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拷問の水滴
こんな拷問を知っているだろうか?
額に水を垂らし続けるという単純な拷問を。
その水の量は一滴。一滴と一滴とが落ちるまでの間の時間は一定。
これを長時間続ける。
すると、どうなるのか?
もしも、その拷問を受けている人間が秘密を抱えていたのなら、その行為を止めてもらう為に、全てを打ち明けてしまうだろう。
もしも、その拷問を受けている人間が犯罪者だったのなら、その罪を贖う為に、どんなに無様になろうとも許しを請うだろう。
この拷問のポイントは、「水が落ちてくる以外に脳へと与えられる刺激がない点」だと思う。
人は、ずっと同じ刺激、情報しか与えられないと簡単に壊れるらしい。
もしも、この拷問を受けている人間が、誰かに吐露すべき秘密も誰かに許しを請うべき罪もない人間なら、その人は何をすべきなのだろうか?
水滴は落ちている間は、球体であり、世界を反射する。
この水滴は世界に似ていて、世界は水滴に似ている。
いつになれば終わるのだろうか?