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ダンジョン挑戦

ーー ダンジョンへ  ーー



いつもの街に着いたあとくれない部長が

「この薬をいつでも使用できるようにしておいて。」

と言いながら3本の薬瓶を手渡した、私は初めて見るこの薬の正体が知りたくて

「部長、これはなんと言うお薬ですか?」

と思わず聞いた、すると部長は

「エリクサー」

とのみ答えた。

エリクサー?それって万能薬だよね。それほど危険なの?

思わず気持ちを引き締める私に部長は

「そこまで心配はいらないよ。ただ女性の肌に傷跡が残ったりしたら君のご両親に申し訳ないしね。」

と、私が両親とではなく祖父母と暮らしていることを知らない部長がおどけるように言った。


そしてその時友達の言葉を思い出していた。

「恵、貴方最近綺麗になりすぎ!どうしたの?どれだけ深い恋に堕ちてるの?」

と言う言葉だ。

「恋なんかしてないよー。部活が充実してるだけだよ。」

と言う言葉に友達が

「それに、勉強もすごくできるようになったし。何処かのすごい塾でも通っているの?部活、部活というけど私たちその部活見たことないわよ。」

という言葉だった。


そうなのだ冒険者同好会は、素質のないものからしたら謎の多い部活で、活動する姿や部員の姿さえ見ることができないのだ。

でも何故か学校側には認められているのである、不思議な話だ。

ひょっとして先生の中にもOBがいるの?


そんなたわいのない話を思い出している間に、部長のスキルで移動が終わりダンジョンのある街に着いたようだ。

「ここはなんという街なんですか?それと同じ王国なんですか?」

まだ私は最初の街しか知らないため、他の街や他の王国について全く知らないのだ。

「それについては、今回のご褒美ということで楽しみにしておいてください。」

と意味深な笑顔で答える部長の後に続き、街の城門をくぐる。


この街は、ダンジョンの上に出来上がった街なのだそうで、ダンジョンの入り口から魔物が溢れ出さないように、幾重にも城壁が作られており街の名を

[城壁の街 カルカルド]

と言うそうだ。


街の中はあの街とは別の意味で活気があり、多くの冒険者が目に付いた。

「ダンジョンの街というか冒険者の街と言うのが合っているような街でね、冒険者に必要なものは全て揃っているんだよ。」

と言いながら部長は、ギルドと思われる建物に入っていった。

慌てて後に続く私、中は多くの人が溢れるように喧騒と緊張それと弛緩した笑い声に包まれていた。


「ダンジョンは昼も夜も関係がないからね、何時でもこんな感じだから慣れてね。」

と言いながら部長が慣れた仕草で人をかき分けて、カウンターの受付嬢に声をかけた。

「久しぶりです。今日から暫く潜るのでよろしく。あ、それと今回は後輩がいるので二人でアタックするから部屋を二つ確保して欲しいんだが、出来る?」

というと声をかけられた受付の可愛い女性が

「クレナイ様、お久しぶりです。え!後輩の方ですか?部屋は二つですね、大丈夫です。今回もよろしくお願いします。」

と言いながら分厚い紙束を手渡してきた、それを流し読む部長は

「これ全てオッケーだ。じゃーまた後で来ますね。」

と言い残すと私に手を引いて外に向かった。



ーー これがダンジョン!  ーー



街の中央にその場所はあった。

これまでで一番分厚く高い城壁、ダンジョンの入り口を囲む壁だ。

門番のような兵士に冒険者証を見せながら中に入る。

少し薄暗いような洞窟のような場所、でも30mほど進んだところで扉がありその扉を開けると。

そこは別世界が広がっていた!

「わー!なんですかココ!空に太陽に森が見えます!」

驚く私の言葉に部長は、ニマニマしながら

「これがダンジョンさ。ここではダンジョンは別の世界という意味もあるんだよ。ダンジョンの中には人が生きてゆくために必要な物が全て揃っている。人を集め人を虜にしてダンジョンは大きくなるのさ。」

という部長の説明に半分感心しながら私はすぐに危機感を感じた。

「何かいます!」

危機感知感覚に従い戦闘体制で周囲にを探ると、100mほど先の林の中で冒険者が何かと戦っていた。

「あれは何ですか?こんな入り口近くにあんな危険生物がいるんですか?」

「ん!あ、アレね。アレはフロアボスのケンタウロスだ。10階層ごとにボスがいるんだがたまに浅い場所にも移動してくることがあるんだ。だからこそお宝があるのさ。」

と言いながら部長はその戦いを無視して別の報告に歩き出した。

私は少しばかり後ろ髪をひかれながら、部長の後をついて進むと3頭のケンタウロスが何かを漁っていた。


漁っていたのは、冒険者だったもの。

ズタズタに引き裂かれた革鎧に折れ曲がった槍や剣が、ケンタウロスの攻撃の激しさを物語る。

「部長、フロアボスと言うのは一頭じゃないんですか?」

「誰がそうなことを言ったんだ?元々ケンタウロスは群れで移動する魔物だよ、1匹の方が珍しいのさ。」

と何でもないようなそぶりで、3頭のケンタウロスに右手を振る。

風の見えない刃の魔法だ、ただその威力が台風並みだが。

切り刻まれたケンタウロスが崩れるように地面に倒れる、するとその戦いに気づいたかのように四方からケンタウロスが姿を現した。

「さあー、次は君の番だよ。」

と言う部長の言葉に頷きながら私は剣を抜きながら詠唱を唱える。

「光の道よ我が敵を貫け!」

私の伸ばした左手の先からいく筋もの光の道がケンタウロス目掛けて走る。

普段は詠唱を省略しているが、威力が欲しい時には詠唱を行なっているのだ。

光の道はケンタウロス達の身体を突き抜けてその命を奪って行く。

10頭ものケンタウロスが同じように崩れるように地面に倒れる。

[レベルが上がりました。]

と言う声と共に身体に力が巡りだす。


「今の攻撃はなかなか良かったよ。多数相手では、相手の攻撃が始まる前に倒すのがセオリーだからね。」

と言うお褒めの言葉を聞きながら私は、ケンタウロスの死体のそばに向かう。

すると死体がダンジョンに吸い込まれるように消えて後には、魔石とドロップ品が残っていた。

「これがドロップ品ですか?」

と言いながら私は、上等なブラシやお肉に革靴などをブレスレットに収納して行く。


そんな戦いを繰り返しながらその日は、10階層まで進むとボス部屋で10頭のケンタウロスと色の違うケンタウロスを相手にボス戦を行なった。

数分後、残されたドロップ品を手に取りながら私は、

「部長この指輪は何ですか?」

と尋ねた。

「それは初めてボス戦をクリアーした者にもたらされるドロップ品だね。どれかしてみて。」

と言いながら手に取り鑑定をする部長

「これは魔力の指輪だ、魔力を5000MP貯められるものだ。いいものを手にしたね。」

と言いながら私に渡してくれた、私はその指輪を右手の人差し指にはめてみた。

指輪は自動でサイズが調整されて、私から魔力を吸い出し始めた。

「魔力が吸われみたいですね。」

「君の魔力量なら問題ない量だが、いざという時の保険だね。」

と言いながら部長は奥の部屋の扉を開ける、そこには宝箱が一個、金色に輝いていた。

「金箱か最初から縁起がいい。」

と言いながら箱を開けるとその中には、箱の大きさ以上のお宝が詰まっていた。

お宝を収納してその奥の転移陣という者に自分の魔力を登録してから私たちは、外に転移した。

いつの間にか空は夕暮れに染まっていた、これなら昼も夜も関係ないわと思いながらギルドに戻った。


ギルドに入ると朝とはまた違う喧騒にキョロキョロしながら部長の後をついて、カウンターに向かう。

「買取と依頼達成を確認してくれ。」

と言いながら部長は宝箱のお宝とドロップ品を取り出して職員に預けた。

「私の指輪はいいんですか?」

「アレは君の記念品だからね、大事にするんだよ。」

そうなんだと思いながら、他の冒険者の様子を伺う。


ケモ耳の5人のパーティーがいた、革鎧がだいぶ傷んでいる。

剣や槍も少しばかり曲がったり折れたりしているようだ。

会話が聞こえてきた

「今回のケンタウロスはやばかったな!50頭ほどが1階層から3階層にかけて溢れていただろ。何名もの冒険者がやられたそうだぜ、俺たちも何とか逃げ切れたが暫くは外で装備の充実を考えようぜ。」

と言う声だった。

外の魔物を狩ることでダンジョンに挑戦する装備を新調するようだ。

そんな話に聞き耳を立てていると、

「計算が終わったようだ。」

と言う部長の声でカウンターに目を移すとそこには、山と積まれた金貨が!

「これが報酬ですか?どのくらいの価値があるんですか?」

と小声で尋ねると

「地球なら2億円ほどかな。」

「2!2億円ですか!そんなに・・・。」

絶句する私に部長は

「だから冒険者は辞められないのさ。」

と言いながら収納するとまた私の手を引いて外に向かった後、5階建ほどの大きな建物に入っていった。

「ここが寝泊まりする宿だ。」

と言うと受付に何かを見せていた、すると2枚の鍵の付いた板を渡されてその一つを私に渡しながら

「君の部屋の鍵だ、1時間後に食事だ1階の食堂に集合だよろしく。」

と言うとサッサと階段を登り始めた。

私はその後ろ姿を見ながら自分の部屋の鍵に目を移す、

「4-3、4階の3号室ね。私も早く汗を流して食事にしなくちゃ。」

と独り言を言いながら駆け足で階段を登り始めた。


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