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現実世界より異世界の方が自分に合っているみたい。地位にカネ、名声欲しいものが全てこの手に。

ーー プロローグ ーー



【 4月20日 晴れ 

  今日の活動 : 魔力の体内循環訓練

  反省    : 授業中も訓練していた為、変な声を出して先生に睨まれた 】


部活動の日誌を書き終えた私は、葉桜になった校庭の桜の木を見ながら1週間前を振り返っていた。




私こと蓮蓋(はすがい) (めぐみ)16歳は、地元の高校に入学して現在どの部活に入部しようかと見学中なのである。


同級生は90人の小さな高校ではあるが、私は半年ほど前に両親の仕事の関係で祖父母の家に預けられた為、友達という友達もいない。

高校デビューではないが、部活動を通じて友達を作りたいと毎日部活を見学していた。


「どうもピンとこないんだよな。」

独り言を言う私は一枚の部員募集のポスターに目をとめた。


【 異世界で冒険者になろう。君なら大丈夫だ! 】


と言うポスターは、誰も見向きもしない・・いや昨日までの私も気付かなかった。


「同好会と書いていると言うことは・・部員が少ないのだろう。一応覗いてみようかな。」

何故その時そう思ったのか、私は惹かれるように突然目に入り始めた矢印に導かれてある教室の扉を開けた。


「いらっしゃい、ようこそ冒険者同好会に!僕が部長の(くれない)だ。宜しく蓮蓋君」

突然そう言いながら右手を差し出した長身痩躯の男性の手を取りながら私は、

「え!宜しくお願いします。」

と答えていた。

この時から私は、この不思議で危険な部活にのめり込むことになるのである。




ーー 先ずは装備と基礎訓練からだ! ーー



その教室は不思議な空間だった。

周囲の喧騒が全く聞こえず、誰も教室に来ないどころか横の廊下を通らないのだ。


「あのう・・くれない部長、他の部員や顧問の先生は?」

「部員は君が初めてだ、顧問はまだいない。3人集まってからの話になるからね。」

「そうなんですね。で、何をする部活動なのですか?」

「文字通り異世界で冒険者として活動して、富と名声または絶対的強さをモノにするためだよ。」

「異世界?冒険者?よくわからないのですが?」

「大丈夫だ、僕がその道標だから。君は僕の後をついてくればいいだけだ、ただ最初には装備と基礎訓練が必修なので、宜しくね。」

と言うとくれない部長は、何処からともなく荷物を取り出し始めた。

「え!何処から?」

戸惑う私にくれない部長は、

「あ、驚いたねこれは定番のアイテムボックスだ。君もすぐに使えるようになるから心配無用だよ。」

と言うと革で造られた胸当て脚絆、小手などを取り出して私に着替えるように教室の隅にある更衣用の小部屋を教えてくれた。

荷物を手に取り更衣室に入り丈夫なシャツとズボンに靴、革鎧に袖を通しながら受け入れている自分に違和感を持ちながらも、ワクワクし始めている私。

「これからどうなるの?ただのオタク?それとも・・。」


着替えた私が教室に戻ると、既にザ・冒険者という出立のくれない部長が、

「これを左手にはめて」

と言いながらブレスレットを差し出す、少し大きなそのブレスレットを左手にはめると。

あら不思議腕のサイズに縮まり、何かが私の中から吸い出された。

そして目の前が真っ暗に暗転した。



気がつくと私は、山小屋のような部屋のベッドに横になっていた。

「気づいたね、ようこそ異世界に。これからの体験は君の人生に大きな意味を持つだろう、悔いのない活動を希望するよ。」

とくれない部長は言うと私の手に、長さ60cmほどのショートソードを手渡しながら出入り口のドアを開けて外に出た、私も続いて外に出るとそこは鬱蒼とした森だった。


「・・・ここは?何処ですか?」

「ここは私たちの住む地球と違う時間軸に存在する異世界だ。神が実在し魔物が跋扈する冒険者の天国だ。」

と答えるくれない部長の声をかき消すように、動物の唸り声が耳に届いた。

「何かいます!大丈夫ですか?」

「あの声はフォーハンドベアーの声だ、最初の訓練には丁度いい。さあゝ冒険の始まりだ、剣を手に構えて。」

と言いながら森の一角に目を向ける部長の真似をする私の目の前にあいつが姿を見せた。


「腕が4本!背が3mはありますよあのクマ!」

と言う私の声に部長は、

「何見てくれは強うそうだが大したことはない魔物だ。見ていなさい。」

と言うと何かを呟き手を振った。

すると大きなクマの首が「スポーン」と言う擬音と共に舞い上がった、その後に噴き出す血潮が私に現実味を与える。

「ズドーン」

と言う音と共に倒れたクマを部長は、左手を向けると一瞬でクマが消える。

「左手のリングには収納の魔道具の力があるので君のリングでも同じことが可能だよ。」

と言いながら次の獲物に目を向けた。

そう、クマは一頭ではなく3頭いるのだ。




ーー レベルアップ ーー


「動きを止めるから、ショートソードで斬りつけなさい!」

と言う声の元、動きを突然とめたクマに両手で振り上げたショートソードを叩きつけた私。

その時何故か恐怖を全く感じていなかったのは、異質な状況だったからだろうか。

「グシュ!」

私のショートソードの刃が10cmほどクマの腹に食い込み斜めに腹を裂いた。

「よし良いぞ、後ろに下がって待て。」

と言う部長の言葉に5歩ほど後ろに下がると、部長はいつの間にか手にした片手剣をクマに振るった。

「ドーン!」と言う音と共に倒れて生き絶えるクマ、それと同じくして私の中に何かが流れ込んできた。

強いエネルギーのようなそれが全身を駆け巡り、頭の中に

[レベルが上がりました。]

と言う合成音のような音声が響き私は、冒険者としての一歩を体験したのだった。


その後私の攻撃は、クマの身体を半分に切り裂くほどの威力を与える程に向上したのだった。


「よし、今日はこれで良いだろう。そのクマは君が収納してくれ。」

と言われ左手をクマに近づけて収納と口ずさむと、クマが一瞬で消えて収納された。


始めの小屋に戻りリビングのような部屋のテーブルに部長の出したお茶を飲みながら着くと。

「ステータスオープン、と念じてみなさい。」

と言われて、素直に従うと目の前に半透明なステータスプレートが現れた。

「レベルはいくらになっているかな?」

「えっと・・レベル10です。」

「中々の上がり振りだね。自分のステータスを覚えておくんだよ、後スキルポイントは幾らだ?」

「スキルポイントですか?・・350ポイントです。」

「350か、中々だ。スキルの項目を念じてみろ、取得できるスキルが表示されるはずだ。最初に撮って欲しいのをここにメモしている、それ以外は自分の好きにとるように。」

と言うと「また明日待っているよ。」と言うと奥の部屋のドアを開けて居なくなった。




ーー スキル取得  ーー




私は、メモを見ながら

「アイテムボックス2、魔力感知2、魔力操作2、身体強化1、魔力増加2、魔力回復2・・・これで良いのかしら後残りのポイントが、120ね。あとは私の好きにしろと言う事なので、気配察知と隠密と怪我が怖いから治療魔法2にクリアで良いかな。」

と言いながらポイントを消費して最後にオッケイを念じると、身体に変化が現れた。


身体がとても軽くなり周囲の情報が手に取るように頭に流れ込んで来た。

その後部長の去った扉を開けると、最初の教室につながっていた。

部長は既にいないようだ、教室を出ると突然喧騒が耳に流れ込むように私は、一高校生に戻ったのだ。

時計を確認するとおよそ1時間経過していた、あの体験を考えると4・5時間は経過しているはず。

時間の流れが緩やかなんだ。


自分の教室に戻り身支度を済ませて下校する、いつもの帰り道が違って見える。

突然車が暴走して下校中の小学生を跳ねそうな場面に遭遇!

思わず走り出した私は、車を抜き去り轢かれそうな子供を小脇に抱えて道路脇に移動すると、先ほどまで子供がいた場所に車が衝突して止まった。

「ボク、大丈夫怪我はない?」

と声をかける私にポカンとした顔の男の子は、急に顔を赤くして

「お姉ちゃんありがと。」

と言うとかけ出していった。


「私本当に強くなっているんだ。よし明日からも頑張るぞ。」

と一人掛け声をかけて家路を急いだ私。


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