こちら窓木輪出版株式会社臨時小説制作課
*作者は出版業界どころか仕事なんかまったく知りません。でたらめに書いています。許してください、何でもしますから。(何でもするとは言っていない)。
「何度も言わせるな。いいか、読者は論理的じゃないんだ感情的なんだ。バカなんだよ。バカ相手には感情的に揺さぶる話であればいいんだよ。いつまで作品性とか言っているんだ。まだ学問を捨てられないのかおまえって奴は。それだから売れないんだ・・・」
上司、加津可 山太郎のいつもの小言がはじまった。俺、根倉 飛根尾はただ平謝りに徹していた。この今俺がいるこの職場で考える力や個性は尊重されない。下請けの下請けであり小売業界でもないこの場所では、読者が何を好んで読むかは全くわからない。小売業界は売れる作品の特徴を自社の秘密の情報にして他の連携会社に潰されないようにしているから、この作成側にはもっと大きな会社から出てくる限られたあてにならない情報のみで、学問的な王道的なこれを作っておけばいいという公式のようなものもなく、なんとなくで作らされている。ただ、昔作っていた作者がもう団塊の世代だか何だかであいた枠を埋めるための似たお話を作って売るように言われているのだと俺は思っている。失敗したら、また名前を変えて内容と書き方をちよっと変えてこのジャンルで当たるまで書くだけだ。この上司の言ってることを聞き流しながらそう考えていた。
どうせこの管理職は自分が俺を管理していた仕事していたという証拠を稼ぎ出すために俺のこの作品に文句を言っている。なぜなら前回は『学問的じゃない』とか言っていたからだ。この上司の発言に意味はない。上司に媚びを売って、部下にきつく当たる過去の先輩の真似をして人間関係でなんとなく会社にしがみついて生きているだけで話なんか一回も書いたことのないこいつにはきっと何もわからない。・・・実は俺にもわからない。
「・・・ということだから、もう一回書き直せ。」
小言が終わった。
「はい、わかりました。では完成したらもう一度添削と助言をお願いします。」
俺はタテマエ上決まった返事と礼をして、素早く席に戻った。もう一度書き直しだ。上司のことを馬鹿にしている自分自身も実はたいしたことはいえない。むしろ、自分の悪いところが目についてそれに対して怒っているから、自分に文句いっているようで気分が悪い。そもそもこの会社にいる理由を考えれば何も言えない。
そもそもこの会社に俺がいる理由は、成績が悪く推薦枠も使えず教員採用試験も絶望的だったことから就活を選んだ結果だ。現実に気が付いたのは、友達と旅に出た時、友達が「これ、教授の言ってたあれだ!この業界ではまだ使われてない知識がある!新しくこの知識を導入した宣伝を打てる!」といった時だ。これが俺を変えた。大学では可が取れればいいと思っていて成績は低空飛行。テスト前に無理やり勉強、このくらいしかしていなかったから友人が言ってることに気が付くことはおろか、何を言っているかわからなかった。この時、どこでもいいから就職することを決めた。俺には学問はできないし気づく力も応用する力もないから教えられないと直感した。
結局就職には大学生の基準でいくと、失敗した。会社が何をやっているのか調査して、その会社の空いた穴に見合う人間で、これからその穴を埋めるように成長できますと宣伝する知識なんかなかった。王手の9割は帝大や有名私立大の人間で占められていることも知らなかった。就活が終わってから知った。この時は、人間性を否定されたようで心はボロボロだった。就活中に山手線に飛び込まなかっただけ俺はまだタフだったかもしれない。
俺は倍率が1倍を切っていたこの出版会社を受験して就職した。この出版会社が倍率を一倍を切っていたのは、会社と会社をつないでいる会社が多すぎて広告や会社名として出てこないネームバリューが学生には無い会社であった・・・からだけではなく、団塊の世代が退職した人数に対して新卒で就職を希望した人間が3分の2だったことと大学生にとって流行りではなかったからだ。要は運がよかったんだ。本来なら高卒どまりの俺は少子化で大学にも行けたし就職先もあったということだ。ただ、運が悪かったのは芸術の歴史は天才が作るもので凡人には理解できない作れない世界なのに、なんとなく憧れで才能もないのに大学も就職先もそっちに入ってしまったことだ。これは失敗だったかもしれない。ただ、業種の問題で営業は三か月から半年で営業の必要とされていそうな業界に転職で飛び込める可能性があったがそうじゃないから転職はまず無理だ。話を作る所は後半のほうが手に入る金が多い可能性があって、長年かいているほうが会社側にとって替えが聞きにくくなるしある一定の客に売れるようになるという理由なのか、転職は絶望的だ。もうここでやっていくしかない。しかも、団塊の世代が職場から消えて人口オーナスがかかっている今、消費が渋った先に今いるここが存続するかよくわからなかった。俺の力で再生させてやるという熱い思いはなんとなく失せてしまっていた。こんな自分が一番嫌いだった。一番なりたくない大人になってしまった自分が一番嫌い。
とにかく俺は、中小企業特有の仕事兼任で小説を書く息抜きに、決算書を作ることにした。息抜きにはあまりならなかった。
つまらない仕事に追われてギリギリで勢いでかいたお話を誰が読むんだろうと俺は憂鬱になりそうだった。つまらない人間がおもしろい話をかけるんだろうか・・・。また在庫の山になったらと思うと胃が痛かった。連携会社の知り合いに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。ああ、俺にもアドルフヒトラーやドナルドトランプのように心をとらえる力があれば・・・。でも、嫌われ者にはなりたくない。そんなことをぐるぐる考えながえら事務処理をして、今日の業務は終わった。
「よし飛根尾、今日も飲みに行くぞ。」
上司の加津可が声をかけてきた。
「はい、ご一緒させていただきます。」
俺は素早く返事をした。とりあえず飲み会で、上司に媚びを売っておこう。何かいい話を聞き出せるかもしれない・・・。
そんなこと思いながら会社を後にした。今日は寒い。飲み屋は今日も混雑しているんだろうか?明日のことはわからない。でも、今を精いっぱいやることしか俺にはできない。とにかく上司の飲み会には付き合いで全部出よう。酔った上司の無駄話。これだけが俺だけの楽しみだ。ぶん殴られても、ここにしがみつくんだ。もう、俺には倍率が切れてる会社につぶれるまでしがみつくしかないんだ。
腹をくくって今日も俺は上司に酒を注ぐために飲み屋ののれんをくぐった。
END
ね む い
(謎自分語り)
読んでくれてありがとナス!
この話、自分の今いるつぶれかけサークル出の話が元ネタ出発点だから、出版社に対する考証ガバガバで作ってしまった話でもうわかんねえなこれ。
一人で悩むより、何人かで話し合ってるシーンとか、心情暴露させるシーンのほうが読みやすいかもしれないってはっきりわかんだね。
あそうだ(唐突)自分のいるサークル内の人間関係ぐっちゃぐちゃなんだけど、理由は飲み屋のお兄ちゃんが大学サークルに紛れ込んでハーレムサークルにするために解体しようというパワーが働いているからだゾ。うちのサークルもどっかのヤリサーみたいになりはじめてるってはっきりわかんだね。
(飲み屋で聞き出した先輩の正しいかわからない情報を暴露する後輩の屑)
みんなも気を付けて、どうぞ。
大学内に日本版FBIでも作って、特に女性は集団になって身を守ってどうぞ。
では、さようなら。
他の大学生がパワーゲームに負けないことを祈りながら。
おやすみなさい