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下僕の予見  作者: nainai15
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来世の自分へ

「くそっ、待ちやがれ! 家賃も借金も払ってねぇって、どういうことだコラァ!」


怒声が背後から響き渡る。金属バットを握りしめた男たちの足音が、俺の鼓動とシンクロするかのように迫ってくる。


「はぁ、はぁ……逃げないと……金なんて、もうないんだよ……」


息を切らしながら、俺は駅の改札を飛び越え、階段を駆け上がる。人混みに紛れ、ただただ前へと走る。


(あそこの道を渡ったら、地下鉄に無理やり乗って逃げよう)


「じゃあな! 借金取りどもめ!」


勝利の笑みを浮かべながら、俺は横断歩道へと飛び出した。


「やべっ、赤信号だった――」


その瞬間、視界が白く染まる。突っ込んでくるトラックのライトが、俺の全身を包み込む。


衝撃。全身の骨が折れるような痛み。そして、暗闇。


(あぁ……やっと、楽になれる)



「ノアール! ノアール! 起きて、しっかりして!」


誰かの声が、遠くから聞こえてくる。


瞼を開けると、見知らぬ少年が俺を揺すっていた。


身体が重い。いや……違う、小さい?


「……え?」


手を見れば、細く小さな子どもの手。何もかもが変わっていた。


周囲を見渡すと、レンガ造りの建物が並び、日本とはまるで異なる雰囲気が広がっている。目の前の少年は金髪で、染めているようには見えない。


(外国か? どこだここは……さっきまで車に轢かれて――)


「うっ……頭が割れる……!」


突如として激しい痛みが脳内を駆け巡る。その瞬間、さまざまな光景がフラッシュバックのように押し寄せてきた。


金髪の少年が慌てた様子で駆け寄ってくる。


「大丈夫!? ノアール!」


その声に反応するように、俺の中で何かが弾けた。混乱の中で、俺は気づいた。自分が“別の人間”として、転生してしまったことに。

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