えて顔面蒼白だ。

 篭絡しようとしている、と腹の底を見透かされているわけだし、それを見透かしているのが他でもない、この国の人間からのイメージでは処刑人よりも恐ろしい魔王である烏丸くんだ。


 幕間を挟む間もなく風前の灯火に陥っているとなれば、それこそ失禁していても可笑しくない衝撃であったろう。

 文面目前のドクシャの皆様もきっと期待してるにちまいない。


 ――もっとも、そんな胡乱な描写を挟む必要は無く、姫様は意外と気丈であった。



「か、カラスマ様、宜しければそれらの書を読み解く誉れを、わたくしにいただけないでしょうか?」



 その言葉使いは相変わらず恐れ多い者に対する畏怖に満ちていたけれど。

 しかし、彼女も差乍ら相応の覚悟を決意して来ていたのだ。

 此処で引くわけにはいかないと、もしかすれば命を賭けた決心で以てその言葉を紡いでいるのだろう。



「それらを(したた)めた者たちは総てこの世界の者ですし、わたくしは仮にとはいえ彼らを代表とする王家の娘です。それなりの教養は積んでいますし、カラスマ様のお手を煩わせるようなことの代替としてお使いしていただいて構いません」



 彼がこの国の言葉を読み解けない、という事実を知ったはずの彼女が、それでも烏丸くんを貶めないようにと言葉を選ぶ。

 この国の人間が当たり前にできることを『出来ない』と認めてしまうだけでも、どんな咎めを受けるか分かったモノではない、と恐れているのだろう。


 そんな恐慌で明らかに内心が荒れに荒れているだろうにも関わらず、彼女は微笑みを絶やさぬように気丈に振る舞っていた。

 それは、どうやってでも烏丸くんを不快にさせないように、という潔意の表れだとしか思えず――。



 ――正直、見ていて居た堪れない――。



 ……思わず烏丸くんを見る目が、胡乱なモノになるのも致し方ないと思われる。

 現代日本に換算すれば、女子中学生に此処までさせている、っていうわけだし。


 しかし正直、選択に依っちゃあ最終的な決断に転ずるであろう、彼を見極める良い機会になったかも知れない。

 此処の対処によって、彼が『本当は』どういう人間なのかを把握するには丁度いい物差しになりうる話だ。


 最初にこの国に対して断罪だァ!と無茶苦茶した様に、彼女に対しても有無を言わせぬバニッシュメントターイム!に及ぶとすれば、見事に男女平等の意味を穿き違えているゲス野郎の名を冠することが出来るのだろうけれど。

 ようよう、どうするどうするー?


 そんな感じの内心を読み解いたかどうかは知らないが、どうやら烏丸くんは観念したご様子であった。





~本文における軽い注釈~


・途中抜けてる

 フレミング()フジコ(●子)さんとかアルキメデス()フジコ(藤●)さんとか


・魔術学部

 とりあえず忍術専攻に関しては最近開設されましたよね


・佐賀県の魔王

 彼らの元居た世界では10年ほど前に佐賀県を支配したらしい。支配動機はマイナー県の知名度を上げるためだとか憶測が憶測を呼ぶ…

 なお、スタイリッシュ熊本弁のブリュンヒルデと混同されるために知名度に関してはお察し

ちなみに某ブリュンヒルデ様はこの世界に於いてはフィクションですが、読者の皆様なら第1話で察したよね?


・期待しているごくごく民には悪いがな

 控えよ



やっぱりラブコメが少ない気がする…どうやって書くのであったかな…

それはそうとお気に入り登録数がなんか490とか逝ってました大感謝


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