始まりの街
全てのウィンドウが消え視界が暗闇に呑まれる。数秒もしないうちに騒めく街の中、噴水の横に立っていた。
「メニュー」
とりあえずメニュー画面を開きモーションでメニュー画面が開くように設定をする。いちいち口に出すのも面倒なので。
メニュー端で点滅するメールアイコンをタップすると[大樹の街 ユグドラシルへようこそ!]の文字と共に初心者ボーナスとしてこの世界の通貨であるジルが10000枚と初級ポーション2個、携帯食料5つが入っていた。早々に戦闘に行くつもりだったので受け取らずメニューを閉じ歩き出す。各々がメニュー画面や街並みを見ていて周囲の人にぶつかったりしているがDEXに物を言わせするりとそれらを避け細い路地へ入る。
薄暗く少し埃っぽいがあの人混みに立ち尽くしていた時よりは随分と息がしやすいように感じた。適当に歩きつつ片手でメニューからマップを開き雑貨屋のアイコンを選択すると街中の雑貨屋が選ばれた。現在地から裏路地を通って行ける場所を確認して何故か色落ちしたように見えるアイコンをタップし目的地設定をすると視界に緑の光の粒が見えた為案内に付いていく。幾つかの角を曲がり奥へ奥へ進んでいくと目的の雑渡屋へ到着した。が、扉を開けようとしても鍵が掛かっているようで開かない。
「定休日かな」
色落ちアイコンは店休の印かと諦めて来た道を戻ろうとすると雑渡屋の向かいに小さな店があることに気付く。
「ン?本屋か」
各町や国ごとに発刊されている冒険の書と呼ばれる本が戦闘や採取の際に持っておくとアイテムボーナスが入るのでパーティに一冊は可能な限り所持することを推奨されていた。幸いその店は空いているようだったので本屋は手慣らしの戦闘を終えてから行こうと思っていたが予定を変更し入店を決める。
古書と木の香りがする店内のぐるり本棚に囲われた中央に4人掛けのテーブルと椅子があり、老夫婦と思われる老人2人とこちらに背を向ける形でその向かいに帽子を被った男性が1人座っていた。入店したナーリアに気付いたお爺さんがこちらに声をかけてくる。
「いらっしゃい。ん?あんたは異邦の冒険者か?」
異邦という言葉に首を傾けそうになったがこの世界では自分達は異邦人と呼ばれることを思い出しお爺さんに向けて頷き答える。
「マァ、はい。未だ駆け出しですが」
「おやおや、もしかして迷子かい?」
「いえ、ここの向かいの雑貨屋さんに来たのですが閉まっていたのでこちらで本だけ買わせて頂こうと思ってお邪魔しました」
「ああ、あんたの客だってよ」
「今日は店休日だ」
こちらを一度も見ずにスパッと言い切った男性に呆れたようにため息を吐いたお婆さんが言う。
「不定休のくせに何言ってんだい、開けてやんな」
「いえ、また改めて来させていただくので大丈夫ですよ。とりあえずこちらでこの辺りのモンスターの一覧と草木などの情報が載った本を買いたいのですが…」
「ほお、冒険の書かい。それなら冒険者ギルドでも売ってなかったかの?」
「アー、未だ行ってないので…」
「っははは!そうかそうか。ああいや、好奇心のままに動く奴は嫌いじゃない。礼儀を捨てていなかったらな。さて、この街の周辺情報ならこれが良いだろう」
「ふふ、獣といえど人なので。お幾らですか?」
メールボックスから初心者ボーナスのジルを受け取ろうと視線を下げようとした時男性がバッとこちらを振り返った。
「獣人…」
「はい、ラビィ族です。…あ、すみません。お嫌いでしたか」
ふとこの世界には獣人迫害文化があるのを思い出し一歩下がる。
「何故…異邦人は好きな種族を選べるんじゃなかったのか」
「よくご存知で」
振り向き驚いた顔のまま言葉を絞り出すかのように話す男性に頷くとお爺さんが口を出した。
「異邦人が訪れるとき全ての国に神託があったからの。隣人として受け入れてやるようにと」
「なるほど…。ああ、すみません。話が逸れましたね。…ええと、私はマァ元の世界ではそこそこ珍しい色を持って産まれたので色々ありまして…。それで、この世界では獣人の立場があまり良くない過去があるというのを見たとき、規模感は違えど私と同じだと思ったので、ひっくり返してやろうと思ったんですよね」
自分の白髪を指に絡めながら男性を見て話す。
「産まれたことが罪なら、生きることが罪だと言えないようにしてやろうって。有用だと思わせてやることも悪くはありませんが相手優位の考え方に変わりありません。だから好きに生きる姿を焼き付けてやろうと、そう思って生きてきたしこれからもそうするつもりです。なら、私がどの種族を選ぼうとなんら問題ありません。幸い、異邦人は迫害されていると知っていても元々人間以外の種族が居ない世界でしたので、物珍しい感覚はあれど嫌悪感を持つ者は少ないようですし」
朗々と言葉を紡ぎながら男性の後ろに座る老夫婦を見ると柔らかな笑顔を男性に向けていた。
「はぁ…なるほど。異邦人は…いや、アンタは変わってるな」
「ふふ、ありがとうございます」
「…来い。店を開けてやろう」
男性が立ち上がって近づいて来たため扉への道を譲りながら話しかける。
「宜しいので、あ、いえ。ありがとうございます。すみません、本だけ買わせて頂きたいのですが」
「俺の使っていた本で良けりゃやるよ。良いよな、2人とも」
「ええ、勿論。面白いお嬢さんだからね」
「また来てくれるならそれで良いとも。そうだ、カードを交換しないかい」
穏やかな笑みを浮かべたお婆さんが頷き店奥の棚の引き出しからお爺さんが名刺サイズの緑色のカードを2枚差し出してきた。受け取ると自身の名前と顔写真の載った白いカードが2枚手のひらに現れた。
「ありがとうございます。改めてまして、異邦人ラビィ族のナーリアと申します。今後とも宜しくお願いします」
「ああ、よろしくな。ワシはパトナ。こっちは妻のセリアじゃ」
にこりと笑顔を向けカードを差し出すとお爺さんが2つとも受け取ってくれた。それを見届けてから男性が扉を開け歩き出す。
「よし、いくぞ。2人共邪魔したな」
「はい。お二人とも、ありがとうございました。また来店させていただきます」
「はいはい。またおいで」
「いつでも待ってるよ」
丁寧に扉を閉め向かいの扉に手を翳す男性を見る。男性の手元にウィンドウが現れ魔法による施錠を解除しているようだ。
「開いたぞ。入りな」
「お邪魔します」
色々な物が並んだうっすらハーブのような香りのする店内で男性は右奥にあるカウンターからカードを出しカウンター越しに差し出す。
「俺のカードだ」
受け取りカードを見ると男性の名前、ヒルガと書かれた横に頭の上に丸い耳の生えた写真が載っている。
「ジャマウ族のヒルガ。…獣人の生態は知っているか?」
「いえ」
服の下に隠していたらしい尻尾を出しながら問いかけてきたヒルガに首を振り返答しながらジャマウ族はラビィ族の進化先でネズミやハムスターモデルだったかと記憶を浚う。
「獣人は成人、10歳になると色々な地を転々とし狩りをしながら生きる。が、番を見つけたら好きな場所に腰を据えそこで生活をする」
「なるほど」
「俺も成人と同時に家を出て転々としながら生きここに腰を下ろした」
「ではヒルガさんも番が?」
「かつては居た。…お前、北の帝国は知っているか?」
公式情報を思い出しつつ口を開く。
「確かパラシリア帝国、でしたか」
「ああ。あの国は獣人差別が特に根強い国だ。俺の番はあんたと同じラビィ族。知ってるだろうが獣人の中でもラビィ族は観賞用として人気で貴族連中が飼ったり娼館に囚われた奴が多かった」
「はい」
初めて知った話だがさも知ってましたと頷き続きを促す。
「俺の番も貴族のペットにされそうだったときに逃げ出し殺された。…俺は、今でもあの貴族を殺さなかったことを悔やんでいる」
「…獣人差別は随分前に世界的に撤廃されたのでは?その貴族に罰は下らなかったのですか」
「神託により撤廃されただけで判断や処罰はその国の法律に任せられている。未遂だったことと獣人だったことを言い訳に何もなかった。事故だと片付けられたよ」
「それは…」
「風の噂でその貴族は病に侵され死んだと聞いても気は晴れなかった。俺がこの地に住む理由は永久中立国として迫害の酷いときでも何もしてこなかったからだ。だが、世界には獣人差別は未だある。なんならこの国の人間でも差別意識を持つ奴も居る」
「そうでしょうね」
「番を失った獣人は後を追うか再び番を得るかの2択だ。俺が後を追わなかったのはあの貴族をどうにか殺そうと思っていたからだが、結局はこのザマさ。準備する間にあの老夫婦にも随分と世話を掛けちまったし今更追う決心もつかねぇ」
「良いんじゃないですか。生きていれば楽しいことは沢山あります。思わぬ人に出会えることも、それこそ新たな番を得る可能性だって大いにあるでしょう」
「…ああ、今日それを思ったよ。悪いな、急にこんな話をして」
「いえいえ、獣人の生態や帝国の話は知りませんでしたし有難いことです」
「ありがとな。それで、俺が転々としてた時に使っていた本と解体ナイフ、採掘ピッケルだ。本はここユグドラシル、北のパラリシア帝国、東のチニスタの森までの動植物までなら書いてある」
カウンター下からホルダーに収まる解体ナイフや折り畳まれたピッケル、冒険者の本を出したヒルガがつらつらと説明していく。
「ありがとうございます。お幾らでしょうか?」
「ジルはいい。俺が使わなくなった物だしな」
「そういう訳にはいきませんよ。きちんとした対応が後々の信頼に関わるでしょう?」
「アンタは信用できるさ。持っていってくれ」
「でも」
「…じゃあ代わりと言っちゃなんだが、アンタのその丁寧な話し方を崩してくれないか。素じゃないだろ?」
「…そうだけど、そんなことでいいのか?」
「良いさ。せっかくの珍しい獣人仲間だ。今後とも贔屓にしてくれりゃ嬉しいがね」
目を細めて笑うヒルガにくすりと笑い返した。
「それは勿論。…そうだ、欲しい素材とかがあれば遠慮なく言ってよ。冒険者として取ってくるから」
「そりゃ助かる。そうだな…チニスタの森で稀にアマリーって名前の花が咲いてる時がある。本屋の爺さん達が好きな茶になるから見かけたら採取してくれないか」
パラパラと本をめくって植物の絵が書いてある部分を指差すヒルガに一つ頷いた。
「茶葉か。分かった、早速行ってみる」
カウンター上に置かれたピッケルと解体ナイフをアイテムポーチに入れヒルガが開いてくれたページに本に付いている紐を栞として挟み手に取って持つ。
「長々と引き止めて悪かったな。東は大型モンスターが多いし最近はどうも全体的に荒れていると聞いている。気をつけてな」
「ああ、ありがとう。また来るね」
ひらりと片手を振るヒルガに礼を言って店を出る。早速栞のページを開きザッと確認して日向に咲くという文字を頭に入れてから本をポーチに入れた。
「おっと、思ってたより時間が経ってるな」
メニュー表示から現在の時刻を見て一度大通りへ出る為歩き出す。メニュー横にtipsと書かれたアイコンが出ているのでそれをタップするとパッとウィンドウが広がって文字が並んだ。
[tips!親交を深めた住人とカードを贈り合うことが出来ます。カードはメールボックスの下、カードアイコンをタップすることで貰ったカードの確認とカードのアイテム化が行えます。住人はカードをギルドから無料で貰い住人同士やプレイヤーと交換しチャットをすることがあります。尚、住人からカードを貰った場合、自動で手元にアイテム化し出現します。]
「なるほど」
突然知らないアイテムが手元に出てきたがこのシステムだったのかと理解しtipsを閉じた。ポン、と木琴を鳴らしたかのような音が耳元で聞こえメニュー端のチャットアイコンに吹き出しマークが付いた為アイコンをタップしてウィンドウを出すとグループチャットが動いていた。
[未名称]
「人多すぎるから集合場所変更!」
「賛成」
「周りうるせぇ〜!」
「何処ですか」
「変更場所を明記しろ」
ポポポポンと連続して音が鳴りグレーの人型初期アイコンに無名のユーザー達からのチャットが飛んでくる。アカウント連携した際にフレンド登録した奴等だと判断して「東口」とだけ伝えてマップを出し目的地設定をする。大型モンスターが多いお陰かエンカウント率の低い東の森方面はレベリングには向いておらずプレイヤーも少ないらしい。足を進めていた大通りから裏路沿いへと切り替え早足で歩くと東門の手前で見覚えのある顔をした獣人達が喋っているのが見える。
「なんだ、結局お前等も獣人にしたのか」
「あ〜!やっと会えたっ!」
「あんまリアルと変わんねぇな」
「それは皆んな同じじゃん」
路地から出てすぐに話しかけたがパッと振り向いた獣人達が楽しげにどやどやと囲んできた。
「とりあえずフレンド登録しましょ」
「たしかに」
鈴のような音がして一斉にフレンド申請が飛んできた為順番に承認していくとチャット欄の名前とアイコンがノイズと共に変更されていく。
「ナーリアね」
「いつもの」
「良いだろ別に。新しく考えるの面倒なんだよ。お前たちも変わってないし」
円形にぐるり並んだ獣人達に肩を竦めて話を切ると猫耳の男が声をあげた。
「はい、自己紹介ターイム!」
「必要か?」
「1番、リーダー!ナーリア!」
突然役職を割り振られたことに呆れつついつもの事かと思い自己紹介の為口を開く。
「私がリーダーかよ。えー、ラビィ族のナーリア。レベル1。初期武器はナイフ。次」
腰に下げたナイフをちらりと見せて左隣に立つ犬耳の男へ続くよう視線で振った。
「ロウ。ヴォルフ族。オオカミルート予定。レベル5。武器は両手剣」
グレーの尻尾を左の猫耳の背中に軽く当て促す。
「ウィル!キャシー族でそのままいく予定。レベル5。武器はナイフ!」
茶色い耳をパタパタと動かして言葉を切ったウィルに軽く笑った隣の白金色の猫耳が自己紹介を引き継ぐ。
「ミハイルです。ヴォルフ族ですがキツネルートの予定。レベル5。武器は魔法。次」
隣に振ったミハイルに頷いた頬に鱗の浮いた栗毛色の男が片手を上げ話出す。
「ディミー。シャレージ族で大蛇予定。レベ5。武器は剣だけど魔法も使いたい」
手を下ろしたディミーを見て隣の赤茶色の髪を結んだ女性が腕組みを外し口を開く。
「ヘレンだ。ビード族で進化先は未定。レベル5。武器は弓だけど銃ってあるのかい?」
「あるんじゃないか?メカニカルとかいう機械の種族は居たしな。…あ、ハカセだ。レベル1。シャレージ族で同じく進化は未定。武器は魔法」
浅葱色の瞳を細めハカセが黒髪に白いメッシュの入った男へ続きを促す。
「シャレージ族のザキだ。レベル1。武器は剣だがそのうち刀が欲しいな」
腰に差した剣をポンと叩いたザキの横にいた銀髪が口を出した。
「刀は今のところ情報ないし欲しいならプレイヤーにオーダーメイドだな。…あ、俺はホルス。ビード族のレベル1。生産職になりたい魔法使い」
「このリーダーじゃ無理だよ。私はアリス。レベル1でキャシー族。猫又ルート狙い。回復メインの魔法予定」
長い金髪を揺らしくすくすとホルスに笑ったアリスが言葉を締め括り一周してきたナーリアを見る。
「全員解体ナイフ持ってるか?」
「ある!」
「よし。じゃあ、狩り行くぞ」
「おー!」
円陣を突っ切って門外へ進むナーリアにゾロゾロと付いてくる。
「何処行くの?」
「東の森」
「レベ1には厳しくない?」
「狩りって言ったけど採取がメイン予定だから」
歩きながらメニューをぽちぽちと弄りピッケルや本、解体ナイフをショートカット登録しながら話す。
「パーティって組めるの?」
「なんと、パーティ最大人数は5人です」
「ですがぁ?」
「今回に限り〜?」
「5人です」
「え〜!!」
「バカしか居らんのか」
ガーン!と態とらしく衝撃を受けたフリをするウィルにザキが切り捨てる横でロウがナーリアに話を振った。
「レイド組もうぜ」
「出来るのか?」
「知らん」
メニューを開きパーティ申請の一覧を見ても最大人数が5人とだけ表示されておりレイド情報などは載っていない。とりあえず近くに居るロウ、ハカセ、ザキ、アリスにパーティ勧誘を送りメニューを閉じた瞬間、鈴の音が聞こえた為またメニューを開くとパーティ合併の申請が来ていた。
「何これ」
「さあ?よく分からないけど出来たから送った」
ミハイル、ヘレン、ホルス、ウィルとパーティを組み申請を送って来たディミーに問うが首を傾げた為とりあえず承認ボタンを押す。
「あ、承認出来る、わ?」
「どうした?」
パーティ合併を承認するとパーティ一覧がレイド一覧へ変化しtipsが現れた為確認する。
[tips!レイドチームにてボスモンスター等へ挑む場合、そのモンスターは強化されます。又、レイドチームは通常のパーティ結成時と同じようにアイテム共有ボックスが使用できます。][この情報は世界初の情報です。共有しますか? YES/NO ]
「ン…まぁ別に良いか」
YESを押すとポーンと耳元で音が鳴りワールドアナウンスと書かれた文字がメニューの上部に流れた。
「ナーリアがやった?」
「ウン。別に隠すことでもなかったし」
「どうせレイドイベとかあるだろうしなー」
「ワールドアナウンスって他に何か流れたことあるのか?」
tipsを閉じ共有ボックスにピッケルと本を入れつつザキに聞く。
「俺は知らんが…ロウは知っとるか?」
「あー、確かカードがどうとかって何か言ってたな」
「ああ、住人のやつか」
「知ってるじゃーん」
肩を組んできたディミーを避けつつ貰ったカードを手元にアイテム化する。
「さっき知り合った住人と交換しただけでアナウンスは聞いてない」
パッと見えたことを確認してアイテムを消し全員に聞こえるように話す。
「北の帝国は獣人差別がまだあるらしい。ラビィ族が1番人気だって話だが獣人は捕まりやすいらしいから一応気をつけろよ」
「お前がナンバーワンだよ」
「捕まりやすさナンバーワンは要らねえ称号だなぁ」
野次を無視しつつ森を散策する。
「あと共有ボックスに入れた冒険者の書の栞が挟まってる部分の花が目的だから見かけたらよろしく。…レベ5組は5人でパーティ組んでた?」
「そうですね。最初から会えるのはこの5人だけでしたので」
「ああ、サービス開始から居たからな」
「今日が初日だし予定合いそうだったからねぇ」
「まぁ今後はログインもバラつくだろうし合えば組むくらいで良いんじゃねぇの」
「南の草原に行って感覚確かめてきた!」
ボックスから本を出したハカセを囲むミハイル達に問うとそれぞれ言葉が帰ってきたので指示を出す。
「じゃあとりあえず5人はサポートに回って」
「りょうかーい」
「因みに何か近づいて来てるの分かってる?」
「えっ?」
本の確認を終えたホルスが疑問符の声を出すと同時にガサガサッ!と大きな音で草木を割り巨大な熊のようなモンスターが仁王立ちして両手を上げこちらに大声で吠え立ててきた。
「先に言えよ!!!!」