プロローグ~いつかの記憶~
あぁ、終わった
自分の名誉と見栄のために周りの制止を振り切り、魔王が待つ所へ突っ走って行ったのが運の尽きだった。私の光魔法なんて相手にもされず、攻撃を食らい一瞬のうちに倒れ込んでしまった。
「何でこうなるの?私が魔王を倒して殿下と結婚…」
ボソボソと呟いていたら、誰かが心配してくれたのか私の顔を覗き込んでいる。
(まさか、殿下!?………
ミティア?…何であなたがここに)
そんな事を思っていたら彼女がボソボソと呟く
「やっと、やっとなのね」
(何?、なにを言ってるの?……… ウッ、急に頭が、)
ズキッという衝撃と一緒に様々な場面が走馬灯のように流れてきた。
でも、なにかがおかしい。1面同じ色に1か所だけ違う色を落としたような違和感がある。
それは明らかに今の私が見てきた場面ではない。けれど、どこか懐かしく、見覚えのあるような気がしてやまない。そしてものすごく落ち着かない。
(なんだろう?コレは…)
しばらく、いや実際には数十秒しかたっていなのだろう。ズキズキ痛む頭をフル回転させて必死に考えた私には長く感じた。
(あぁ、コレは前世で見た場面なんだわ)
必死の思いで辿り着いた違和感の正体。
「フフッ、皮肉なものね。何で今思い出すのかしら、もう少し早かったら今の状況は少しでも変えられたのかしら」
そんな事を考えても仕方ない事だと分かっていても考えずにはいられなかった。なんせ自分の命がかかっているのだから。
【あぁ、どうか…どうか次があるなら早めに思い出させてください】
薄れていく意識の中、最後の力を振り絞りただただ祈った。