一哉と屋上の後で呼ぶ幼馴染
アクセスありがとうございます。
「悠人、昼飯買いに行こうぜ?」
秀平に誘われ2人で売店へと向かう途中に何にしようかと考えているうちに混み始めた売店に辿り着く。
「悠人は、今日も弁当なの?」
「そうだね。秀平はパン?」
「当然だ。至高の焼きそばパンが俺を待っている」
「普通に焼きそばを食べろよ」
「それは、焼きそばパンへの冒涜だ・・これだから、平民は・・」
秀平はとても残念そうな表情で俺に視線を向ける。
「いつから、貴族様になったんだよ? 俺が買う弁当の方が値段が高いぞ?」
「ふっ・・2個買いだから、私の勝ちなのだよ平民クン」
「ただの無駄遣いじゃねーか? ほら、順番来たぞ」
「うむ・・」
「そのキャラ続けんのかよ」
秀平は宣言通り焼きそばパンを2つ買い笑顔で売店から去って行き、直前まで悩んでいた俺は唐揚げ弁当と焼きそばパンを買ってしまった・・決してこれは秀平に影響されたからではないと呟きながら。
売店から離れ教室へと戻る途中に一哉に今朝言われたことを思い出し階段を上がり屋上へと向かいながら、買って後悔した焼きそばパンを食べながら屋上へと出ると、微妙な距離感を保ち散らばって昼飯を食べるグループの中にポツンといる一哉を見つけ歩み寄る。
「んふぉあえ!」
「口ん中飲み込んでから言えよ!?」
「んあん!」
「ニュアンスでわかるけどさ・・」
「んぐ・・って、なんのよう?」
とりあえず焼きそばパンを食べたことでしばらく空腹から逃れられた俺は、一哉の話す時間ぐらいは耐えれるだろう。
「昨日のこと結衣ちゃんに聞いたら違うって否定された・・だから、悠人の口から教えてくれないか?」
「俺と結衣の・・雨宮さんのこと?」
「あぁ・・悠人は、もう名前で呼ばないのか?」
「一哉、お前はさ・・雨宮さんのこと信じないの?」
「信じてるさ。信じてるからこそだよ。でも、あの反応・・結衣が嘘をつく仕草が・・反応なんだよ」
「ふ〜ん・・・・彼氏の一哉がそれで良いんなら、良いんじゃないか? 知らんけど」
もう結衣に対して未練も何もない俺にとってどうでも良い話で、過去の結衣との話を積極的に話す気が俺には無い。
「・・・・悠人、話してくれないか?」
「彼女の雨宮さんを信じろよ? 今は、一哉が彼氏なんだからさ」
「いや、でもさ悠人。なんか、俺が結衣を悠人から・・」
俺の言葉で察しろよと思いながら、元彼の古傷を無自覚で抉ろうとする一哉に伝える。
「一哉さ、お前気付いて無いのか? 雨宮さんが学校で俺に話しかけてこないことを」
「確かに・・いつも俺と一緒にいるから」
そろそろ昼飯を食べたい俺は適当な場所に座り、一哉のことなど気にせず唐揚げ弁当を食べることにした。
「・・なんか、変わったな? 悠人は」
「そう? お前らが、あの時から変わらないだけじゃないか?」
「かもな・・・・俺、教室に戻るわ」
「あぁ・・」
一哉がやっと教室へと帰ってくれたことで、のんびりとボッチ飯を青空を見上げ食べていると、ポケットにあるスマホが忙しなく震える。
胸元で聞こえるバイブ音を無視しながら冷えた唐揚げを食べ続けていると、スマホは静かになり再びボッチ飯に集中しようとしたところでスマホが着信を知らせるため震える。
「・・しつこいな」
さっきより長く震え続けるスマホとどっちが先に諦めるか勝負しているうちに、弁当を完食してしまった俺はスマホを手に取り画面を見る。
「一条さんか・・そういえば、番号教えてたんだよな・・・・もしもし?」
「もしもし、悠人? 今どこにいるの?」
「いつものとこ」
「どこよ? あっ・・屋上?」
「そうだよ」
「早く教室に戻ってきて」
「なんで?」
「お願い!」
一条さんは一方的に電話を切ってしまい、断ることを伝えられず通話が終わった。
「なんだよ・・せっかくの昼休みなのにさ」
屋上にはゴミ箱が設置されているわけがないため、空になった弁当箱を教室で捨てるため右手に持ち俺は一条さんに呼ばれたこともあるためゆっくりと教室へと戻ったのだった・・・・。
評価&ブクマ感謝です。




