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№018 跡片付けと言い訳 【パッションピンクのエロシーン】

抜けていた描写の補足があります

勘違いさせてごめんなさい


「――だからね、こういう形に成っちゃったのは不本意っていうか、そもそも私たちの将来が不安定だったっていうのも理由のひとつだと思うの。だからこっちとしても、形に残るようなアピールポイントが必要っていうか、わかるわよねひぎぃっ!?」



 デデーン、桃園さんタイキックー。

 いや、実際は蹴ったわけじゃなくて平手でスパァンと尻叩きの刑だけど。


 言い訳をつらつら重ねるパッションピンクに、烏丸くんは意外にも甘かった。

 絵面は、高校生のしかも上級生に下す処分とは言い難い、女生徒の下半身を下着丸出しにしてアルカイックスマイルでスパンキング噛ます男子高校生だけど。

 ……さっきの魔王降臨に比べればきっとずっと甘いよね。

 認識が程よく汚染されているようなキガスル……。


 アォン、オァン!? と泣き叫ぶ桃園さんだが、其処でボクらから許しを請うわけにはいかない。

 彼女の裏切りを見抜けなかったのは、一応は身内であるボクらの責でもあるんだ。

 『お尻叩き』と呼ぶとほんわかだけど、実情顧みるとそれってもっと幼い子に下す処罰なのでは。そんな感想も仲間内ではあると思う。

 かと言って、王様みたいにスタ●ドで殴り飛ばすわけにもいかないからなぁ。そんな内心もボクたちにはあるわけで。

 だから我慢だ、笑うなボク……ッ!



「あの、そろそろ切り上げてもらっても構わないかしら?」



 そんな奇抜な空気に、やや申し訳なさそうに切り込んで来れた勇者はカサンドラ様だった。

 誰だったのか覚えていない人のためにあらすじ的な説明をすると、烏丸くんに美味しく頂かれた妹姫のお姉さんで人妻で17歳。

 元王女で勇者で人妻で17歳。これもうわっかんねえな。


 第一回烏丸くん裁判から流れて会議に踏み込んだ時とは裏腹に、事態をボクらのキャパで収めるには状況過多になってしまったが故の参戦だ。

 話し合い如何では『この国』に対する方式が向こう側にとって一方的に厳しくなるので、そこを調整してもらうことも名目ではある。

 名目ではあるが、そもそもそんなムツカシイ立場や責任問題を高校生のボクらがどうにか判断するのは、元の世界の倫理的に身分不相応と思われるわけで。


 ……加害者側に示談金額を提示させるような話になっているが、そういう点をこちら側の言い分だけで決定する、ってどんどんと要求額天井知らずになる恐れがあるからねー……。

 諸共に恥も知らなくなる、なんて事態は引き起こしたくも無い。

 自重することを忘れたくない、結構大事な倫理面での調整です。


 しかしお姉さま、よくもまあこの絵面にツッコミ入れられたね。

 妹様は何処か羨ましそうな顔で烏丸くんのことを見てるのに。

 ……。

 うん、そっちはボクも見なかった。そういうことにしよう。



「ああ、すいません。じゃあ改めて、そちらから額案を提示してもらって結構ですよ? 大丈夫、こっちはある程度の嘘や企みなら見通せますので、腹案無しに真っ当に真心を吐き出せばいいだけのお話ですから」「アッ、アッ、アォッ」


「そのままの姿勢で怖い内容を笑顔で話さないで欲しいのだけど。出来ることなら彼女を放してから話して欲しいわ……」



 烏丸くんの膝の上で脳ミソ弄られるポ●クルみたいな声を上げてのたうつパッションピンクに、ドン引きで応えるお姉さま。

 ドン引いたのは彼の科白もあってのことかも知れないが。

 実際、字面だけだとスレッド移行しなくちゃヤバそうなのでホント自重しろください。


 そんなボクらの思惑も通じたのか、仕方なしにって感じで後ろのベッドへ放り投げる烏丸くん。

 全身こむら返ったように痙攣する桃園さんが、ビクンビクンと天蓋付きベッドの柔らかな其処へ(うつぶ)せで沈む。


 今更だが此処は烏丸くんの部屋で、昨日もシャーロット様は彼の部屋にお泊りしたみたいだから、件のベッドには彼の寝汗以上にフェロモンがスゲェ充満してるのでは。

 などとくだらない内容に妄想がシフトし掛けて逝く。

 ああでもメイドさんがベッドメイクくらいやってるから問題ないか(思考放棄。



「さて、とはいえ、俺個人としては特に大した要求も無いのですがね。やり返したから憂さは晴らしてますよ?」


「……まあ、父の暴走が原因なのだし、其処はこちらからは言えないわね。ごめんなさい、申し訳ないことをしたわ」


「うん、悪いと思ったら謝れるのだから、お姉さまは『良い人』ですよねぇ」



 人を殺したのだからごめんなさい、で済むはずが無いのだけど……。

 ああまあ、でも殺された張本人がそれで済ましているからイイ、のか……?



「笑顔で相変わらずエゲツナイこと口走るなァ、お姉さんにも通じとるのやろか」


「はい?」



 小声でカイチョーが何か言うので問い返せば、こっそりと顔を寄せて言葉を続ける。



「王族が謝る、っていう事の意味合いは世界違うても大概が似たようなモノやろ。国の代表なんやから、民の生活預かる立場なんやから易々と謝ったりできへんよ」


「あー……。前の世界でもあの国やあの国なんかが中々めんどくさい謝罪すると思ったら、そういう話なんですね」


「せやね。私らは『そういうことをしたくない』からそれ以上の追及はせえへんけど、政治の世界は狸親父ばっかりやで。下手に謝れば言質で何を要求されるか分かったモンでも無いわな」


「辛子ちゃんがトリガーハッピィに暴走しそう……」


「何聞いとったんやタッくん」



 いや、ちゃんと聞いてましたけど?

 聞いた上で鬼灯の●徹のタヌキ絶対殺すウサギ様が連想されちゃったのだから仕方がなくない?


 話を戻すがちなみに、『憂さ』を晴らされた後の件の狸親父国王様は全身骨折で半死半生だったりする。

 ……うん、その時は状況の把握と、現状理解の衝撃の方が強くて流した上に描写もスルーされてたけど、城に穴を空けた『余波』で王様は『そう』なったんだよね。

 生きては『いる』が、『それ』は加害者側(お姉さま)からは何とも言えない因果応報なので、やはりお姉さまは黙ってしまった。そんなわけである。



「とりあえず、今後とも貴方たちの生活の保障はさせてもらうわ。国の内政事情から贅沢な要求までは聞けそうにない、という部分だけ承諾してもらえれば……」


「それですがね」



 要するにこれまでと同じ生活ができるよ、と決まりかけたところへ待ったがかかる。


 え、なんすか。ボクらそれで構わないのですけど?

 まあ、同じっつったらニート生活だから、完全にダメ人間の言い分になるけども。



「ちょいとこの世界見て回りたいので、相応の許可証を付けてもらえたら有難いのです」


「! そ、それって……!」



 何故かざわめき立つカサンドラ様に、にんまり笑みで応える烏丸くん。

 あー、旅立ちですか。

 いってらっしゃい!




  ◇    ◆    ◇    ◆    ◇




「で、続きは何や? この国を出る、っちゅーよりは国内巡礼みたいなことになりそうやけど、それならそれで私らも準備あるのやしお早めにな」


「え。カイチョー着いていくの?」


「……タッくん、この状態で烏丸くんというメイン盾居なくなったら、私ら針の(むしろ)やで?」


「あ、それもそうか」



 ニート生活はどうやら割と延々的におさらばらしい。

 くそぅ。


 話をまとめて、許可取りやら何やらで準備がある、とカサンドラさんは先立って部屋を出て行った。

 ついでに妹様も引き摺って。

 旦那様と離れたくないのですわ!と愚図るシャーロット様(忠実に再現)をそれでも連れて行ったのは、そっちはそっちで片付いていない問題が残っている所為でもある。

 そこの細やかな問題にも烏丸くんが付いていかなくては意味が無い気もしたが、まとめて『よしなに』と予め告げた彼の言葉でカサンドラさんも微笑で応えていた。

 無駄な連携でシャーロット様はにげられない!


 そんなわけで、今この部屋に残っているのはボクたち被召喚組だけだが、ほぼ同じタイミングで出ようとしたところで烏丸くんに呼び止められたのである。

 ちなみに桃園さんは未だにベッドでしんでいる(死んでない。

 彼女を引き取れと言う話かもとも思ったが、それとはまた違う様だ。



「誰が肉盾ですか誰が」


「似たようなモノやろ。私らもユラちんのことをみとれなかったんも悪かったと思うけど、キミの立場そんな感じやからな。関係については引く気は無いんよ」



 言葉遣いは軽いが、そこに含まれている意味に一瞬おや? と怪訝になる。

 色々あったが、烏丸くんの身に関することでカイチョーは王様と対立していた。

 そこから、彼もまたボクたちの身内に含んでいた、とカイチョーが判断していたようにも思えたのだけど。


 ……ああ、そっか。

 パッションピンクの暴走を引き金にこちらが下手に出て、そこを狙われることをカイチョーは考慮してるのか。

 そうなると、せっかく手に入れた異世界生活幇助セットも取り上げられる恐れもあるし、烏丸くんのリベラルさを思い返せばそう連想しても可笑しくは無い。


 というか、カイチョー矢面に立ちすぎ。

 キャーカッコEー! 抱いて!



「ま、とりあえずそこまで剣呑にならんでください。さっきも言いましたけど、憂さは晴らしましたから問題なしにしましょうや」


「そのままユラちんの身柄までは預けんからね」


「俺をどういう鬼畜だと」



 そんな応酬がされているが、キミは間違いが無くオニチクですが?


 そんなことを思っていると、彼はため息ひとつ。



「つーか、今回のことは俺にも責任あるでしょう。この国には言いませんがね」


「ん?」「にゃんと」「誰だお前!?」



 三者三様の驚愕の返事が同時に出た。

 誰が誰かはお察し。桃園さんは未だに沈んでいて返事は無い。ただのしかばねのようだ。



「反応劇的過ぎでしょう……。いや、割と悪いと思ってるんですよ? 桃園先輩が暴走したのも、俺が全部説明しなかったことが元でしょう。不安にさせたのがアレなんですから」


「むしろキミは説明過多なくらいに説明していたような」


「逆説的にそれが原因、って気もします。キャパシティがひとにはあるんですし、情報量多すぎて判断すべきところをキチンと伝え忘れてた、という点も含めて」



 そんな言葉が出るってことは、やっぱりアレはわざとやってたのか。

 要らない情報の方がずっと多かったなぁ、って思ってたけども。



「とりあえず、先に言うべきことを言うべきでしたね。

 元の世界には帰れます」


「それ先に言ってよォ!?」



 涙声で起きたのは張本人の桃園さんだった。

 狸寝入りしておったなオヌシ。



~ス●ンドで殴り飛ばされた王様

 過剰表現ですがこう書くとオラオララッシュ喰らったみたいにみえるからふっしぎー



~示談

 加害者と被害者での第三者(法律)を引き合いに出さずに話を付ける方法

 当然、被害者側がクソみたいに要求を吊り上げてくるので、むしろ過剰示談という言葉がそろそろ生まれるのではと予測してる。もうある? どうなん?



~おとまり

 わかいおとこがしょうじょといっしょ。とうぜん、なにごともおこらないはずもなく以下略!



~ひとをころしてごめんなさい

 悪いことをしたら、まずは謝るのがスジだろうがぁ!



~タヌキ絶対殺すウサギ様

 オノレタヌキ(再登場



~国王! 死亡確認!

 ※生きてます



~いってらっしゃい!

 城からさよならばいばい俺はこいつと旅に出る

 相棒役は誰だろうねぇ(ゲス顔



~肉盾

 メイン盾は逃さない!



~生徒会長・嶽本サヨ

 王様と対峙したり烏丸と対立したり。生徒会長のお仕事ってちょうたいへん(絶対間違ってる



~責任云々

 前にも口走っていましたが気に掛ける者はいないご様子

 どうやら以前のは戯言扱いされたらしい…(泣



~最大の暴露

 ごめーんね!




そんなわけで異世界漂流にあるまじきスピード解決

でもできるから仕方がない

短めだけど続きは明日です

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