見舞い
「十兵衛、聞いたか?」
書状を持ったまま部屋に入ってきたのは叔父である光安だった。
「何のことですか?」
聞いたかと言われても皆目見当もつかない。
「義龍様が病気で倒れたらしいぞ!容態はそこまで悪くはないようだがな」
意外な事もあるものだな……体は丈夫そうに見えたのだが。
まぁ人は見た目で判断してはいけないと言うしな。
「近々伺わないといけませんね」
見舞いも兼ねて祝いの挨拶をするかな。
「孫四郎、喜平次はおるか?」
道三は二人を呼んだ。
「ここにおりまするぞ」
「どうかなさいましたか?」
二人はそう言いながら部屋に入ってきた。
「お前達、時が満ちたぞ。義龍は今、病気で寝込んでおる。お見舞いに来たという体で暗殺してまいれ!」
これが当主の座を奪う絶好の機会だろう。
今、この時を逃す手はない。
「それは上手くいくのでしょうか?」
と孫四郎は不安そうに尋ねてきた。
失敗したら兄を殺そうとしたということでほぼ間違いなく自分が死ぬことになるからだろうか?
はたまた実の兄を手にかけようとしているからか?
孫四郎は恐怖を感じている様子であった。
「大丈夫じゃ。内通者もおるからお前達が直接やることもないし失敗はないと言ってもよいだろう」
実際この二人だけだとやはり確実性に関して不安があるからな。
「内通者とは誰ですか?」
と次は喜平次が聞いてきた。
「日根野弘就だ。と言ってもお前達はあまり知らないだろう」
この男は儂が美濃の当主であった時はそこまで目立つ男ではなかったが、義龍には重宝されておるらしい。
これを利用しない手はないだろう。
「儂も兵を率いて稲葉山城の近くで待機しておるから安心せい」
義龍を倒した後にすぐに城を制圧するためだ。
後はどれほどの人が義龍が死んだとなれば反乱を起こすだろうか?
そこは懸念材料ではあるが……
「美濃の未来はお前達にかかっておる!頼んだぞ」
もう一度美濃を儂の手中に収めてやる!




