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竜という名の……2

「おう。お前たちも一週間ぶりだな」


「のんきなこと言ってる場合じゃないよシラカゼ君!! ドラゴンが墜ちてきたんだ」


「知ってるけど?」


「そうなんだ……ってふぇ?」


実際墜ちてくところを見てたしな。


「じゃ、じゃあどうすればいい?」


どうするもなにも……


「どうもしないが?」


「え……? でも町の人が……」


「シラカゼさん……」


……バカなやつらだ。


「助けたいなら好きにしろ。だが本来の目的を忘れるな」


まったく今はそれよりも……


「人よりも……人の命を犠牲にしてまで叶えたい願いなんてないよ!!」


願い……なるほど、あの紙は願いとやらでこいつらをつったのか……


「……では聞くが、お前はなぜここにいるんだ? 転生者を殺しにきたんじゃないのか?」


「それは……」


いつものこととはいえ返答にフィリユスは困っていた。ふむ、もしかしてこいつ……


「まあいい。それにだフィリユス? 俺は助けたいなら好きにしろと言ったな? 行きたいなら行ってこい」


「分かった……」


そう言ってフィリユスは助けに行こうと駆け出……


「ごめんシラカゼ君……」


そうとしたが一度こっちを振り返りそう言った。そして今度こそ助けに走っていった。やれやれだな。


「……おいエル」


「……なんだ? 急に名前を呼んだということは……やっと俺のものに「そんなわけないだろうが変態。キモいんだよ」


本当にブレないやつだな。ブレ無さすぎてびっくりだ。


「お前はあのバカの方に行け」


「……いいのかシラカゼ?」


「ああ、あのバカを1人で放っておくと面倒そうだ。あと行く前にギルドに寄っていけ。これだけのさわぎだクエストになってるだろ」


貰えるものは貰うのは当然だ。


「抜け目ないな」


「余計なことを言っていないで早く行け。終わったら宿で待ってろ」


俺がそう言うと同時にエルの姿はその場からいなくなった。


「さてリリィお前もフィリユスのところに行っていいぞ」


しかしリリィは首を横に振った。


「私はシラカゼさんといます。人数的にそのほうがいいですから」


「別に俺1人でもいいぞ? お前も行きたいんだろ?」


実際俺1人でも十分だからな。


「……本音を言うと怖いんです」


怖い……か……


「シラカゼさんの言う通りです。私たちは目的を果たさなければいけません。少なくても私は私自身の願いを叶えたい。それは例え他人を犠牲にしてもです……ですが……もし今フィルさんについていってその人たちを見てしまったらきっと私は転生者を……」


殺せない……か。なるほど人間らしい考え方だ。同族を助けたい、殺したくない……だがそう思いつつも人間は自分のために同族を殺してしまう生き物だ。


「フッ……」


「すみません。こんな心持ちじゃいけませんよね?」


心持ちねえ……殺すことに心持ちが必要とは思わん。それは理性に縛られているからだろうな。例えば同じ創造物の動物なんかは本能のままに生きている。自分が害されるまたは他の生き物を害する場合に躊躇などしない。それは生きることに必死だからだ。

そう考えると人間というのは本当に面倒な生き物だ。


「別にいいと思うぞ。俺はお前もフィルも間違っているとは思わん」


だがまあ見ていて退屈はしない……それが良いとも悪いとも限らないがな。


「ですがシラカゼさん。あのままだとフィルさんはいつか私たちを止めようとしますよ?」


「だろうな。だが安心しろ最後にはうまくいく。そのためにあの紙は俺に頼んできたんだからな。なあモコ?」


「きゅ~」


「さてその話はともかくとして行くぞ?」


「行くってどこへですか?」


「面倒事をポイ捨てして行きやがったやつのところだ」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「はあはあはあ……」


走る走るとにかく走る。能力を使えばとっくに着いているだろうけど、使っているところを見られると大変なことになるから使わない。見られないようにするほどの技量は俺にはない……


「はあはあ……」


しばらく走っているとドラゴンの巨体が見えてきた。そばまで行くと……


「遅かったなフィリユス」


エル君がいた……ふぇ!?


「なんでいるの!?」


俺の方が先に行ったのに……


「単純に俺の方が早かったからだな。あとギルドに寄って正式にクエストとして救助の仕事を受けてきた」


……ギルドってここからもう少し行ったところだよね? ということはこの子は一度ギルドまで行ってここに戻ってきたということ? 早すぎるよ!!


「どうでもいいがお前も早く働け」


そう言うエル君は俺と話しながらも崩れた家の残骸を退けていく。


「う、うん」


俺も急いでそれに加わった。そこからしばらくは瓦礫を撤去したり埋まってる人を救助したりした。


「さてこのドラゴンはどうすっかねえ……」


ある程度瓦礫が片付くと一緒に作業をしていた人がそう言った。

ドラゴンの体はとても大きい。とてもじゃないけどそのまま引っ張っていくなんて無理だ。


「切って運ぶしかねえだろうよ」


「行くぞフィリユス」


「うん」


とりあえず少しずつ切っていく。ドラゴンは表面の鱗も硬いけど中の肉も硬い。おかけで少しずつしか刃が進んでいかない。

そしてようやく切り分けた部位を持ち上げて集めているところに持っていく。とりあえず広場に集めているらしい。

そこまで歩いていくのは大変だった。体はドラゴンの血がべっとりと着いているしボロボロで正直かなり疲れた。しかしそんなことは言っていられない。シラカゼ君にもあんなこと言っちゃたし……とにかく頑張らなきゃ。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「さてあそこだな」


俺とリリィは茂みに身を隠しながら湖を見た。ちなみにここは町から近い場所にある。


「本当にいました」


湖の中には人がいた。しかも全裸だ。体に水をかけて洗っている。


「ああ俺も驚いた」


堂々と気配を隠すこともなく、町の近くの湖でのんきに体を洗っているんだからな。挑発しているのかそれともただ無関心なのか……まあどっちでもいい。バカなことには変わりはない。


「あのシラカゼさん……」


「なんだ?」


「あの方女性のようなので、その……そんなに見たら……」


「はあ? お前は何を言ってるんだ?」


まったく……


「カチャ」


後ろのほう……それも頭の近くでそんな音がした。


「こそこそしてっから何かと思えば女2人か」


後ろを振り向くとさっきまで水浴びしていた女がいた。やはり全裸で。


「俺は男だ」


「ああ? ……そうかよ悪かったな? 男にしてはひょろかったんでな?」


「女の癖に堂々と全裸を見せてくるお前に言われたくない」


「はっ、なに言ってんだてめえ。寝言は寝て言え。俺は男だ」


……こいつ何言ってんだ? どう見ても女だろ。ああ、なるほど。


「お前やっぱりバカだな」


「ちょっ、シラカゼさん」


「……いい度胸してんじゃねえか。てめえの脳天をぶちまけてやんよ」


やはりバカだなこいつ。


「じゃあな」


女はそう言うと引き金を引いた。

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