2人の関係知る幼馴染
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「あっ・・早川先生来たから戻ろうぜ悠人」
「だな」
秀平と話を終わらせ教室へと入り席に座ってから、さっきの話を振り返り改めて窓際席にいる幼馴染3人の方を興味本位で観察していると一哉が中心となり雨宮さんと一条さんに話しかけているようだ。
一哉の前に一条さんで後ろが雨宮さんという席順のため、一哉は背中を窓に向け忙しなく2人に顔を向けて話している。そんな光景に俺は、今日は偶然を装って話しかけるチャンスを探すことにした。
午前中は席が離れていることと窓際の席に行く目的が無いためチャンスは訪れることなく終わり、昼休みに売店へと行こうと出口へと行った時に左から来た誰かと進路が重なり足を止め先に行かせると一条さんだった。
「先にどうぞ」
「・・うん、ありがと」
一条さんとの会話は無く廊下を先に歩く彼女の背中を追うと、どうやら彼女も売店に行くのが目的だったようだ。そのまま売店で列に並び弁当を買えた俺は、昨日秀平に連れて行ってもらった屋上へと1人で向かう。
屋上には数人ずつで弁当食べるグループと俺みたいに1人で食べる生徒もいるため、適当な近くに人がいない場所を見つけて座り食事を始めていると、一条さんも屋上に姿を見せここで食べるらしい。
ぼっち飯を堪能している俺には彼女が屋上に来たことを気にせず視線を手元の弁当へと戻し止めていた右手を動かしていると一条さんが近づき右隣りに座った。
「悠人くん、引っ越しのお別れの時以来だね?」
「学校で昨日会ったのを省いたらそうなるね、一条さん」
昨日は偶然一緒に昼飯を食べてからは、一度も一条さんは話しかけてこなかったのに今日はどうして彼女から近づいて来たのだろうと思いながら、拒否る理由が無いため普通に接する。
「あのね、悠人くん」
「どした?」
「・・・・スマホ、変えた?」
「あぁ、変えたよ新規で。壊れたからね」
「そっか、それで繋がらなかったんだ・・」
彼女にも俺が新規でスマホを変えた理由を教える必要が無いため、適当に壊れたことを伝えたらすんなりと納得してくれた。
「データ消えたから、なんにも残ってないんだよなー」
「あのさ、悠人くんの新しい番号教えてくれないかな?」
「別に良いよ」
「ありがと!」
一条さんの番号を聞いてかけた後に着信した番号とメッセージアプリのアカウントを友達登録したあとは、買っていた甘そうなパンを嬉しそうに食べ始めた。
「それにしても、一条さんはパンだけで足りるの?」
「ん〜本当は足りないんだけど、食べたいお弁当が売って無いんだよねー」
「ここの売店は、男子が好きそうな弁当に偏ってる感じだからね」
「でしょ? でも、コンビニとかお母さんにお願いするのもアレだしなと思いながら、結局はパンで済ませちゃうんだ」
「大変だね〜」
残りわずかになった弁当を完食し飲みかけのお茶を飲み干したことで昼飯という楽しみだったイベントが終わり、今から余った昼休みの時間を昼寝かスマホを触って時間を潰すかだけになる。
「ねぇ、悠人くんは結衣と一哉に話しかけに行かないの?」
一条さんからストレートに来た質問にどう答えようか考えながら、当たり障りのない回答をする。
「そうだね〜今のところはクラスの雰囲気を眺めて、とりあえず近くの席のクラスメイトと繋がりを作るのが先かなー」
「そっか・・なんかさ、悠人くんがすごく遠くに感じてたから」
「そう? 俺が転入生だからじゃないか? それに、雨宮さんと一哉は付き合ってんだろ?」
「えっ? なんでそれを?」
「隣りの席の秀平から教えてもらったから」
雨宮さんと一哉が恋人同士だと既に知っていた俺に驚きを隠せない一条さんに、別に2人がどんな関係だろうと関係ないからと伝えながらも馴れ初めを聞いてみた。
「いつから雨宮さんと一哉は付き合ってんの?」
「・・・・・・」
「おーい?」
「・・ごめん、悠人くん」
「ん? なんで謝るの?」
急に表情が険しくなる一条の反応に何か知っているなと思い顔を覗き込む。
「えっと・・悠人くんが転校して数ヶ月経ってからなの。それにね・・中学時代に悠人くんと結衣が内緒で付き合ってるの知ってたんだ私」
「えっ? 俺と雨宮さんが付き合ってたのしってたの? ずっとバレずに上手くいってると思ってたんだけどなー」
あいつらが付き合っていることより、彼女に雨宮さんとの関係が知られていたことの方が驚きだ。
「実はね・・・・結衣本人から聞かされてたの・・」
「そっか・・それで、雨宮さんと一哉は具体的にいつから付き合い始めてた?」
「・・・・・・」
「そこは、教えてはくれないんだね?」
「ゴメンなさい」
「まぁ、言わなくても中3の冬前からなんだろうな。そんな気がするよ・・・・」
一条さんは転校して俺が知らない期間の雨宮さんと一哉の関係をまだ知っているのだろうけど、尋ねたい気持ちが無い俺は立ち上がり彼女を屋上に置いて教室へと戻ろうと無言で立ち上がり歩くのだった・・・・。
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悠人がいない間に関係を深めた結衣と一哉・・それを知る葉月
はどういう思惑で悠人に近づくのでしょうか・・・・。




