贋金検知2
その夜、夜勤当番だけ残して日勤当番のジェロ達は勤務終了となり帰宅前の雑談時間になっている。
「ジェロが贋金を検知したって?俺の鑑定魔法の使用を素材や商品等に注力できるのはありがたいのだけどな、すごいよな」
「いえいえ、ヴィクシムさん、違いますよ。コレットさんが違和感に気付くことの方がすごいですよ」
「あら、私の話?ん?ジェロじゃない、今日はありがとうね」
「はい、いえ、お疲れ様でした……」
顔を赤くして俯き加減に返事をするジェロを見てヴィクシムがからかう。
「ははは、ジェロは相変わらずだな」
「私、そんなに怖いかな?」
「いや、コレットが怖いのは確かだけど、ジェロは皆が怖いってよ」
「もう、ヴィクシムったら。じゃあね、皆、お疲れ様でした」
「しかし、前にも聞いたけどどうやって贋金を調べるんだよ」
「贋金は利益を出すために、高価な金や銀の量を減らした替わりに安価な銅や鉄などを混ぜますよね。ただ金や銀に比べて銅や鉄は軽いので、同じ重さにするためにはたくさん鉄を入れるので、体積が増えます。だから秤で同じ重さになっても、水に沈めて溢れた量は多くなってしまうのです」
「うーん、やっぱり分からないや」
「バスチャンは肉体派だからな」
「頭脳派のヴィクシムは分かるのか?」
「え?あぁ、まぁな、何となくはな……」
「……。やっぱりジェロはすごいんだな」
「いえ、私の話を聞いて各国の貨幣を用意するよう指示されたギルドマスターのおかげです」
「アンブリス様か。あの人、あの肉体派の体だけでなく頭脳も、だからなぁ。きっと理解しているんだろうなぁ」
ギルド裏方の男3人、飲みに行っても職場の話。そう、ジェロも男ばかりの仲間内では普通に会話も出来るのであった。