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土精霊の兄と妹

 ハルカとアクアは少し離れた場所にある鉱山へとやってきていた。

「ハルカさん」

「なんだ?」

「私力仕事向いてないですよ?」

「ああ力仕事は任せていい、守護石の材料になる聖鉱石は精霊が宿ってることが多いらしいんだ、アクアはその時交渉してくれ」

「は、はい!」

 ハルカはツルハシを用いてすさまじいペースで坑道を作り始めた。坑道を作り始めて数日が経ったところで大きな硬い何かにぶつかった。

「ん…?」

 ハルカはアクアを呼びに行って再び戻ってきた。

「この石ツルハシじゃ砕けないんだが精霊宿ってないか?」

「…はい宿ってます」

 アクアは目を閉じてその石に触れた。

「のわ!」

 石の形が変形し人の形になった。

 その姿は茶髪に褐色の肌でまさにチャラ男といった風だった。そいつが尻もちをついた。

「あの大丈夫ですか?」

「…!だ、だ、だいじょうぶでっす!」

 ハルカはその様子を見てにやりと笑った。

「そうですか」

「はっはい!それで何の御用でしょう!」

「ああ実はな、お前の宿っている聖鉱石を譲ってもらえないか?」

「ああってめぇにきいてねぇんだけどっ!」

「ふんっ」

「ぶごべっ!」

 精霊の顔面をぶん殴る。

「もう一回言ってみろタコ」

「うぐぐっ」

「ハルカさん暴力はダメです」

「違うこれは躾だ」

「で鉱石をくれるのかくれないのか?」

「俺の体なんだやれるわけねぇだろうがッ!」

「そっかじゃあ仕方ないなアクア帰るぞ」

「え?ああはい」

 ハルカがアクアの手を引いて帰ろうとすると

「ちょちょまてよ!」

「なんだチャラ男まだなんか用か」

「アクアちゃんって言うんだよねオレとここで暮らさない?」

「え?え?」

「お父さんは許しません」

「ハルカさんはお父さんじゃないですよ?」

「それでどど、どうかな?」

「今の居場所はとっても好きなのでごめんなさい」

「ガーン!」

 チャラ男は腰から崩れ落ちた。

「腰から砕けたぞあいつ…」

「どうしたんでしょう?」

 アクアは不思議そうに首をかしげていた。

「おい」

「なんだよまたてめーかよ…」

「実はなその聖鉱石をくれるんならお前が動きやすい依代を用意してやるよ」

「なんだと本当か?」

「ついでに俺達の所属するギルドに紹介もしてやる、アクアともお近づきになれるかもな」

「マジっすか!」

「ああマジだ」

 ハルカは黒く輝いていた。

 ハルカ達はギルドに帰ってきていた。

「お帰りハルカ君アクアちゃん」

「ただいま戻りましたレヴィアさん」

「レヴィアさん狩り人候補連れてきました」

「ちーす」

「チャラ男って言います!」

 チャラ男の代わりにハルカが紹介をする。

「おい俺にはり」

「へーチャラ男君って言うんだ」

 その上からレヴィアも言葉を被せた。

「パルメたちの所属していた所で鍛えて貰っても良いですか」

「うんいいけど、何で?」

「アクアにちょっかいだそうとしてるんですよ」

 その一言で酒場の様子が一気に殺伐としたものへと変わった。

「それはゆるさねぇっ!」

「私達のアクアちゃんを!」

「「てめぇあとで裏に来やがれ!」」

 アクアのファンの狩人達から反感を買ってしまったチャラ男。

「えっえっ?」

 アクアとチャラ男だけノリについて行けてない。

「私もその性格を矯正しようと思うわ着いてきなさい」

 表情的には笑顔と呼べるものだったが目が笑っていなかった。

チャラ男はそれからレヴィアの洗礼にあい精神を汚され体はボロボロになるまで扱かれまくった。

「ゲボアッ!」

 そう叫ぶと酒場の床にチャラ男が転がった。

「おーいチャラ男君」

「がはごほがはぁっ!なんだこのやろう!」

「おー元気いっぱいじゃないか」

「お前のせいでおまえのせいでなぁっ!あのおばはん!ぼこしゅっ!」

 レヴィアの蹴りがもろにチャラ男の後頭部に当たり吹っ飛んで行った。

壁に大穴をあけ通りに転がっていた。

「レヴィアさん大変か?」

「うんまぁあそこまで歯向かってくる子も珍しいわ、結構使える子になるかもね」

 レヴィアは愉快そうに笑みを作る。

「まぁでも私をあんな風に呼ぶとは死にたいみたいね」

「あんぎゃああああっ!」

 チャラ男の断末魔が夜の村に響き渡った。

 ハルカは再び鉱石を掘りに鉱山へとやってきていた。今回は武具用の金属鉱集めだ。

 ひたすらに掘り進めていると見たことがあるような白い鉱石にたどり着いた。

「…今日はアクア居ないから放置するか」

 白い鉱石が瞬いた。それは人の形になって行く。

「何か見たことある光景だなぁ…」

 しみじみそんなことを言っている形が安定した。

「見つけて無視とかねぇだろお!」

 ヤンキー女といった風貌の褐色の少女に形を変えた。

「すげぇなここの坑道こんなんばっかいるの!?」

「こんなのとはなんだっ!」

 ヤンキー女が飛び跳ねハルカの頭を叩こうとするが届かない。

「くそっくそっ!」

 目の前でヤンキーの乳が縦揺れしていた。

「眼福だ」

「…っっっ!どこ見てんだ」

 股間に強烈な一撃を貰いハルカは床に沈んだ。

「お前は何処を蹴ってるんだ…股間は急所だぞ…」

 ハルカは転げまわりやっと立ち上がった。

「んで、何で自分から姿を現したんだ?」

「確かに気が動転してたわ人間の前に姿現すとか」

「うんそうだね」

「否定しろっ!」

「で理由」

「あーちょっと男探しててよ、こう髪が結構ロン毛でさんで結構ガングロの男」

「もしかしてチャラ男の彼女か?」

「んなわけねぇだろ!玉けるぞっ!」

「それは許せ、というか二度とするなそんなことしたらお前の乳揉むぞ」

「っ!」

 顔を赤面させて胸を隠す。

「俺はハルカ、それに似てるチャラ男を知ってるが来るか?」

「マジか!あたしはエリカってんだよろしくなハルカ連れて行ってくれ」

ハルカはエリカを連れギルドに戻ってきた。

「あらぁハルカ君それ彼女?」

「そそんなわけないじゃん!」

「否定するところが怪しい!」

「レヴィアさん、チャラ男知りません?」

「チャラ男は多分ホールに居ると思うけど、おーいチャラ男君!」

「何だよ!」

「なんであいつあんなにボコられて強気で居れるんだよ…」

 ハルカはチャラ男をある意味で尊敬していた。

「あ、兄貴発見!」

「げぇエリカッ!」

「ふんっ!」

「あひぃっ!」

 チャラ男は金的を蹴り上げられて飛び跳ねた。

「ぶくぶくぶく」

 チャラ男は泡を吹いて倒れた。

「勝手にいなくなった罰は完了!」

「兄貴性転換するしかない位のダメージじゃね?」

「「ぶるぶるぶる」」

 酒場に居た男たち全員があまりの恐怖に震えていた。

「あははーんで私も働きたいんだけどダメ?」

「エリカちゃんだっけこの酒場で働きたいの?」

「兄貴を監視出来れば何でもいいけど、出来ればこいつと一緒が良いんだけど」

「じゃあ狩り人ね、ハルカ君は新人ちゃんを教育してあげてね」

「…あーまぁ分かったよ」

 エリカは嬉しそうに笑うと書類に名前を書いた。

「ハルカの所に女の子集まってずるくないかー?」

「カワイイオンナノコハミンナノモノダー!」

 酒場でデモが始まった。

「おっさんたちのパーティーも可愛い獣人の女の子居たよな?」

「…」

 おっさんたちは立ち上がった。

「…何も言うな」

 ハルカの肩に手を乗せまるで自分たちに言い聞かせるようにハルカに言った。

「いや言うよ」

「だってお、女の子だと思って雇ったら男の娘だったんだぞぉ!」

「でも一人だけじゃなかったじゃん、おっさんたち以外にも五人くらい」

「全部…だよ…」

「それは何も言えねぇわ…うん…ごめん」

 ハルカが慰めるようにおっさんの背中を叩く。

「やれやれ、こんなところだけど良いのエリカちゃん」

「うん全然楽しそうでいい!」

「そうか歓迎するよ」

 レヴィアはエリカの屈託のない笑顔を見て笑った。

「それでぇ何でリラがエリカの面倒見なきゃいけないの!?」

「うっさいリラしばくぞ!」

「お前だけじゃない俺たち全員でみるんだ、そしてエリカは口が悪すぎだ自重しなさい」

「「はーい」」

「楽しそうでいいですね」

 アクアは微笑ましそうに見守る。

「にしても確かにこのパーティの女性の率は高すぎますね」

「男の参加希望者もいるのですが」

「お父さんは許しません!」

「それで没になるよね」

 リラがおかしそうに笑う。

「参加希望の方たちが全員邪な気持ちで加入してこようとしますから仕方ない気もしますが」

「だぁね」

 そんなこんなでロードランナーに繋がれた車でポルの繁殖過多地域へとやってきた。農作物にかなりの被害が出ているらしい。この辺りの野菜は美味しくパレの姉御が好んで買い付ける地域だ。なんとしても防がなければ酒場に大打撃を受けることになってしまう。

「エリカ準備は良いか?」

「おう!」

 エリカの武器は双剣、元が地の精なだけあってかなりの膂力と体力をもっている為短めの双剣ではなく長剣の二刀流である。

「さ狩るぞ!」

 リラが一番やりで駆けだす。

「うおりゃあああっ!」

 ポル達が一斉に逃げ出す。

「まてまてっ!」

 リラがかなりの速さで追いかけていく追い詰めた先にエリカが立っていた。

「瞬刃双波斬」

 ポル達の体が空に舞った。そして核だけのこして消滅していく。

「あっずるいぞエリカ!」

「あははっリラとはここが違うんだよここが!」

 エリカがリラの頭を馬鹿だと表現した。

「なんだとぉっ!」

 ゴンという鈍い音が響く。エリカは涙目で蹲った。

「はい今のはエリカが悪い」

「ごめんなさーいリラ」

「ふふん!まいったか!」

「リラそれもダメ」

 再びゴンという重い音が響いた。

 ホームポイントに帰ってくるとエリカもリラも大きなたんこぶができていた。

「ケガをしたのですか?」

 パルメが心配そうに駆け寄ってくる。

「「ハルカが~!」」

 二人が揃ってパルメに泣きつこうとする。

「二人が悪いんだろうが!」

 再び鉄槌が下された。

「ただいまです」

 ホームポイントで休息を取っていると斥候に出ていたアクアが戻ってきた。

「どうだった?」

「適正のポルの数に戻ったようですお疲れ様でした」

「おうアクアもお疲れ」

「はい…お二人はどうされたんですか?」

 リラとエリカはパルメの膝の上で寝ていた。

「膝枕って奴だ」

「…」

 アクアが羨ましそうに二人を見ていた。

「俺の膝でもよかったら貸すぞアクア」

「えいいんでしょうか」

「誰の許可がいるんだよ」

「は、はい」

 アクアは遠慮がちにハルカの膝に寝転んだ。

「結構気持ちいいですね?」

「何で疑問形なんだよ…」

「いえ、初めてなのになぜか懐かしい不思議な気分です」

「そっか」

 しばらくするとアクアは寝息を吐き始めた。

「俺も寝るか」

 ハルカは背の木に体を預けると眠り始めた。

そして暫くして

「「わぁっ!」」

 ハルカの両耳に大音量が響いてハルカは仰け反り背にあった木で後頭部を強打した。

「ぐおおおっ!」

「へへーん!」

「大成功!」

「あのハルカさん大丈夫ですか?」

「リラ、エリカ晩御飯半分です」

「謝るから!」

「うんうん」

「それを許すと思うてか」

 ハルカは二人の額にデコピンをお見舞いした。

「ぬああああっ!」

「いったああああ!」

「ふぅやれやれ」

「あのハルカさん」

「ん?」

「膝枕ありがとうございました」

「ん、ああ気にすんな」

 ハルカは笑みを浮かべてアクアの頭を撫でた。

「みーちゃったみーちゃった」

「レヴィアさんに言っちゃおう!」

「勝手いに言っとけ、飯食って帰るぞ」

「「はーい」」

 酒場に帰ってくるとチャラ男がこちらに気付いてなんか変な感じで近づいてきた。

「オカエリナサイマセオキャクサマハゴメイデヨロシイデショウカ?」

 何かカクカクしてるし口調もロボロボしてる。

「兄貴…」

 エリカが心配そうな顔をしてチャラ男を見る。

「金的したら治るかな?」

「何恐ろしいこと言ってんだ!」

 ハルカは驚愕した。

「これが兄と妹の関係だというのか…」

「ここの家系がおかしいんだよ…」

 レヴィアがそう突っ込んだ。

「で何であんなことになってるんだ?」

「実はメイド隊の先達たちから洗礼を受けたみたい」

「メイド隊ってそんなに怖いのパルメ」

「怖くありません皆優しいですよ」

 パルメは満面の笑みでそう言い切った。

「…そう、」

 ハルカはちらりとチャラ男を見た。

「…うん」

 ハルカは何故か頷いた。どっちが正しいかチャラ男の状況で把握したようだ。

「あっちには教養も必要だから一通り叩き込んでるの、その弊害一週間もすれば元に戻るわ」

「こんな姿!一週間もそんなの待てない!」

 エリカは泣く振りをして悪戯な笑みを浮かべそして

「あおおおおおおおおおおおおおんっッッッ!」

 チャラ男の金的を蹴り上げたのであった。夜の村にチャラ男の悲しい悲鳴が木霊した。


書いてて自分でも少し笑ったものです、チャラ男の兄としっかり者ヤンキーの妹の絡みが好きでした。意見などご自由にどうぞ~

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