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3, 保健室と

.....主人公ちゃんは変人です。

 その後はもちろん、色々とお話しさせてもらいましたとも。


 どうしてホモになったの? とか、何で彼なの? とか、襲ってる時の気分は? とか、今の気持ちは? などなど、思う存分聞けました。

 お話が終わると、一目散に腰を抜かしながら逃げて行ってしまいました。あれ? 作文?



 さて。



 私は、襲われそうだった方の不良と向き合った。

 こっちとも、お話をせねばっ!!


「す、すまなかった」


 ありゃ?

 なんかすまなかったって、謝れたんですけど。

 

「えーー........何で謝ってんすか? 危ないとこまでほっといたのも私だし.....」


「.....いや、結果助かったからな。すまん」


「謝られるより、ありがとうのがいいなーなんて」


「ありがとう」


 ......律儀な不良もいたもんだ。冗談で言ったのに。

 待てよ。この状況、かなり美味しいんじゃないか?

 襲われていた不良くん。そして、それを助けた私。少なからず私にご恩を感じているはず。

 フフッ、フフフッ。頑張れば、この友達がいないよー状態をどうにかできるんではないか? フハハーー、あったまいい私ったら!!


「じゃあ、お礼として私と友達になってよ」


「は?」


「だーかーらー、私と友達になってよ」


 そしてあわよくば、私の役作りの餌食になってよ。とは言わず、ニカッっと笑った。

 今度不良の役もらったんだよねー。丁度良かったわい!


「私、1-Cの天塚 空音。よろしくでっす!」


 と言って、私は不良くんに手を差し伸べた。

 不良くんは、頭にハテナマークをのっけながら手を掴み、立ち上がった。


「....1-Cの雨坂あまさか しずく


「おっ! 隣の席か! あー、だから朝居なかったのか。納得、納得」


 ひとつ謎が解けたぜ! とウンウン頷いてたら、


「お前、変な奴だな」


変な人認定されちゃったぜ!


「否定はしない」


「しないのかよ」


 すると不良くんもとい雨坂は、腹を抱えて笑い始めた。

 えっ、何がそんなにツボだったの!!

 ....しかーし私には、もっと重要なことがある。


「あ、あとさぁ」


「な、何」


「そろそろちゃんと服を着てくれると、嬉しいかなぁ!」


と私がもじもじしながら言うと、またヒーヒー言い出した。

 くっ、純情乙女をなめるなよ!

 男装して仕事してたから、女扱いなんてされたことなんて、全く無いんだよ。全く無いんだよ! 大切だから2回言った!! 自慢じゃないけど、彼氏居ない歴=年齢といった典型的なあれなんだかんな!!


「すっ、すげっ、今更っ」


 笑いながら着替える雨坂。

 私の学校は男子も女子も、ブレザーから学ランからセーラーからと選べる、実に嬉しいものである。校則も結構緩い。まぁ、これがこの学校を選んだ理由なんだけどな。だって、校則緩くないと、青春っぽいこと出来ない場合が多いじゃん!!

 ...けふん。話がそれたな。

 あっ、ちなみに私は公立でセーラーだったので、今は憧れのブレザーである。

 雨坂はと言うと、学ランみたいだ。

 だがしかし、服を着ているのに着ていない。シャツは、第3ボタンまで外れてるし、学ランなんかボタン全部空いてるし、胸、胸板見えてますよ!


「はぁーー....笑った笑った」


「....まぁいいや、こっち来い」


私は雨坂の手首を掴み、引っ張った。


「?」


雨坂が頭の上にクエスチョンマークをのっけた。


「さっき座ってたとこの近くに、水道があったんだよ。そこで洗え」


「こんなの、ほっときゃ治る」


「うっせー、いいから洗え。せっかくの並の上な顔が傷で台無しだぞ」


「並真っ只中なお前が何言ってんだよ」


 小学生かよっと思いながらも、私は黙って雨坂の腕を引っ張って、傷口をあらった。

 うわっ、本当に傷だらけだなー。


「 いっ 」


「私はそこら辺の女子と違って絆創膏やらハンカチやらは持ってないからな、保健室行くぞ。まだ、時間あるっぽいし。」


「はあ? 何で俺


「いいからいいから。生々しく傷口見せびらかすのは、悪趣味だぞ? ほら、友達の頼みじゃん! 」


「....いつ、お前の友達になった」


「えっ」


 えっ、えぇーーー!

 私、勝手に友達になれたと思ってましたー!

 うわー、勝手に一人で勘違いして、私、バカだー! とあたふたしてたら、


「....仕方ねぇな、保健室どこだ」


と、頭をポリポリと掻きながらOKしてくれた。

 うわっ、何この人優しっ!! ホントに不良か?


「あ、やべっ、私も知らねぇ」


「おい」


「じゃあ、走るか」


「は? ってうわ!」


 私は取りあえず、雨坂の腕を引っ張って走った。

 保健室だし、多分一階だろと言う変な理論のもと、一階を走った。


「おい、目立ってるぞ」


「気ーにすーんなー」


「おい」


 結果、保健室は一階の端っこにあった。

 だが、というかもちろん、保健室の先生に怒られました。すんません。そして、雨坂には睨まれた。すんません。

 先生は溜め息ひとつ付くと、先生これから部活動のやつの準備だから、自分たちでやっといてと言って、去って行った。


「なげやりだな」


「うん、そうだね」


 私も溜め息をひとつ付いた。


「とりあえず、そこ座っとけ」


 私は雨坂を強引に座らせ、そこら辺を漁って道具を探した。

 見つけると、せっせと手当てを始める。


「....お前、手当て出来んのか? いかにも不器用って感じだが」


「失礼なっ!! ...まぁ、慣れじゃ慣れ」


「嫌な慣れだな」


.............。


しばらく沈黙が続いた。

 えっ、なんでシリアs、シリアルな感じになってんの!!

 私は、沈黙に耐えきれず、声を掛けた。


「なあ! 雨坂!! 部活紹介の後の部活見学、一緒回らないか?」


「俺は部活なんか入んねーぞ」


「まぁ私も入る気は無いんだけれども、一応、一応ね。人脈作りにも良いし、面白そうなのあったらしゅざ、いやなんでもない。....とにかく行こう!」


声優にとって、人脈作りは大切だし、出来るなら取材もできたらいいなぁと言うのが本音です。


「まぁ、暇だし、少しくらいなら」


 ....お? もしかしてこいつ、ツンデレという類いのやつか!!

 いいじゃないか、いいじゃないか!!

 私はニヤニヤしながら、雨坂の背中をばんばんと叩いた。


「いって、痛っ、何っ、だよ」


「いやー、友達っていいなーって、友達サイコーだなーって」


「........」




雨坂は今後、ツンデレとおかんが混ざった風になります(多分)。

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