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戦争という名の……5

「さて次の手はどうするか……」


魔王の城の一室を借り、ゆったり窓から外の風景を眺めながら休んでいた。窓から見える風景は……まあ暗い森と宙をさ迷っている魔物ぐらいなものだ。魔物の中にはキラキラと風景を彩っているものもいるが、どんな魔物かはよく分からん。魔物などおおよその種やらその特性ぐらいしか知らんからな。


「まさかノープラン?」


背後から聞こえた声に反応して振り返った。すると扉の前にリアが立っていた。

俺が魔王の間に着いた後、色々あり話し合いやらして今はこいつらと協力関係にある。まあなぜそうなったかと言うと、無論それは俺の計画がそうだったから……と言ってしまえばそこまでなのだが……まあそもそも根本的な話だが、俺たちはこれから戦争を起こす迷惑極まるやつらに比べて、そいつらを止めるほどの力がない。だからこうして協力するという形で力を得たというわけだ。


「ノックぐらいしたらどうだ?」


全く。常識だろうが。


「ウルはともかく私はあなたを信用してない」


「そうか。それはいいがノックはしろ」


それとこれとは全く関係ないからな。


「善処する」


だといいがな……


「で? どうなの?」


「さっきお前を含めて全員に話したはずだが?」


そうつい先程まで魔王の間に全員集めてその場で言ってやった。少なくともこいつはちゃんと聞いていたように見えたがな?


「本気? 冗談だと思ってた」


「冗談を言う場面ではなかっただろ? それがわざわざここまで来てお前たちと戦ってまでとなればな」


そんな面倒なドッキリやってられるかバカらしい。


「でも……」


ふむ、不安があるのだろうな。まあなにせ俺の計画は簡単に言えばごり押しだからな。力技とも言う。まあそんなことはどうでもいいが、こいつらにとって俺が信用できない以上、この計画に疑問を持つのも仕方がないかもな。まあその点に関して言えばエルたちも同じだ。アシスはあーだこーだとうるさいしな。


「私たちはわざわざ戦う必要なんかない」


だろうな。こいつらにとってやつらの戦争などどうでもいいことだ。まして勝手に戦って死んでくれれば戦力も削げるし、運が良ければアイゼルが強くなれる。


「だがより多く利得を稼げる」


転生者の魂を運ではなく確実に得られるからな。


「リスクを冒す必要はない」


「リスクか……」


リスクなどない。これは勝てて当たり前のことだからだ。最初から無謀で……だが結局最後には絶対に勝てるだけでしかないものだ。だがまあ……こいつらには俺を信じること自体リスクなのだろうな。


「本当に無謀だと思うか?」


「当たり前」


まあ確かにもう一手あるといいなあとは思うのだがなあ。実際それをどうするか考えていたしな。


「あなたのは無謀でしかない」


そこまで言うか……俺はただやつらが争っている最中に、手薄になった帝都を襲撃しようと言っただけなのだがなあ? 潰すとも言うがな。


「まあ俺はともかくウルのことは信じているのだろう?」


「そう。でもあなたは信じない」


「それで結構。それで? まだ言いたいことはあるか?」


これはもう決まったことだ。話は終わり。これ以上の進展はない。


「……ない」


「では部屋に戻って休むことだ」


なにせ明日から準備があるからな……色々とな。

俺がそう言うとリアはドアを開けて出ていこうと……して立ち止まった。


「……やっぱり1つあった」


ほう?


「なんだ?」


まだ言いたいことがあるのだろうか? 無駄だと分かっているはずだがな。


「あなたがウルとどういう関係なのかとか、どういう目的で動いているかは知らない」


教えるつもりはないからな。ウルにも口止めをしているぐらいだからな。


「でもこれだけは教えて。あなたはウルを絶対に傷つけたりしない?」


フッ、そんなことか……


「もちろんだ」


わざわざ誓うまでもない。なにせあれでも娘だからな。


「そう」


「なんだ? 俺のことを信じる気になったか?」


まあそんなわk……


「……つまらない冗談」


そう言ってバタンと扉を閉めて行ってしまった……ふう、やれやれ。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「ウル」


先程のリアとのやり取りもあって少し不安になったのでウルのいる王の間を訪ねた。


「なんですかお父様?」


まあ確かに昔からお父様って呼んでいたが……なんとなくだが流石にもうやめて欲しい。と、言ったのだが残念ながら拒否された。まあそれはともかく……


「計画をより確実なものにしたいのでな」


「もちろんです。あの女のような不埒なものがいてはなりません」


あの女か……まあいい。所詮今さらでしかない。


「さて確認だが。まず俺たちとお前たちとで手薄になるであろう帝都を襲撃する。迅速にな」


戦争で出払っているやつらが戻ってきたら意味がないからな。まあその頃にはとっくに降伏しているだろうがな。


「はい。しかしそれでは議会などにお父様が帰還なされたことがバレてしまう」


そう。残念ながらウルはもちろん俺の切り札(・・・)が動いたとなれば、俺の存在を勘づかれてしまう可能性が高い。


「そうだ。そこで……」


フッ、最悪な手ではあるが……


「俺たち以外のやつらも巻き込んで有耶無耶にする。そうつまりは……」


「関係のない国々もこの戦争に参加させる……ですね」


周辺の人間、獣人、エルフにドワーフ、魔族に至るまでそれらの国々を巻き込む。木を隠すなら森だろう? ならばそう今から行われる惨劇を企てやつがだれなのか? そしてその目的を隠すなら……ということだ。


「しかしまあそうなっては収拾がつかなくなり、最悪泥沼化する。だからこそここで俺の切り札を……魔帝を使う」


「流石ですお父様。それぞれの建前の方も完璧です」


まあ建前などこじつければいい。無かったとしても作り出せばいい。だからそこはまあ別にどうでもいい。


「しかし懸念がある」


俺が何より不安なのは神々や議会の干渉だ。神々の方は……アウレアは元よりだらけたやつらで、イシュティスは少なくとも今は下界に干渉などしないだろう。で、キュレイネだが……あの紙切れがなんとかするだろ。問題は議会か。


「なにせ半分のやつは俺のことを憎んでるだろうからな」


まあ実際どうかは知らんが、少なくとも1人とても粘着質的にネチネチネチネチしつこいやつがいた記憶がある。


「ウル。アリアはまだ生きてるか?」


「はい、残念ながら」


そうか。となると面倒だな。いつぞやにネチネチと鬱陶しかったから髪を焼いてやったことがある。そしたら髪がどうのこうのとますます鬱陶しくなった。だからまあ? ……とにかく面倒そうだな。

まあそっちはどうしようもないし、今はこの戦争で確実に勝てるように準備をするべきだろうな……

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