近づいてくる1人目の幼馴染
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授業の合間にある短い休憩時間に幼馴染3人達は仲良く楽しそうに話をしている中でチラッと俺を見て視線が重なるも向こうから声をかけてくれる素振りは無く、他のクラスメイト達と俺は少し会話するだけで午前中の授業が終わると右側に座る男子が声を掛けてくれた。
「上坂くん。俺、田所秀平・・よろしく」
「よろしく、田所くん」
「なぁ、俺のことは秀平って呼んで・・ちなみに西中出身」
「わかったよ秀平。俺は東中出身なんだ。悠人って呼んで」
「おっけー悠人。それでさ、昼飯どうする? 手ぶらみたいだけど」
「今日は、売店に行く予定だよ」
「ならさ、一緒に行こうぜ?」
「あぁ、一緒によろしくな。ついでに学校のローカルルールとか教えてくれたら助かる」
「まかせな、悠人」
「サンキュー秀平」
教室が昼休みモードへと変わり中が良い者同士で机を寄せて弁当を食べるグループや俺みたいに売店に行くクラスメイトに別れ賑やかな教室を秀平と一緒に出て廊下を歩く。
「悠人くん!? 待ってよ!」
背後から名前を呼ぶ女子の声に聞き覚えがあり振り返ると、転入生紹介イベントから手を振っていた一条葉月だった。
「一条さん、どうしたの?」
幼馴染との初交流だけど、俺は距離をとって名字で彼女の名前を口にする。
「どうしたって、久しぶりなのに悠人くん冷たくない?」
「そうかな? あれから一度も連絡とって無かったし、なんか中学と違って距離感がわからなくてさ?」
この幼馴染達とは同じクラスにだけはなりたくなかった俺は、なんだか声をかける気分になれず距離を保っておきたかったのが本音なんだ・・でも、彼女から声を掛けてきたことで秀平が気になるらしい。
「悠人、一条さんと知り合い?」
「田所くん、知り合いじゃなくて幼馴染なの私と悠人くんはね」
「まじで? やけに悠人が他人行儀な挨拶だからさ・・けど、羨ましいぞ幼馴染イベントがあるなんて」
幼馴染関係をあえて主張せずただの知り合いでも良かったのに、なぜ幼馴染を強調するのか一条さんの考えがわからない俺がいる。
「秀平、幼馴染イベントに夢を求めない方がいいぞ? まぁ、他のクラスメイトに顔見知り程度の関係もいたんだけどなー。とりあえず、早く売店行こうぜ」
秀平と2人で売店に行くはずが、一条さんが一緒に来ることになり並んで歩く時間で彼女に話かけてみた。
「一条さん、あの2人といなくていいの?」
「結衣と一哉? 2人は別に良いんじゃないかな? 今日も仲良く一緒に食べてると思うし」
「へぇ〜今日も仲良く一緒になんだ・・・・」
中学3年の時に俺と結衣は恋人関係を築いていたけど、恥ずかしさから一条さんと一哉には秘密にしていた。
そんなバカで中学3年の時に見かけた光景に結衣と一哉は、俺が転校した後から付き合い始め今に至るのだろうと納得させてくれる情報だった。
「はぁ・・先に別れるって言っててくれたらな・・・・」
「悠人くん?」
「ん? 一条さん、なんでもないよ独り言・・今日の売店オススメは?」
「今日はね、銀色風チョコパンだよ?」
「それって、オススメの昼飯なの?」
「うん、私のお気に入り」
「・・却下だね。秀平は?」
「メロン生クリームパン」
「もういい。2人に聞いた俺が間違いだった」
なぜか腑に落ちない2人を無視して売店に陳列されてある特盛のり弁当を手にしてレジに行こうとすると、あの2人が本気でお気に入りのパンを笑顔で買う姿に絶句し口の中に甘さが広がり視線を逸らす。
なんとか俺は口の中に広がる甘さを排除した後に弁当を購入し自販機でお茶を買うと、秀平と一条さんに連れられ校舎の屋上へと向かった。
「へぇ〜屋上が昼休みに開放されるなんて凄いな?」
「そうかな? 悠人くんが行った学校はダメだったの?」
「もちろん。屋上は誰も近づけない場所だったよ一条さん」
「なんかつまんないねー進学校って」
「まぁね。みんながライバルって感じで居心地は良く無かったよ」
屋上のフェンスに背中を預け3人並んで昼飯を食べるも左右から甘い香りが漂い、のり弁を食べているはずなのにお菓子でできた弁当を食べている感覚だった。
「そういえば、悠人くんはあの家に住んでるの?」
「いや、全然違う場所にあるマンションなんだ」
「そっか、そうなんだ・・」
一条さんが俺の住む場所を何気なく聞いてきたのをあやふやに答えると、何か意味深な表情へと変わる反応が気になるも秀平が隣りにいるため聞けないまま昼休みが終わる。
午後の授業も秀平と仲良くなったことで退屈ながらも無事に終わり俺は帰りのSHRの後にまだ話していない結衣と一哉が座る窓際の席へと歩き向かったのだった・・・・。
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もう少しだけ日常回が続きます。