道三、信長との謁見を終えて
今日はある人物が来客していた。
ある人物とは斎藤道三様である。
何でわざわざ長山城まで来たの?
絶対に何かがあるぞ……
危ないこととかだったら嫌だな……
「長山城まで自ら来たのは初めてだったかな。この山道は年老いた儂にはきついわい……」
先ずは弱音を吐いた。
これも隠居をしたいという理由なのかな?
「わざわざご足労お疲れ様です。して、今日は何用なのですか?」
できるならば聞きたくないし関わりたくない……
何故なら良くない用件を持ち込んできたに違いないからだ。
「特に用事はないのだがな」
無いのかよ!なら早く帰ってくれないかな!
まぁ用件が無いのなら面倒事が増えないで良いが……
「では、何故こんなところに?」
本当に何もないならこんなところに訪れるはずがない……はずだ。
「ついこの前、信長に会っての」
そういえば濃姫様が嫁いだのは織田家の信長のところだったな。
「信長とやらの力量を見定めてやろうと思うて会ってみたがあやつは強大な力を持っておるように見える」
道三様はずぼらな性格ではあるが元々、油売りを生業としていただけあって人を見る目は確かである。
その道三様が言うのなら間違えはないだろう。
「ですが巷ではうつけ者と呼ばれておりますが?」
買い被りすぎではないかと自分は思ってしまった。
「あれは天才と呼ばれる部類の奴じゃな。凡人には到底理解出来ぬのであろう……阿呆と天才は紙一重とも言うしな」
確かに両方とも常人には理解出来ぬ奇行をとる。
「しかし、それでは誰もついてこないのではないですか?」
自分だったらそんな当主に従いたくはない。
先が読めないのは恐ろしいからな。
「あやつは城下町で才能のある者を探しては部下にしておるそうじゃ」
本当にそんな事をしているのか?
先ず国主が城下町に出ること自体がほとんどあり得ないのに勝手に部下を作るなんて……
それではうつけ者と言われるのも無理はない。
「そんな者が尾張を治めても大丈夫なのでしょうか?」
同盟国である尾張が潰れては困る。
不安しかないのだが……
「信長であれば尾張を纏めるのは容易いであろう」
道三様がそこまで言い張るなんて珍しい。
会ってみたいものだ。
「このままいけば、いつか斎藤家は織田の軍門に下ることになるだろう……」
道三様は何かを呟いたようだったが自分には聞き取れなかった。




