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美少女モデルは男子高校生!?  作者: 片霧 詩悠
5/8

モデル初心者~5~

今日は木曜日、昨日雑誌か発売され僕の写真が人気で専属モデルになって下さいと言われそのままなってしまった。

ツイートを開くとビューティクチャー社をフォローしているので色んな情報を載せて一気に売ろうと宣伝しているようだった。

こんなふうに世間ではお祭り騒ぎだが、凛の心は祭りほどにぎやかでは無かった。いや、違う意味で賑やかだった。


(はぁ、発売日は昨日、そしてこんだけ宣伝されたらクラスの何人かは絶対に雑誌を持っている。はぁ、学校行きたくない……誰かが『あれ?凛って凛に似てない?』とか言われて髪をおろさえたら人生が積む、今日はひっそり静かにしてよう……)


登校中は大丈夫だった。


問題はここからだ……


「早く、教室へ……」


小走りに教室へ向かう、教室へついたらすぐ授業の準備をして本を読み始めた。


しかし、本を読まずに周りに耳を澄ますと、


「この新人モデル可愛くね!」


「それ、安達垣 凛って人だっけ?」


「そうそう、ヤバくない?ツイッターとかめっちゃ凄いことになってる。ある意味炎上?みたいな」


(やばい、周りの話を聞いているとドキドキしてテンパっちゃう。もう本に集中しよ!)


「やっ!凛君」


「わあっ!びっくりした……本読んでる時にいきなり話しかけんなよ……別に良いけど。どうしたの?」


「いや、読んだかなって、新しく出た雑誌」


「読んでないけど、ツイッターで凄い盛り上がっていたよね」


(そんなガッカリそうな顔すんなよ……)


「ええと、橋野さんと華巫女さんも可愛かったね?」


「ああ!新人の安達垣さんも可愛いけどあの2人も良いよね!」


(そんな目をキラキラさせ無くても……)


「そう言えば永井、橋野さんと華巫女さんは?」


「えっ?ああ、雑誌が発売されてから少しいつも休んでるよ。多分、どこの高校に通っているのか隠すためじゃ無いかな?」


「へぇ~、大変なんだね」


話をしていると先生が教室に入ってきてクラスのみんなは静かに席についた。


そして昼休みが過ぎ5限目になった。

この時間は明日行われる新入生を迎える会の説明をする時間なので明日の一日のスケジュールや会で気おつけることやコンテストの注意点などを説明された。


(にしても永井の説明分かりやすいな)


「そして、明日一番気おつけなくてはならないのがコンテストの時間についてです。この時間については決まっていないので前のクラスの様子を見て動いて下さいとの事でした」


(初めてやる企画に前の様子を見て頑張れとか辛すぎだろ……)


この時まだ雑誌の事ばかりに気をはっていて、凛は忘れていた。


「しかしこの時、生徒会の人が指示を出してくれる事になったので安心して下さい」


(これってコンテストの話だよね……普通に説明聞いてるけどこれって明日女装してステージに上がるって事じゃないか!?)


凛はこのことを思い出すとまた『バレたらどうしよう』という考えがループして何も考えられなくなった。


まぁ、いつも通り静かに席に座っているだけだったから周りから特に話しかけられることは無かった。


こういう時ぼっちだと便利だよね……ちょっと悲しいけど。


「優勝者を選ぶためにまず、各クラスで1位を決めてその後各クラスの1位の中から優勝者を決めるという決め方になりました」


凛が何を考えているか周りは知らないのでどんどん説明が進んでゆく。


「ここまででなにか質問はありますか?」


(やべぇ、何も聞いてなかった……)


「では説明を終わります。先生から最後に何かどうぞ」


このように特別行事の前日の5限目は行事の説明をして最後に先生から一言貰って終わるのが普通だ。


「え~、永井くんが全部説明してくれちゃったから言うことないけど、明日この中の誰かが優勝して景品が貰えると良いですね。それでは終わります。永井くん、号令を」


「気おつけ……礼」


「「ありがとうございました」」


(はぁ~やっと学校終わった……早く家に帰ろう)


「なぁ凛君、これからファミレス行かない?」


「ん?どうしたの?」


「ああ、華巫女さんと橋野さんも呼んで雑誌が売れたのを祝おうと思って」


「いいね、僕も行くよ」


「ちょっと待ってて~、先生の手伝いしてから行くから」


「分かった、待ってる」


(人生で初めて友達とファミレス行く!これがただの友達ならなお良かったけど華巫女さんと橋野さんがいたら気が抜けなくなるな、色んな意味で……)



◇◇◇


先生の手伝いを終わらせて帰ってきた永井と近くのファミレス、ガヌトへ向かった。


中に入るのが少し怖かったが永井に連れられて中に入った。

そこには色んな家族連れやカップル、友達の集まりがいた。


なんか、家族以外とこういう店来るの初めてだなと改めて思う……


なんか惨め……


「ファミレスっていつもこんな人はいっているんだ」


ディナータイムなら来たことあるんだけど……


「あっ、いたいた。やぁ華巫女と橋野、どう自分たちの今回の雑誌の感想は?」


(すげぇ、さらっと入っていった)


「まぁ、いつも通りなのでは無いでしょうか。あと凛さん座ったらどうですか?ずっと立っていると疲れちゃいますし」


「ありがもうございます」


(ちゃんとこっちにも気づいてくれて良かった)


このことに関しては心の中で安堵していたが


(この雰囲気にはまだなれないな……どうしよう)


友達と遊ぶ機会があまり無かった凛はこういう『うちわ乗り』みたいなのが苦手だった。

自分の知らない話題があがるとなんかハブられているようで聞いていてちょっと寂しい感じになるからだ。


「どうしたの?なんか不機嫌そうだけど……分かった!」


永井は右手の親指と中指を擦らせて指を『パチ』と鳴らしながら人差し指で華巫女さんを指さして何が分かったのか説明をはじめた。


「何がわかったの?」


橋野さんは何がどう分かったのかまだ検討も付いていないようだった。


この様子を見て華巫女さんはちょっとムスっとしている。


「だから、今回の雑誌に新しいモデルの子が載ってツイッターとかで大騒ぎしていたでしょ?」


「うん」


華巫女さんは何故か俯いて耳が少し赤くなっていた。


「その子の話が出回っているのに自分たちの話題はあまり上がらなかったことに嫉妬しているんだよ……チラッ」


「ち、ちがっ、違うわよっ!別にその子の話題が出ているのは良いけど違う子も頑張っているんだからみんなの事を応援してあげたらいいなと思って……」


(華巫女さんってめっちゃ優しい人なんだな……今まで付き合いにくそうとか思ってすいません。あと、付き合うって友達としてだから!)


凛の中で華巫女さんのイメージが少し変わったのだった。


しかし、


「そう言えば凛さん」


「は、はいっ!」


「そんなに緊張しなくても……どうしたの?」


「な、何がですか?」


凛は平然を保とうとしているが裏声が出ている時点で詰んでいる。


(優しい人だと思った瞬間に答えにくい質問を!)


「なにか落ち着いていないようだったけれど……」


「確かに、どうしたんだ凛君?……おっと、またまた分かっちゃったかもよ!」


永井は人の悪い笑い顔をしながらまた指を鳴らした。


「今度はどうしたの?」


「あれだろ?明日のコンテストの話だよね?もしかして衣装をまだ借りていないから貸してもらいたいけど言い出せない的な感じかな?」


(いや、雑誌のことどう思っているのか聞いたらチョット恥ずかしくなっただけだけど……ここは乗っておくか)


「う、うん。僕、人に物を貸してもらうことがあまり無かったし、女の子から貸してもらうなんて今まで無かったからとう頼んだらいいかもわかんないし……ええと、明日着るために制服を貸してもらえませんか?」


(一応話せた……もう出し切った。もし断られたら『一生女の子から物借りないっ!』って誓えるくらい)


「……いいわよ、ちょっと恥ずかしいけど」


確かに顔が真っ赤になってる……


「いいんですか?」


「ええ、明日学校で渡せばいい?」


「多分大丈夫だと思うよ。1、2時限はコンテストの準備時間だからね、それまでに渡せば」


「分かったわ。明日渡しに行くわね。ええっと、私もあなたの制服借りていいかしら?」


「はいっ!大丈夫です。制服ありがとうございます!」


「明日は頑張って下さいね」


ここで凛の携帯がなった。


(誰だ?親からではないし……知らない番号だな)


「すいません、ちょっと電話に行ってきます」


「分かった~」


ファミレスの入口を出て駐輪場に移動して電話に出た。


「……もしもし」


(知らない番号って緊張するよね?なんか怖いし……)


「もしもし、お兄ちゃん」


「えっ……一華!?どうしたの?」


中条 一華いちか、凛の妹。現在中学3年生だ。凛とは反対に真っ白い髪をしている。髪も伸ばしており髪の色が同じだったら見分けがつかないほど似ている。(妹は普通の女の子で、凛が女の子よりになってしまった)凛が髪を伸ばしていることも知っているしその事を気にする様子もない。最近はあまり話せていなかった。


「携帯、買ってもらったから、登録してお兄ちゃんに電話を掛けた」


「携帯買ってもらえたのか。良かったな」


「うん」


「じゃあ、ちょっと用事があるからこの辺でね。家帰ったらまた話そうな」


「うん、ばいばい」


「ばいばい」


(一華は俺のこと嫌いじゃなかったんだな良かった……)


凛は電話を終えてファミレスの中へと戻っていく。

そこには永井達が話をしていた。


(入りにくい……)


「おお、凛。何の電話だった?」


(永井ナイスっ!)


凛は妹が電話をしてきたことをみんなに教えた。


「凛って妹いたんだね、しらなかった……」


永井は意外そうに


「何年生なの?」


「今は中学3年生、今年受験生だよ」


「へぇ~、頑張って受かって欲しいわよね」


「そうですね……」


「どうしたんですか?」


「いや、そう言えば妹に勉強の事を質問されたこと無くて……頼りないのかな」


「そんなことないと思いますよ……」


華巫女さんってやっぱり優しい人だ……こんな俺を慰めてくれる。


「よしっ!みんな食べ終わったしここでよ?」


永井が空気を読んでお開きにすることにしてくれたようだ。


「そうね、出ましょうか」


全員の会計を別々にして会計を済ませたので特にややこしい事にならずにファミレスを出ることが出来た。


「今日はありがとうございました。呼んで貰って嬉しかったです」


「別に大丈夫だよ、これからも誘うから」


「いいんですか?」


「はい、大丈夫ですよ」


「ありがとうございます!あと、制服よろしくお願いします」


「こちらこそ」


「それじゃ、お開きにしよっか。みんな、明日は頑張ってね」


(お前も頑張るんだよっ!)


とは突っ込まず全員家に向かって帰り出した


(帰ったら一華にモデルの事でも話そうかな……でも、そのせいで嫌われるのは嫌だし……でも、一華に隠し事も……ん~、一華に隠し事は出来ない!帰ったら話そう、早急に)


凛は妹が大好きであった。

一華のためなら命も髪も断つ事が出来ると自分でも考えている。


そんな妹に隠し事をすることは出来ないと凛は考え家に帰ってから一華に話をしようと決意するのだった。



◇◇◇



学校の帰りにそのままファミレスに寄ったので帰り道は暗くなっていた。昼間の気温は上がったが夜はまだ少し寒い。


家へ帰る道にはコンビニが一つあった。


(一華に説明する時に実物があった方が良いよね……でも、コンビニで女性向け雑誌を買うのって男の子でも大丈夫かな……?)


凛はそう思い、髪を下ろしてコンビニへと入っていった。


(平常心、正常心だ!…………びくっ!)


雑誌売り場に行こうとすると、成人向け雑誌を手に持った男子高校生達がいた。


(早く買って帰ろう……)


雑誌を手に取ってレジへと向かう。会計はすぐに済ませて袋は要らないからテープでお願いします。と言って普通より早く終わらせて帰ろうとした


しかし、


「ねぇお嬢ちゃん、俺らとちょっと遊ばない?」


「や、やめて下さい!」


(髪を下ろしたの失敗だったかも)


凛は後悔していた。普通にしていても女子と間違われるのに髪を下ろしたら確実に女の子と間違われると知っていたからだ。


「良いじゃん、ちょっとだけだから、ね」


(うぅ、力の差がありすぎて振りほどけない。誰か、助けて!)


「ねぇ君たち、その子を離しなよ」


「なんだてめぇ!ぶっ殺されてぇのか?」


「嫌だよそんなの、だって痛いじゃん」


「おめぇ、調子のんなよ!ごらぁ!」


「辞めた方がいいよ、これ忠告ね」


「うるせぇ!」


「うぐっ……はぁやっちゃったね」


(痛そう……そう言えばこの声って……永井だ。大丈夫かな、痛いよね、殴られたし、んっ?なんか外が騒がしい気がする)


「来たようだね、警察だよ。君たちを引き止められて良かったよ」


「畜生!この野郎!」


「ダメっ!」


凛は一様女の振りをすることにした。

成人向け雑誌を持っていた高校生達が永井を殴ろうとしていたのを声で止めたのだった。


「うわっ!なんだよ、鬱陶しいな」


凛の思惑通り高校生達は殴るのを辞めた。

そこへ警察官が突入してきて高校生達はあっという間に全員捕まってしまった。


凛は、一応知らない人同士の設定なので馴れ馴れしくしない事にした。


「大丈夫ですか?」


永井はレジの置いてある場所に寄りかかって座っていた。


「アハハ、大丈夫だよ。君こそ大丈夫?」


「お陰様で助かりました。有難うございます!」


「気おつけなきゃダメだよ。あと、こんな時間に出歩くのも」


「はい……今、救急箱貸してもらってきますね」


「ありがとね」


凛はコンビニの店員さんに救急箱を貰おうとして立ち上がった。


その時、


「あっ!」


持っていた雑誌を落としてしまったのだった。

更に、その時に開いたページがちょうど安達垣 凛のページだった。


凛はどうしようかと周りをキョロキョロし始めた。(あわわ


「あっ、この安達垣 凛っていうモデルさん可愛いですよね」


永井に悪意がないのは分かっているがなんというか。

危ない。


「アハハ、ソウデスヨネ」


凛は混乱していて言葉がカタコトになっていた。


「大丈夫です…か?……えっ?アレ?……安達垣さん?」


(やばい!バレる!!)


凛はそう思い雑誌を持って家へ走って帰ってしまった。

人助けをしたはずなのに何故か置いてけぼりにされた永井は呆然としていたのだった。


後ほどこの武勇伝は学校で聞かされるのだった。



永井から逃げ帰った凛は家の玄関をくぐった所である考えにたどり着いた。


(あれっ?中条が安達垣とだという事は秘密だけど安達垣がどこにいるかはバレても大丈夫じゃね)とそう考えた


「永井になんか悪いことしたな……」


「お兄ちゃんおかえりー」


「おう、ただいま!」


「今日は髪、下ろしたままなんだね」


「ああ、色々あってな……」


「へぇー」


「興味無さそうだな……」


「だって興味無いもん」


「やめてよ!そういうこと言うの!」


「うふっ、おやすみーお兄ちゃん」


(笑ったな。そう言えば、いつも部屋にこもってあまり出てこないから久しぶりに話したんだな。これからもっと話せるようにしたいな)


「おやすみなー」


そう言うと一華は自分の部屋に行ってしまった。


(あっ!やべえ、言うの忘れてた……)


一華は自分の部屋に1度入るとゲームがひと段落するまで出てこないのでモデルの話をする機会はお預けになった。


(まぁ、明日でもいいもんな。俺も風呂はいって寝よ、明日も忙しそうだし)


こうして、凛の一日は終わったのだった。


毎日大変だな……


そして、新入生を迎える会は明日となった。



今回はちょっと長くなりました。


初めは妹はいない設定だったのですがやっぱり妹は可愛いので入れたいと思い今回から入れさせてもらいました。


書き方のアドバイスや読んだ感想コメントしてくれると嬉しいです。


今回も投稿遅くなってすいませんでした!

少し旅行に行っていたので書く時間がありませんでした。←言い訳


この旅行の経験をもう少し後に使う予定なので取材みたいで良かったです。


ツイッターとかでおすすめして貰えると嬉しいです!


次回もよろしくお願いします!



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