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swords〜Atlantis〜  作者: 久松泰河
12/12

Part/END 折れた2本の剣

うぇい

「お前を殺す!例え刺し違えても殺す!」

「フッ、頼もしいな、その体でどこまで持ちこたえるかな?」

 激昂した俺は何度も何度も斬撃を繰り出すが、奴は避けたり、受け流したりするため、全くダメージが入らない。

「がぁぁぁ!あぁぁ!がっ!だぁぁぁ!」

「軌道がどんどんずれているぞ」

 奴が冷静に言葉を発する中で、俺は気付いた。

 それは、ヴァニッシュの能力が通じていない事。

「何故、通じない?!」

「何故か教えてやろうか?俺の持っているこの剣は全ての能力を無効化するんだ、残念だが、お前に勝ち目はない」

「嘘…だろ?!」

 目の前で起こっている状況を俺は理解した。奴は効果を無効化した、ただそれだけの事だった。

 それでも、俺は諦めずに何度も斬撃を繰り出す。

「何度やっても同じことだ。貴様には言葉も通じんのか?」

「黙れェ!この蛆虫がァ!」

 しかし、奴が言っていることは正しく、俺を乗せるための罠でもあった。

「くっ!くっ!」

「だんだん動きが鈍くなっているぞ」

 突然放たれたその言葉に気づいた時には、横腹に奴の剣が突き刺さっていた。


「……ここは?」

 とても真っ暗な場所。何かがあるわけでもなく、俺だけがただ1人居るだけ。

「…そうか、俺は…死んだのか…」

 寂しい世界に虚しい声が谺響する。

「そんな事は無い」

 ふと、そんな声が聞こえた気がした。

 見上げると、そこには一つの小さな光があった。だんだん、大きくなり、数多の世界を映し出す。

 青い大海原。

 砂の大地。

 夜にならない氷河。

 暑苦しそうな森。

 そこには俺の知らない世界があった。

 そして、雲一つない晴天に架かる……虹の架け橋。

「……。こんな所で死んでられっかよ!」

 彼の動きが最機動リブートする。

 星の…いや、星屑の光と共に!


「終わりか…ん?今、何か気配が——」

 それが奴にとって最後の言葉だった。

「お前が見ているのは……残像だ……クリムゾン、エンペストスラッシュ!」

 彼がそう言い放つと、おぞましい音とともに、神殿は崩れゆく。

 その後、すぐ近くに倒れていた少女に近寄る。

「ナノア!目ぇ覚ませ!」

 だが返事は無い。

「どうしてだよ、どうして何だよ。あの時お前は……なんて言ったのか俺には聞こえなかった。だから目を覚ませ!」

 それでも少女、いやナノアの目は開かれない。

「お前は俺に会った時、助けてくれた。何があってもその事実は揺るがない!だから、今度は俺がお前を守る!そう誓った!けど……俺は守れなかった。許してくれ、ナノア……」

 俺はありったけの思いをぶつけた。そして、その思いが届いたのか、ナノアは少しだけ目を見開かせている。

「ナノア!」

「カル……ト、私は、あなたの事が……好きと……言ったのです。だから……あなたも……私の事を、好きに……なって……ね」

 言葉を言い切ると、少女は動かなくなった。

「ナノア……くっ!神器、ヴァニッシュをナノアの命に継ぐ!媒体は……俺だ!」

 そう言うと、彼は自然に倒れた。


「うん?」

 ナノアは突然目が覚めた。そして近くにいたカルトに気づき、話しかける。

「カルト!どうして……まさか、自分の命を犠牲にしてまで、私を助けたのです?!どうして?何で私なんかを助けちゃったのです?!」

 ナノアは涙を流しながらそれでも続ける。

「カルトは、私をどう思ってたのです?まだ答えを聞いてないのです……何で…私は!カルトのそばにいれれば、幸せなのです!私はカルトが好きなの!です!だから……」

 そう言ってナノアは仰向けになっているカルトの口に唇を重ねる。

「だから……死なないで……」


「カルト!ナノア!応答して!」

 船内で叫んでいるのは、ナノラ。

 2人がアトランティスの中に入ってから、もう5時間が経つ。

 神殿は所々崩れ去り、神殿の内部が見える部分もある。

「早く、戻って来て……」


 翌日、完全に崩れ去ったアトランティス神殿の中で2人の人が倒れていると新聞で話題になった。

 その後、世界は平和になったそうだ。

 英雄は、伝説を残して去る。

 彼の言葉であった。


 END

終わり!

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