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 荒れた荒野。


 地平線に囲まれたこの土地だが、

つい先程、俺以外の生命体は潰えてしまった。


 あるものと言えば、

『外界からの侵略者』とギルド内で騒がれた

黒龍の死体だけだろう。


 自分の手で仕留めたとは言えど、

今にも再び動きだしそうな、

そんな生命力と威圧を兼ね備えた怪物を

討伐するのだから、もはや俺自身も怪物と

呼ばれるに値するのだろうか。


 仕事終わりの一服を終えると、

俺は帰路へ着く為に立ち上がった。


「……ん?」


 立ち上がる瞬間に感じた多少の違和感。

誤差と言っても差し支えないものだが、

実の所この違和感には覚えがあった。


「"継承”、したのか?」


 この世の生命体が一定確率で

獲得出来るユニークスキル。


 その稀なスキルは謎が多く、未だに発現条件や

能力の上限など不明であり、

産み落とされた時に獲得する他ないのだが、

もう一つだけ、例外的に獲得することが出来る

手段が存在する。


 それが、"継承”である。


 使い手の意志によって大きく変化する

ユニークスキルは、その使い手の意志が消える時、

つまり死亡する際に、一瞬だが依り代を失う。


 殆どはその場で依り代を失い、

自然と消失していくのだが

いくつもの条件が重なる時、半ば無理矢理にでも

新たな依り代をつくる場合がある。


 それが"継承”についての有力な説である。


 本来稀に出現するスキルの異例な現象。


 極めて異質なその現象は、個体数が多く

新米冒険者でも討伐可能な比較的弱いモンスターから

見られることが多いと知られている。


 倒す機会が多いから、

その分発言する機会も増えているのか。

それとも、実力の有無が発現に関係しているのか。


 真相は定かでないが、

弱いモンスターからユニークスキルを

得ることが出来るというのは紛れもない事実だ。


「とは言ってもな」


 この世界で現在一体しか確認されていない

怪物からユニークスキルを得ることが

出来るなど誰が想像しただろうか。


「さて」


 獲得したユニークスキルを知るには、

1度使ってみるのが手っ取り早い。


 新たに得た感覚を探りながら、

両手を前に突き出して唱える。


「『転生』!!」


 ……え?私は今なんて言った?


 転、生?

つまり、転生するって事か?

ちょっと待て、それはまずい。

今すぐ止めないと……!!


 と思う間にも異世界の扉は開き始め、

もはや歯止めが利かないステージ

まで来てしまっている。


「嘘だろ、どうすんだよこれ!!」


 何とか抵抗を図るものの、

強大な渦巻く力に私の身体は

すっぽりと引き込まれていった。






 荒れた荒野。


 地平線に囲まれたこの土地だが、

つい先程、生命体は潰えてしまった。

ゆるりとお楽しみください。

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