第二話 「どうやらやり過ぎたようです」
改めて自分の小説を読み返して見ました。
すると内容が論文の様で読みづらいと気付き反省中。
なので少し書き方を変えました。
どうぞ。
二度ある事は三度あると言う。
「……は?」
夜宵は先程の出来事に呆然としていた。本日(?)三度目である。
目の前には破壊された世界の光景が広がっていた。破壊された部分の下からは白い世界になっており、破壊された証拠としてガラスが雑に砕かれた様に辺りに地獄の世界の破片が飛び散っていた。
「これは……もしかして『やっちゃった♪ てへぺろ☆』って事で良いのか?」
良くない。
夜宵自身、地獄を破壊する気は毛頭無かったのだがこれが現実である。もし全力でやっていたらどうなっていたのか、考えても恐ろしい。
「……ぐ、うぅ……」
「ん?」
突如、呻き声が聞こえ夜宵はその声の方向に顔を向ける。そこには夜宵の一撃で鎧を破壊され満身創痍になった人物がいた。
先程まで重圧達を率いていた一際大きな重圧だけが鎧を着込んでいたので恐らくこいつだろうと夜宵は感じた。
「へぇ、世界を破壊されても生きてる奴がいるなんて驚きだぜ。……いや、アンタ等は既に死んでたか」
「む、うぅ……何と言う一撃。天晴れでござる……」
満身創痍の彼を見た夜宵の第一印象は「侍だな」だった。
鎧を破壊され、その下に着込んでいた和服もボロボロになり上半身が裸だった。下は袴を履いており腰に刀を差しているのに目が入った。
もう紛れも無い侍である。
「しかしこの一撃……生涯味わった事の無い程強烈でござった……」
「さて、どうするんだ? どう見てもあんた達に勝ち目は無いぜ?」
侍は立ち上がるが満身創痍、おまけにふらついている。それに対し夜宵は無傷。夜宵の言う通り勝ち目は無い。
だが侍の取った次の行動は単純なものだった。
「お主の言葉はもっともでござる……。 此方から仕掛けてしまった不始末、誠に申し訳ない」
侍は潔く頭を下げ謝罪する。その行為に夜宵は驚愕した。確かに最初は夜宵を取り囲んだが、ただそれだけであって寧ろ被害者だ。
「オ、オイオイそりゃあ原因はあんた達に有るかも知れねぇがこの地獄の世界を破壊してしまったのは俺だぜ? 寧ろ被害者のあんた達が謝る必要ねぇよ」
「いや、原因が此方側に有るからこそ謝罪せねばならぬ。すまない」
「うっ……」
夜宵も少し慌てて侍の頭を上げさせようとするが侍は謝罪の一点張りで動かない。流石の夜宵も礼儀を全く欠いている訳では無いので仕方無く謝罪を受け取った。
「分かった。流石にずっと頭を下げさせるのも癪だし受け取るぜ」
「感謝いたす」
夜宵が謝罪を受け取ると侍は顔を上げた。お互いに戦う気も無くなりようやくやり辛い雰囲気から抜け出した夜宵は辺りを見渡す。
「しかし……こりゃやり過ぎたな。力の出力をある程度上げただけでこれだからいよいよ力加減も考えないとな。自重はしないけど」
「今さらっと恐ろしい言葉が耳に入った気がしたのでござるが……それよりも地獄がこの有様では……どうすれば良いものか……」
辺りは破壊された地獄の世界。いや、地獄の世界の破片があちらこちらに飛び散っているので完全に破壊された訳ではない。崩壊寸前といった所だろう。
「確かにこの有様じゃあすぐに自然崩壊して無くなるな」
「む? その言い方からして何かしら元に戻す方法が有るのでござるか?」
「そりゃあ当然有るさ。やっちまった本人しか知らないからな」
夜宵の発言に勘が鋭いのか、何処か疑問に引っ掛かった侍は彼に問う。夜宵はその問いに自信満々に返す。
「まぁ見てな。パパッと終わらせてやるよ」
夜宵はそう告げると右腕を前に突き出し掌を上に返すと短く呟いた。
「戻れ」
短く呟き掌を握る。すると辺りに飛び散り宙を浮いていた地獄の世界の破片が次々と集まり、白い世界を埋め尽くし再構築されて行く。
「おお……! これは……!」
次々と再構築されて行く地獄の世界に侍は感嘆の声を上げる。再構築の速度は非常に速く、十秒も過ぎると再構築を終え元通りになった地獄の世界が有った。
「さて終わり終わりっと。やっぱ師匠の言う通り、『創造』だけは日頃から扱う訓練をしていて正解だったみたいだな」
世界の再構築するという荒技を披露し、ぱんぱんと両手を叩く動作をする夜宵。彼にとっては再構築とはお手の物らしい。
「その力はもしや創造神の力でござるか?」
「さあどうだろうな? 師匠曰く、神々からの恩恵は何一つ授けられていないらしいぜ?」
どうやら侍はこの現象を目の当たりにした際に創造神の力に似通っていると感じたらしい。しかし夜宵はそれを否定する。もっとも師匠曰くなのだが。
「後はそこら辺に転がっているこいつ等だが……」
辺りを見渡した夜宵は視線を下にずらす。そこには満身創痍で気絶している亡者の兵士達だった。
「いやそれは問題無いでござる。我々亡者達には超再生の能力を授けられている故、このままにしても目を覚ました時には傷も充分に癒えておろう」
「ほお、そんなビックリ能力も有るのかよ。益々異世界に期待出来そうだ」
侍はこのまま放って置いても良いと言ったが寧ろこのまま寝かし付けた方が回復速度も速くなると遠回しに言っていた。無論、夜宵は侍が遠回しに言った事に気付いていたのだが。
どうやら侍の言う再生能力は本物の様であれほど満身創痍だった侍もこの短時間で既に大半の傷が消えていた。
「そういや、此処は地獄何だろ? なら閻魔大王サマが居ても可笑しくは無いよな」
「勿論でござる。彼女は我々亡者達を統率するお方、死後に拙者が新しく仕える事になった殿でござる」
ほほお、と夜宵はニヤリと笑う。当然、と侍が言ったのを聞き此処は本当に地獄だったらしい。
そこで夜宵は眉を顰めた。今さっき侍は何と言った?
彼女?
あの怒りの相を現した姿で有名な閻魔王が女? 拍子抜けにも程が有る。夜宵はもう一度閻魔王について尋ねた。
「オイ待てよ。アンタさっき閻魔大王サマを彼女と言ったよな?」
「誠でござるが?」
「そう普通に返答されると困るんだが……もういいや、何でも無い」
「?」
何だこれ。自分の思っていた閻魔王のイメージが悉く崩れていくのだが。しかしそこは異世界、自分が想像していた姿形が覆される何て事も可笑しくは無い。そこはスルー精神を心掛けないと此方が持たないな、と頭を抱えながら夜宵は思うのだった。
「それとアンタに質問が有る」
「拙者の答えられる範囲でならお答えしよう」
「何故アンタだけ侍の風貌に似合わない鎧なんか着込んでいたんだ?」
「!!」
夜宵は何気無く質問をしたつもりだったが侍はその事に驚いていた。その問いは侍の答えられる範囲で返答をする。
「その問いだが拙者だけが不可視の術を発動できぬ故、不可視の能力が付与されている鎧を着込まなければ姿を隠せぬのだ」
「成る程、つまり脳筋か」
「そこまでストレートに言われると言い返す言葉も無いでござる……」
「クハハハハッ」
リアルに凹み両膝と両手を地に着けて落ち込む侍。それを見た夜宵は愉快に笑う。
「しかし……何故拙者が鎧を着込んでいた事に気付いていたのだ?」
「アンタがボロボロの状態で姿を現した際に砕かれた鎧の破片があちこちに飛び散っていた、と言えばそこまでなんだが……何と無く見えてたんだよ」
「まさかあの不可視を……?」
侍はまさか見えていたとは思いも寄らなかっただろう。夜宵もはっきり見えていた訳では無い。だが姿を確認出来るまでは見えていたのだ。
「(もしかすると少年が無効化能力を発動した可能性も少なくは無い。何方にせよこの少年には敵意を感じぬ。ならば我が殿に合わせても問題無い無かろう)」
侍は夜宵を見て敵では無いと判断する。それに夜宵は生者。亡者が集うこの地獄に長居するのは余り良くない。ならば少年を閻魔王と対面させ地上に帰すのが良策だと考えた彼は夜宵に提案を持ち掛けた。
「ところで少年よ、お主の様な生者がこの地獄に長居するのは余りよろしくない。生憎我々では地上に帰す術を用いていない故どうする事も出来ぬ」
「ならどうすんだ?」
「そこで少年に我が殿と合わせたい。殿なら地上に帰す術が有る故にこれが最善の方法だろう」
「成る程、良いぜ。俺は三日月夜宵。早速だが案内頼むぜ」
「承知した夜宵殿。拙者の名は龍ノ介。では着いて来てくれ」
侍は踵を返すとそのまま闇の中を歩き始める。夜宵もそれに続いて歩き出すのだった。
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