モデル初心者~4~
今日は日曜日、今日は久しぶりに見る雨だ。雨の中出かけるのはめんどくさいので嫌だがビューティクチャー社にいる加宮さんとあって話をする約束があるので仕方なく出かけることにした。
テレビで今日の天気予報を確認すると関東地方は一日中雨で東北地方は曇り、九州地方の方は雨のち曇となっていた。
天気予報が終わりニュースが始まる前、窓の外に少し意識を向けた。
静かに本を読むには落ち着く水の音。しかし、出かけるのが嫌になる不思議な音、方向性によって感じ方が全く異なるこの音に不思議な気持ちになったが今はそんなことを考えるのではなく、出かける準備が先なので窓の外から意識を外しテレビを見ながら手がける準備を進めた。
(会社に行くなら、服装を女物にしないといけないな……)
そう思って途中まで着替えた男物の服を脱ぎ、女物の服を着る。
ーー勿論、下着は男物をはいており下はフリルの着いたズボンである。
普通のジーパンでもいいと思ったが男には女には無いものがあるため少し凸が出来てしまう。これを隠すためのフリルだ。
スカート穿けば良くね?と思うかもしれないがいつ何が起きるか分からない。もし何かの表紙に男物のパンツが見られたらその時点でゲームオーバーなので普段は履かないようにしている。
仕事だったら履くと思われるが……
女子の格好をしていくので髪は下ろしてストレートにしてある。
自分の髪でよく遊んでたため自分でも結べるが今は時間が押していて結ぶ時間が無かったのでいいやと思っていたが……
「やっぱ、少しは結んでおくか、雨の中歩くのに邪魔になりそうだし……」
そう考え直して、ストレートにしていた髪の背中の当たりをゴムで止め、前髪をピンで止めて顔が見えるようにしていた。
こうして準備を終え、秋葉原駅の近くにあるビューティクチャー社に向かうため玄関に向かう、扉を開け外に出ると雨の音がよく聞こえるようになった。今まで窓とか閉めていたのであまり聞こえていなかったがかなりの勢いで雨が降っていたようだ……。
「………」
凛は無言で扉を閉め、リビングに向かって歩き出した。
しかし、仕事の呼び出しなので遅れるわけにはいかず、仕方なく会社に向かうのだった
◇◇◇
秋葉原駅の近くにある会社のビルにつくと入口にある案内窓口に向かった。1、2回来たことはあるがビルが大きすぎてまだ会議室への行き方を覚えていないのだ。
(確かエレベーターに乗って4階まで行くはず……窓口で聞いた時なんか話しにくかったな)
ーー窓口にてーー
窓口にいる一番話しやすそうな人に話しかけたはずだった……
「……あの、会議室への行き方を教えてください」
普通に話せてるはず、大丈夫。ボロは出てない!はず……
なんでこの人は動揺してるんだろう……やっぱり変なのかな?
「えっ、はい。会議室のどこですか?」
えっ、会議室の何だっけ……やばい、聞いてなかった!話しかけたのにいきなり居なくなるのはおかしいし……なら、大体教えてもらえれば!
「えっ、あの。すいませんそこまで聞いてないので大体教えてもらえれば……」
良し!よく言った我が口!
「わ、分かりました。こちらの奥へ行ってもらってエレベーターに乗り、4階まで上がって下さい。そしたら前に看板があるので……」
良かった、一応行き方教えてもらえた……
「……分かりました。ありがとうございます。」
ーー現在ーー
(あはは、話しやすそうだったのは同じコミュ障だったからかな……)
凛は乾いた笑いを浮かべるのだった。
ーーー
ーー
エレベーターが止まり4階に着いたことを教えてくれる。
(えっと、看板はどこだ?……あった!えっと……)
看板を凝視していると後ろから声を掛けられた。
「あのぉ、お困りですか?」
(びくっ!)
いきなり声を掛けられるとめっちゃビックリするのは普段人と話さない人の定めだな……
とりあえず、返事を
「……はい、加宮さんがいる会議室に行きたいんですが……分かりますか?」
「はい!分かります!」
(この人元気だな……でもどっかで聞いた声だ、な……アレ?
「びくっ!」
今度の「びくっ!」は人と普段話してないからではない!
なぜなら……
(どうして橋野さんと華巫女さんがここにいる!……いや、モデルだし居て当然なのか……)
「大丈夫ですか?」
(この人どうしたんだろ?さっきからびくびくしてる)
「……大丈夫です。ありがとうございます。えっと……」
(やばい、どう話せばいいかな……)
「あっ、分かった!貴女新しいモデルさんでしょ!で、私達を雑誌で見たことあって、『やべっ、この人見たことある!』的なことになってるんでしょ!」
(まぁ、新しいモデルなのとこの人見たことあるってのはあってるけど……まぁ、そういうことにしとくか)
「……はい、えっと……ちょっと混乱していて、すいません」
「大丈夫だよっ!これから慣れれば良いから!そんでさ」
「橋野ちゃん」
華巫女が橋野さんの話を止めてくれた。
(助かった。質問されるの辛かった………主に返事に困った)
「ん?どうしたの?」
「その子が困ってるでしょ、さっきの質問に答えてあげなさい」
(ありがとう、華巫女さん!ちゃんと分かってくれてるよ!)
「そうだね、なんだっけ?」
「確か……加宮さんがいる場所を教えてもしいだったと思うのだけれど……」
「あ~、その角を曲がってまっすぐ行くと、第四会議室って書いてある扉があるから、そこにいると思うよ」
「ありがとうございます!」
(良かった、どこ行けばいいか分からなかったから)
行き場所も聞いたし、さっさと逃げよう!そう考えた時……今聞かれていちばん困る事を質問された。
「あの?貴女ののお名前、聞いてもいいでしょうか?」
(……どうしよう。てか、華巫女さんは仲間だと思ってたのにここで敵になるなんて……やばい、まだ名前とか決めてないし、本名出したら学校でバレるし……ん〜〜)
「えっと、その………」
(やばいやばい)
「あっ、いたいた、遅くて見に来ちゃいました~ウフフ」
(何歳だよっ!近所のおばさんか!あ、いや、やっぱおばさn)
最後までいう前に加宮さんにど突かれた。
(えっ?なんでだ?心の声が聞こえたのか!?)
「あっ、加宮さんだ」
「何やってるんですか?……」
加宮さんは二人を見て察した様だった。
「あ~この子まだ芸名的なの考えてないんだよ~ごめんね、そういうの決めてから仲良くなってもらってもいい?」
「そうですか、分かりました。決まったら教えて貰えると助かります。伊紗、行きましょ」
「オーケー、またね~」
(助かった……)
2人はエレベーターに乗って上の階へと向かった。
「ありがとうございます!加宮さんが居なかったらもうバレてたかも知れません……」
「も~、気おつけてね!どうすればバレないかを考える前にバレそうになってどうすんのさ~」
「すいません……」
「まぁいいや、とりあえず会議室行くよ~」
(てか、元々言えばどこの会議室か教えてくれなかった加宮さんのせいじゃ!)
◇◇◇
会議室に入るとホワイトボードに大きく、どうすれば友達にバレないかと会社内で使う名前を決める会議!と書かれていた。
(小学生かよっ!)
名前の付け方がちょっとアレだし、
「さぁ、どんどん決めよう!」
この会議にノリノリの加宮さんも重なり合って
「……はい」
なんか、もうどうでもようなってきた。
「じゃあ、最初に名前決めようか!さっきも困ったでしょ?」
「そうですね、じゃあそれで」
「何か希望はある?」
「少しだけ、『凛』って漢字は入れたいです」
やっぱ、少しは本名入れたいよね。
「そうか、ん~……!良くありそうな感じで『安達垣 凛』はどうかな?」
「いいと思いますよ〜」
(中条が全く感じないので学校ではバレないと思うし、それにあんまり仕事と関係ないし)
「んじゃこれで」
(マジか、こんなんで決めちゃって良いのか俺!?)
「じゃあ次は、どうしたらバレないか、と言う議題です!」
「加宮さん、楽しんでません?」
「え?当たり前じゃん!男の子が女の子のフリしてモデルやるんだよ!前代未聞だよっ!面白くないわけないじゃん!」
(うわぁ、遊びモードだ)
「そうですね……」
「オホン、では意見を出してください」
「えっと、やっぱり髪型じゃないですか?」
「そうだね、学校で使う髪型は一つにまとめて、こっちで使う時に色々やればいいかもね」
「ですね」
(仕事モードに戻った)
「あと、なんかある?」
「特にない気が……」
「だね、どうしよっか……」
考える会なのに2人しか会議に参加していない、それにアイデアも少ししか無くて会議はいきなり止まってしまった。
「もう、どうにかするしかないでしょう!バレませんって、多分……」
仕方ない僕が頑張れば解決する問題だし。頑張るか
「だね、バレないね!……多分よしっ!会議終わりっ!頑張ろう、2人で」
「はい!」
そして、加宮さんは空調がきいて丁度良い会議室を出る前に、
「ああ、そう言えば私、貴方の専属になったから。これから一緒に頑張ろうね!改めて」
「そうですか、こちらこそ改めてよろしくお願いします!」
こうして会議(?)は終わり、加宮さんが出ていったあと、どうしていいか分からなくなり、家に帰ることにした。会議室に知らない人が入ってきても困るし。
外はまだ雨が降っており、出るのは嫌だったが、天気予報で一日中雨なのを思い出して仕方なく帰ることにした。
勿論、お金がないので歩きで
◇◇◇
その後、学校では普通に永井達と話して日々を過ごした。
華巫女さんと橋野さんは気づいていないようだ。多分髪をおろしていたからかもしれない。
今日は髪を三つに分けてまとめたのをクルっとしてなんちゃってボブを作っている。土曜の花見の時にしていた髪型だ。
ともあれ日々は過ぎ、水曜日。雑誌の発売日になった。
その雑誌を買った人達はツイートで新しいモデル、安達垣 凛の事を拡散し一時期凄いことになった。会社に届いた雑誌の感想には凛さんをこれからも使って下さいと言う者があとを絶たず凛は一回目の雑誌デビューにしてトップモデルと同等クラスの支持を得るのだった。
そして、第一回目の雑誌デビューで読者モデルから専属モデルになるのだった。
新入生を迎える会まであと2日
こんなにお祭り騒ぎになったのに新入生を迎える会を乗り切ることは出来るのだろうか!?
少し間が空いてすいません……
少し日付の設定を変えました。
マイナス2日になっていると思います。
確認しといてください。
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参考にしてもっと良い作品を書けるように頑張ります!
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