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№002 初手 【脅迫】

なろうでは『転移』が流用されていますが、意味合い調べると『病巣が移ること』となっていました

なので作中では『転位』と描かせていただきます


…どちらでも間違ってはいなさそうですけど



「改めまして、烏丸ソラだ。『仲良くしてネ?』」



 ニタァと。

 それはまるで猛禽が獲物を狙うさまを思い起こさせるような、獰猛な微笑。


 同じ学校の後輩に当たると思われる初見の少年は、諸手を広げて謁見の間に居る総ての者へと括弧(恰好)付けて言い放った。

 ……この表現色々と危ういなぁ。怒られるね、主に集●社に。



 彼が居座るのは玉座。


 たった今五体をバラバラにされてもう一度組み直される、という常識ではその方法が思いつかない現象()に合わされたこの国の王は、怯えた目で彼に総てを差し出す以外に選択肢はない。



 こんにちは、金城(きんじょう)(たくみ)です。

 前回名乗り忘れましたのでこの場で自己紹介、回想交えてお送りいたしております。


 事の起こりは謁見の間に通される僅か30分前。


 ボクを含め、カナちゃん、カイチョー、パッションピンクの4人は穂織野宮高等学園略してホノコーに通う二年生。


 入学式と始業式も片付き最初の連休も乗り越えての放課後、生徒会の用事で居残りをしていたわけである。



 そんな最中に唐突に教室へ差し込んだ目も開けられないほどの強烈な輝き!

 そのとき不思議なことが起こった!


 いやー、どこぞのRXかよ、とツッコみたがる気分も分からなくもないけど、ジッサイ遭遇したら『不思議なこと』で語る以外に説明のしようがナイね!


 専門家は魔王ロール楽しそうだし、素人からの説明序文はこんなんで良くない?



 次に目を開けた時に視界へ映ったのは石造りのギリシャ神殿のような大広間で、その中央の祭壇のような場所の上へとボクたちは佇んでいた。


 狼狽えるボクたちを取り囲むのは僧服を着た人々に、ドレス姿の可愛らしい小柄で金髪の女の子がひとり。


 このときに彼女が最も権威が高そうだとは思っていたが、実際この国の第三姫に当たるヴァジニア=シャーロット=ヘラ=パトリクシアその人だと後で知ったことはまた別の話。


 そしてその姫様が言うには「この世界に今襲い掛かる魔王の影を振り払ってもらうため異世界の方々のお力をお貸しいただきたく(以下略」……つまりは『勇者召喚』と。


 ボクらは着の身着のまま所持品を取る間も無く異世界へと連れ出されたわけだ。


 いやぁ、不思議な体験でしたね!



 ……その言葉だけで済ませられないのが現実の痛いところだよねー……。


 勇者として呼び出されたボクらを謁見の間まで連れてきて、王様へ面会。


 シャーロット姫に教えてもらった以上の情報を戴けないままに、「さぁ勇者たちよ、今こそ旅立つのだ!」と早々に城から放逐されそうになっていた状況へ待ったを掛けたのが彼である。


 待ったと言うか、先に説明したように真っ先に王様解体(バラ)したのだけども。

 解体(バラ)して晒して、でも殺しても揃えても並べてもいないから、ギリギリ零●一族出身じゃないとは思うけども。戯言ですけどもね。



「良いか異世界人共。 ぶっちゃければ、異世界トリップというか召喚だか転位だかには個人的には寛容なつもりだ。 実際、歴史を紐解けばウチの国は1000年以上昔から異邦の混じる話が語られたわけだし、他の国でも似たような伝説や神話も徒然と説かれるほど。 そもそも、【technology】の語源だって『自身らの領域外から齎された技能や資質を簒奪し自分たちの技術として確立する』ことに由来する。 誰だってやっていることだ、其処に異論は挟まない、俺だってそうする」



 謁見の間の誰もが口を挟めない空気にした張本人が、睥睨しつつ滔々と語る。


 こんな空気になったのは、そもそも彼が『国の危機だろうが世界の危機だろうが他力本願上等で呼び出した以上、誘拐犯の話を聞く道理が通るはずがねえだろうが。 つうか、法律無用の真似をした以上は反撃されたとしても文句は言えないよな? むしろ言わせないぞ? その覚悟も無しに俺たちを呼んだのだからぐうの音も出ないほどに蹂躙するからちょっと首オイテケ』と謁見の間に居る騎士とか兵士とかを手も足も出させずにヒャッハーした所為なのだが。キミは何処の妖怪(サツマ)だ。


 その上で王様(生存確認)を首だけで弄び、言うこと聞かないならこれ以上のことしちゃうぞ? と説得と言う名の脅迫を示してこの有様。


 初手で脅迫もどうかと思ったけど、何気にボク自身こういう創作物に関しては常々思うところも言ってもらったのでそれこそ異論は挟めない。



 ――でも敢えて言わせてほしい。


 召喚されて最初のターンで脅迫ってどうなん!?

 ついでに言うと先ほども、『仲良くしてネ(はぁと)』と仰っていたじゃありません!?

 同じ口で脅迫を続行できるか普通!?



「だがそれはもちろん、やられる側からすればフザケンナとしか言いようがない話だよな?」



 勇者召喚(他力本願)を肯定しておきながら、誰もが理解できることを改めて説明する烏丸くん。


 ブーメランって知ってる? キミにやられた騎士の人たちとかも思ってることだと思うよ? それもまたブーメランなのだろうけど。


 それにしても、これだけやっても死人はひとりも出ていないのは、手加減が上手いのか、それ以上の手札を持っていないお陰なのか。


 ……出来ることならば『これ以上』の悪い事実が存在して欲しくないので希望的観測が当たっている方が良いなぁ……。



「そんなわけで、俺たちを労働基準法無視で働かせたいと思うのならばまずは先に対価を示せ。3日ほど時間をやるから、精々頭を働かせろよー」



 ………………俺、『たち』?


 うわぁ!? 今まで『勇者様!』とか『これで世界は救われる!』とか言っていた人たちの視線が『オノレ魔王の手先め……!』とか『いうことを聞きますから殺さないでくださいぃぃ……!』とか言ってそうな目に代わってる!?


 彼の発言でボクらまで仲間に含まれたぁーっ!

 初対面ですよー! ボクらと彼はあんまり関係ないですよぅー!?



 でも彼の手管でいきなり右も左もわからない世界に放り出される間際を救われたのも事実だから言うに言えない。


 そんなわけでメイドさんなどに怯えられつつ、ボクらはそれぞれに個室が用意され待機と相成りました。


 うーん、これも一応監視と仲間内での相談を遮るための措置なんだろうなぁ。



 ちなみに、王様が首だけにされたくだりの辺りで、シャーロットさんの個人情報は彼の手によってさらりと暴かれている。


 歳は14、身長は142センチ、体重は49キロ、上から72、53、76。好物に嫌いなモノ、姉妹の有無に婚約者の数、普段の生活と性格、更には処女である事実まで。


 愕然とした顔でへたり込んでしまったのだから言うまでもないのだろう。


 ボクたちとしては、彼女が実は性格ブスだったとか国からの命令があってボクらを懐柔する役であったとかいう事実が一切無かったことが一番重要だ。


 少なくとも、謀略や悪感情のようなモノを抱かずに『勇者』に接してくれる人物が存在する国であることは大事だし、何より此処(異世界)で頼れる人物がいる実証になるだけでも希望は持てる。


 ……それも彼の行動(ログ)でどう転ぶかわからなくなったけどね! 人物像読み聞く限り良い子だったのに、これで()れたらどーしてくれるか!?




  ◇    ◆    ◇    ◆




 そんな心配も徒然重なった3日ほど、思いの外ボクらの生活は平和であった。


 強いて挙げるならばなんとか会話がままなるようになったメイドさん以外には城内では怯えた目を向けられることが多かったのだが、そういったことを些事として除けば食事は出るし身の回りも差し障りないし娯楽としてこの国の本などの閲覧許可を貰ったりとすこぶる快適な日々が流れた。


 無論、件の本などは読むことは叶わなかったけど。異世界だしね、使われてる文字が違うのなんて当たり前だった。


 ……そう考えると何故日本語が通用しているのかが理解できないなー。


 その辺りをシャーロットさんに尋ねても、何のことを言っているのかそのもの自体が理解できていない、って反応をされたし。


 国家が違うと言葉も違う、という常識が通用していないようだった。どういうことなんだろう。



 国内流通貨幣なんかも適当に用意してもらったりと、何気に旅の準備はゆったりと熟せて、ついに来ました期限の日。


 その日は特に城内は悚然とまたは恐々としており、誰も彼もが落ち着きのないご様子。


 それもそのはずで、国側が用意した何某かが烏丸くんの気に召さないモノであった場合は……ボクの口からはちょっと言えないなぁ……(目反らし。


 だってそもそも(おだ)てる立場なのは国側だし、その辺の責任の所在を問えば結構な割合で彼を呼び出した『勇者召喚』が悪い。


 彼が勇者と認定されているのかどうかはさておき、倫理や合理の図り処を左右する現代社会からの抑圧がなくなっている以上は、何をするのも本人次第っていう話だよね。今際の国みたいだなァー(小学感。



 結構首の皮1枚で繋がっているっぽい異世界救済の行く末。


 果たして判定は――!? と呼び出されたボクらに差し出されたのは、



「まずは、勇者様方にはこの国の歴史と文化、そして我々が導き出した魔王が存在するという推測と、それを討伐していただくための準備と情報を差し出しましょう」



 ………………よっしゃセーーーーーーフ!!!


 此処で報酬の話や美女を差し出すみたいな篭絡手段に出ない辺り堅実だよ! 本当に国側の全意見として差し出されているのかは不明だけど、そこを弁えてこの選択をした辺りかなり有能だよこの王様っっ!



 シャーロットさんの例から察せられたのだろうけど、烏丸くんに基本嘘は通じないのだろうと思っていい。


 国側が把握する限り、烏丸くんとシャーロットさんとの間に接点なんてもちろん無く、それなのに初見で大体の個人情報を掌握した事実が存在するからだ。


 その手札の大まかな理屈は窺い知れないが、自身の裏を読める相手に腹芸なんて利くはずもないのは自明の理なので、王様始め城の人たちはそこを理解した上でこの選択に至ったのだろう。


 実際のところどう計算を働かせたのかは、ボクらは烏丸くんではないのでそこまで掌握することなんてできやしないから想像で及ばせることしかできないが、どっちにしてもセーフはセーフ。


 ボクらは大人しく話を聞く姿勢になっている烏丸くんに准えて、同じくこの世界の情報を得るべく着席したのだった。




~括弧を付ける

 割と有名で知る人ぞ知る球磨川禊または裸エプロン先輩の常套手段

 こういうロールを自ら差配するから、この色黒は『それ系』に良く勘違いされる(意図的

 ジッサイは這い拠る混沌に人格というか性質が近いので、別段全盛期の球磨川先輩みたいに破滅思考とかそんなわけではない(筈


~金城 巧

 主人公。常識と偏見を併せ持つ美少女

 サブカル知識をそこそこ抱いて、空気を読んでぶっちゃけたり押し黙ったりと何気にスタンスが強い

 本人は自己評価が低そうではあるが、物語の語り手として書き手に活用されてる時点で逸般人

 外見の公開は1章半ばまで本文では触れないので、見方によっては面白くなるかも知れない


~勇者を呼び出して城から放逐

 よくあるテンプレ。よくあってちゃアカンアカンアカン

 国家危機にこういうトチ狂ったことを実行する国家なんぞ真っ先に裏切る対象。残当である

 それを見越して国側も監視の目を強めそうではあるが、そんな手段取るなら最初から友好的に取り計らえよと言いたくなる。何処とは言わんが


~零崎●族

 おっと伏字がズレた

 しかし戯言と云い、このキンジョーちゃん先輩、初手からニシオイシンムーヴたぁ飛ばしてるなぁ(他人事


~首オイテケ

 薩摩または島津の常套科白(偏見

 それはそうと(唐突)、手のひら返しって関節柔らかい証拠だから悪いことじゃないよね(白目


~ヴァジニア=シャーロット=ヘラ=パトリクシアちゃん(14)

 愛称シャーロット姫、烏丸の被害者

 何気に幾つも年が離れていないように思えるが、この世界の年齢刻みが数え年系だったら2歳ほど下がる。…閃いた!

 スリーサイズ公開に在る通りにロリぃな外見なので実に事案。おまわりさんこっちです


~今際の国

 サンデーで完結した『今際の国のアリス』から触れていると思われる

 小学生並みの感想と小学館とを掛けているご様子。誰が上手い事言えと


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