破滅しかない大魔王に転生してしまった
朝日が顔に当たる。僕はベッドから体を起こす。慌ただしく人がこちらに来る気配がした。
「大魔王様。四神の一角が勇者パーティーに敗れました」
報告へ来た人物には見覚えがあった。某RPGの四天王の一角。玄武だ。僕の知ってるゲームなら一番始めに敗れたのは朱雀だ。
「朱雀が敗れたか」
「はい。勇者討伐の後任には青龍を向かわせます」
まるっきりゲームの流れだ。青龍が敗れ次に白虎。最後は目の前にいる玄武と戦う。四神は強い準にレベルが10ぐらいづつ差が存在した。
僕?僕は誰だ?大魔王?
「おい、玄武。俺は誰だ?」
「大魔王、ゲーザ様です」
やっぱりか。昨日狂った男に刺された気がしたが、転生して大魔王。これはますい。このままでは僕は勇者に倒されてしまう。すぐに策を立てなくては。
「青龍を引かせろ。俺が行く」
「お待ち下さい。それでは四神の面目がありません。是非、青龍に」
「ならん。お前が先に俺に殺されるか?」
「わかりました。青龍を引かせます」
一礼して玄武は去っていった。
ど、とうする?玄武にはああ言ったがここで勇者を倒しても、次の勇者が現れるはずだ。
どっかの魔王みたいに世界を半分に分けようと相談するか?勇者と交渉してもそんな権限はあるまい。
防衛ラインである四神の内三神が現在のうちに和平交渉だ。交渉相手は国王だ。明日城へ出向こう。
大魔王に息子がいて後ろから刺されたりしないよね?
玄武を引き連れ人間の城へ向かう。人間は恐怖し見境なく僕を襲ってくる。皆、返り討ちだ。和平交渉に来たと告げたが、王は逃げ一部の騎士団。貴族を一時拘束した。
「流石、大魔王様。勇者ではなく先に人の城を落とすとは素晴らしいです」
玄武は高揚していた。いや、和平交渉なんだけど。困ったな。
「交渉出来る人間はいないか?」
「皇太子妃候補が数名おります。次期の妃を選んでいたようです」
「よし、連れてこい」
ここに8名の美少女達が集まる。流石皇太子のお相手だ。皆、レベル高い。その中の公爵家筆頭の娘がいた。これを交渉役に使おう。
「ニーナ嬢でよろしいかな?」
「なんですの?」
「俺の手足となり王と和平交渉の使者となって欲しい」
「城を落として和平交渉ですか?占領したんです。勝利宣言しては?」
言われて見れば勝利か?イヤまだ人間は勇者と言う切り札を持っている。
「あくまで和平交渉だ」
「捕虜の安全をお約束下さい」
俺は自分が死なないための交渉を始める。平和に戦争が終わりますように。