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「ウグルア゛ァァァァ」


 月が雲で隠れ、真っ暗な一帯に方向が響く。


 獣のような姿で地に這いつくばる者と、傷だらけで目をつぶるものが対峙している。


 低姿勢で下半身に力を入れたかと思うと、獣は人の首筋に飛びかかった。


 獣の口に細いなにかが入る。鋭く大きい牙が柔らかい表面を突き刺し、そのまま噛みちぎらんとした勢いだ。そんなときでも、人は移動することをしない。

 ただただ、ようやく開けた目でじっと見つめている。その眼は、なにかを信じている、そんな印象を受けた。



 +++++



「んあ」


 頭がゆれたような感覚と首の違和感でぼんやりと意識が覚めた。まぶたの裏からでも眩しい。どうやら仰向けで寝っ転がってるようだ。背中側はふわふわした感触が、首から上は少し違う感触だが温かいのが伝わってくる。

 寝心地は悪くないが同じ姿勢というのも辛い。そろそろ起きるか。


 しょぼついている目を開く。視界には木造の天井と暖色の照明、そして狼の寝顔。


 うん、ん? どういう状況だ。


 寝顔が見えるということは、俺が座っている狼の下にいないといけないから今は……膝枕状態。天井を見るにここは慣れ親しんだ俺の家だし、一体なにがあったんだ。


 確か、図書室で本に埋もれてるこいつを起こして、喰わせたんだっけ。

 他人のようだった狼の体は俺の知っている姿に戻っている。短めの茶髪ウルフに健康を心配するくらいの体格、低身長。メガネをかけているし、いかにも文学女子って感じだ。目は大きく猫やドラゴンのような縦長のの瞳孔が特徴……適当なことを思っているうちに起きたらしい。


「あ、おはよ。今日も美味しかったよ鶲」


 開口一番に結構なことを。満足とでもいいたげな顔がとてつもなく腹立つ。


「食べたやつに言うことじゃねえよ。寝ぼけてるのなら顔面殴ってやろうか」


「いやいや、ねぼけてない。至って正常。あ、感想。首はこってるのか硬かったけど軟骨みたいだったし、腕と血は柔らかく濃厚で美味しかったよ――っていったぁ」


 無言で殴った。


「誰が食レポしろと。それが俺が作った料理を食べて言ってるのならいいが、今回の場合はなにも嬉しくねえ。ていうか、おい。お前の言い方的に全身食われてることにならないか」


 姿を戻すためにはせいぜい首をきって血を少し飲むだけでいいはずだ。


「それは冗談。今はドラゴン化してるわけでも自己喪失してるわけでもないし、そんな食べる必要はなかったからね。でも結構血を飲んだせいか全く起きなかったからもう学校に放置してこうとおもったんだけど、家に運んだってわけ。感謝してくれてもいいんだよ」


 いちいち癪に障るやつだな。もういっかい殴りたい。というかその前に、さっさと膝枕から抜け出して制服を着たい。どこにあるのかわからないが、流石に制服も運んでくれているだろう。


「お前は俺を食ってるんだからお互い様だ。それより、さっさと起きたい」


「だめに決まってる。まだ私が血を飲んでからそんな時間経ってないし、それに今自分で起きられるほどの体力戻ってないでしょ。私の力で、ドラゴンの力で早く治ると言っても少量しか与えてないんだから」


 体の回復が随分早いと思ったらそういうことか。俺の性質に上乗せで狼の性質の力が加わっているのな。首の違和感は予防接種とかのワクチンを打ったときの異物感に近い感覚だが、おそらくそこを食われたからに違いないだろう。と言うか、そうと思いたい。でなければ体にあわない竜の血を流されたことになる。狼の血ならまだしも竜の血は毒が濃すぎて、何日間か副作用がでてくるからな。


「それってお前のか。それとも竜本体のなのか。それによってだいぶ変わ――」


「で、今日はなんか要件でもあったの。それともいつものようにだべりに来ただけ? 」


 都合の悪い話題を一瞬ですり替えるそのスピードには感心するが、目を合わせろ。おい。それで本当に竜の血だったら洒落にならないんだが。

 

 後で詰めよう。とりあえずは大神田のことだ。


「ああ。ドッペルゲンガーについてと旧校舎の噂について何かしらないか」


 一瞬考えるような仕草を行ったあと、顔に疑問符を浮かべる。


「ある程度は分かるけど、その二つからなにも背景が見えてこない」


 そうか。狼から見て関連性もきっかけもなにもない話題だった。


「突然過ぎたな。少し長くなるが一旦聞いてくれ。今日、昼からの授業をサボって……」


 どこからどこまで話せばいいかわからないし、とりあえず今日起きた必要そうなことを一通り話した。ハンマー女子に大神田のこと。雑に雀鷹のことも話したら爆笑してきた。終始リアクションが絶えない狼だったが途中で話を遮ったりはしない。そういう感じがいつも心地よい。


 話し終えると、俺の話を聞いていた時に考えていたのか、悩む素振りなくすぐに答えてきた。


「いいたことは何個かあるんだけど、まずはじめに、それはドッペルゲンガーじゃないと思う」


 ドッペルゲンガーじゃない。あまり判断材料がない中でドッペルガンガーだと決めつけていた感じはあるのでなんとなく分かる。だが妙に言い切っている感じだ。狼のことだから全て予想で話しているわけではないだろうが。


「どうしてそう思ったんだ。確かにドッペルゲンガーとは実際考えていなかったが、にしても断定できるほどおかしい場所があったか」


 疑問を投げかけた俺に怪訝そうな目を向けながら説明してきた。


「まずまずドッペルゲンガーがどういうものかわかってる鶲。聞いてきてるからわからないんだろうけど。簡単に言うと知っての通り、本人と瓜二つの姿で現れる、っていうのが主な性質の化物。今回のがそれだと思ったんだろうけど、もう一つの性質である不幸を呼ぶを満たしてない。しかも、誰かさんが街中で暴れまわったせいで他も噂も流れて妖怪変化が活発化してる今、不幸を与えるのが本文のそれらが人に不幸を与えないなんて確実におかしい。だからそれはドッペルゲンガーじゃないっていう見解」


 たしかにそうか。誰も事故に巻き込まれたり怪我をしたりしていないわけだからドッペルゲンガーよりも他のものと考えたほうが自然だな。

 推理小説か何かで鍛えらえれたのだろう、さすがずっと本を読んでいるだけある。にしても説明中にこっちを睨むのはやめてほしかったが。噂に関してはお前の共犯だろ、なんてことは言えない。


「大体わかったがが、じゃああれは何の影響だ」


「それは知らない。大神田さんにもう一度話聞いてみて。なにか前後で他に変わったことないかとか」


 結局分からずか。一応報告ついでに大神田に話すとしてそのときにでも聞いてみよう。正直タイミング的にその不思議な体験は俺と狼のせいな気がするし、更に変なことになられても困るから早めに解決させておきたいのだが。といってもどこで会えるかわからないけな。四組と教えられたけど、他組のやつが話しかけに行くってことは大神田を呼び出さないといけないってわけだろ。聞く限り人気者らしいし目立つよなぁ確実に。目立つの嫌なんだよな。


「あとは、旧校舎の噂ね」


 余計なことを考えて始めた俺の頭を静止させるように次のことを話し始める。


「私が初めて噂を聞いたのは確か夏休み明けからちょっとしたくらい、割と最近。内容としては、旧校舎に誰にも見られず入るとその時考えていたことが叶うとかなんとか。よくある笑い話だけど、引退前最後の大会とかを控えた三年生を中心に広がったみたい」


 だいぶ曖昧だな。噂だからしかたがないところだけど。


「なにかもっと詳しいルールとかないのか。例えば旧校舎の何処かに行かないといけないみたいなのは」


「そういうのはないっぽい。見られないていうのが唯一の条件だけど、流行っちゃてる今は達成するのは難しそう。そもそも実際にやってる人とか願いがかなったっていう話を一つも聞いたことがないから信憑性はあんまりない」


 大神田のに関係しているかと危惧していたがどうやら違うらしい。


「噂側に危害を与えるものがないなら、急いで対処する必要はなさそうだな」


 安心してこぼした言葉に狼が過度に反応したと思うと、聞きたくないことを言い放った。


「いや、そういうわけじゃない。どっちかと言うとできるだけ迅速になにかしないといけない。そのドッペルゲンガーもどきは、彼岸にあてられた特異体かもしれないから」


 彼岸の特異体。


 いつもどおリだった夏に悪夢を見せたもの。

 散文ですねすみません。

 書きたい要素詰め込んだらセリフマシマシのよくわからない話が出来上がってました。

 伏線にするから! たぶん……。でも、次の話は説明パートっぽくなるからそこで理解してください!


 続きが読みたい! という方は、ぜひブックマーク等をお願いします。

 批評もおまちしております。



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