最終話
手紙から3日後。
八代さんは出所した。八代さんの目の前には車があり、中には男性が乗っていた。
「やあ、八代久しぶり。元気にしてたか?」
「ああ、長かったよ。まあ、お前が裏切ったことは忘れてないからな」
「まあ、俺はとりあえずサツから逃げることにしとくわ」
といい男はアクセラを踏み出発しようとした。
しかし、その瞬間車の前に2人の男女が立った
「あ!?おい!そこのカップル邪魔だどけ!」
しかし、その2人はそこから退こうとしない。そして、その後ろには八代さんの担任だった人、事務員の人が後ろにならんだ。
「これはどういうことだ?」
「まさか君からこっちに来てくれるとはね」
目の前にいた女性が話し始めた。
「私達は真犯人のあなたを捕まえに来た。ねぇ?そうでしょう?真犯人の神谷のお兄さん!」
後ろの人たちがざわつき始める。
「え?」
「あの?神谷さんが?」
そして、車の運転席から男性が降りてきた。やはり、神谷のお兄さんだった。
「いやー、心外だな。僕は元々彼と仲良くて今日は迎えに来ただけさ」
「それも、建前ですよね?私達があなたが真犯人と言う証拠を持ってきました。それをお見せしましょう。」
そして、明石と葉山は鞄から沢山の証拠を出した。
「事件の花についてです。これは、最初何を表してるか分かりませんでした。しかし、今は便利ですね携帯があるのですから。調べたところ、これは全て花言葉でした。
まず、一つ目の牧野さんの事件の『赤色のアネモネ』の花ですが、あれは『君を愛す』でした。しかし、牧野さんがなくなる前、あなたの妹さんは付き合っていましたが、別れていますよね?仲が良かった新田さんに聞きました。このアネモネですが全体の意味としては『見捨てられた、見放された』と言う意味があります。妹さんはショック受けたんじゃないでしょうか?そして、あなたはこの事件を計画した。
そして、二つ目の『ムスカリ』ですが、これは『失望』です。秋田さんはあなたの妹の担任でした。しかし、いじめを対処せず妹が亡くなった。それに対してあなたは秋田さんを殺した。
そして、最後のマリーゴールドは『友情』の意味がありますが、これも反対に『別れの悲しみ』と言う意味もあります。あなた、この後、八代さんを殺そうとしたんじゃないんですか?自分が犯人と口外する前に」
「確かに辻褄が合う。それでも、僕が殺したと言う証拠は無いでしょう」
「八代さんの誘拐」
「くっ...」
「それが何よりもの証拠です。この事件の2ヶ月前空き巣がありました。それも、仮面を被った。私達は新田さんの所にもう一度会いに行き、八代さんが仮面を被っている写真をもらいました。
その後、資料捜査に残っていた仮面の似顔絵と照合しました。結果は99%一致しました。
昔、中国の催眠に面白いものがありました。人間の心理で軽い犯罪から始め、それを段階的に上げても罪の重みがなくなると。それを利用し何回も空き巣をし、八代さんを洗脳した。
そして、何よりの手がかりがあなたの妹さんの死でした。このおかげで当時のあなたの家を見ることが出来ました。その中にあなたの靴底と事件に残っていた靴底の跡を照合したら、結果一致しました。これで、言い逃れはできませんよ」
「はあ、全部サツのお見通しか。俺の敗けだ」
そう言い高笑いする神谷さんの手にそっと手錠をかけた。
後に話を聞くと、私達の推理は合っていた。当時、親が共働きで帰りが遅く唯一の支えが妹だった。その妹が死んでしまい恨みをもった神谷の兄は殺人を始めた。八代さんの逮捕も計画通りだったと。いわゆる捨て駒だと言うことだ。元々あのまま放って置くつもりだったが、私達が再捜査を始めたせいで八代さんも殺す計画を立てたらしい。
そして、花を送った理由は妹の花好きだったので、その証としてしたことらしい。
それから1週間、2人の捜査本部は解体となった。
「何か悲しいね。短いようで長いような」
「そうですね。明石さんの推理があってこそでしたね」
「あら?よく言うじゃない。私が詰まっていたときヒントをくれたのはあなたでしょ」
「そうでしたっけ?」
その通りだ。あたしたちが一週間色々な証拠をあさっていたが、壁にぶつかることが多かった。それでも、葉山は事件の真相が見えてるかのように私にヒントをくれたのだ。だから、この事件は解決できた。
「僕はまた明石さんと同じ捜査ができることを楽しみにしています」
「その時はもっとこき使ってやるんだから」
「それは大変ですね」
と、笑顔で葉山は言う。
そして、小さな2人の本部は閉館となった。