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魔王が紡いだ御伽噺(フェアリーテイル) ~tutelary編~  作者: シオン
~tutelary編~ 第三章「犠牲と友情」
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~Gewehr&Schwert~

 ただ認めてほしかった。でも私は皆に敬遠されるばかりで。

 ただ友達がほしかった。でも皆は私を追いやってばかりで。

 ただ一緒にいたかった。例え私が忌むべき概念の女神でも。


 ただ褒めてほしかった。でも私はいつも邪魔物扱いされて。

 ただ仲良くしたかった。でもあの子は私を見てくれなくて。

 ただ一緒にいたかった。例え私が酷く出来損ないの姉でも。


 ただそれだけのことなのに、少し声をかけてくれるだけでも十分だったのに。

 私達は常に孤独だった。その場に取り残されて、何も出来ないまま過ぎ去っていくみたいな焦燥感。

 実際には何も出来ず、ただ嘆いていることしか出来ないのに。

 どれだけもがいても努力しても結果は変わらなくて、いつの間にか私達は本気で努力することを諦めて束の間の夢に甘えるようになった。 


 埋める方法はただ破滅させること。壊している時だけは前を向くことが出来た。

 でもそれはすぐに終わりが来て、また下を向いて逃げ出した。


 埋める方法はただ童話を書くこと。書いている時だけは辛いことを忘れられた。

 でもそれはすぐに言葉が尽きて、また蔑んだ目で見下される。


 暗い道で佇むことしか出来なかった私達は黄泉の國で、ついに出逢った。

 それからは生きている実感に満ち溢れたが、誰かと関われば辛い思いをして、死ぬほどの激痛を味わって、鉄臭い味を噛み締めながら眠る。


「んん……ここは……どこ……? アイゼルネ……どこにいるの……?」


『私はここ……どうやら深影くんの施した魔術に無理に抵抗したせいで、私の聖力と深影くんの魔力が混ざっちゃったみたい……』


「聖力と魔力が混ざるとどうなるの?」


『聖力が水とすれば魔力は油。本来絶対に混ざり合わないものを無理に混ぜ合わせればこうなるのも当然。深影くんの魔力に私達の一体化が狂わされて暴走したのよ』


 ここから自力で抜け出すことはほぼ不可能。

 何せこの黒い煙の塊も、両手両足を拘束する薔薇の蔦のようなものも。

 すべてアイゼルネとエイスの成れの果てだからだ。


「私達、ずっとこのままなのかな……」


『さあね、でも……助けは望めないよ』


「私達……見捨てられちゃったのかな……っ」


『さあ、ね……でもあなたは一人じゃない。それだけは、忘れないで……』


 私達はまだ孤独じゃない。そんな言葉で絶望から目をそらし、微かな希望を想う。

 痛みも苦しみも、疲れもない。あるのは取り返しがつかないと言う言葉だけが心を支配する後悔のみ。

 その時二人は初めて願い、乞い、望んだ。


『誰か……助けてよぉ……っ』


 こんな結果を招くくらいなら、無駄でも努力しておけばよかった。

 努力に伴わない結果に失望して諦めた結果がこれだ。

 久しぶりに噛み締める涙の味は、想像以上にしょっぱかった。

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