今、手を放したら引込めてしまうだろう。私は、毛布の中で、ゴソゴソと下着を取る。引込めた手を、もう一度手繰寄せて、ジャージーを掻潜らせ、胸の上に置く。それは、あまりにも美しくない、無様な行為だ。そのあいだに、あらぬ想像をして強張ってしまうかもしれない。今のしなやかさが失われては、美しく終らせることはできない。私は、そう諦めて、しなやかになっている指を、彼女自身の唇にのせて、更に、その上に、自分の唇を重ねた。指をのけて、思切くちづけをし、そして、中指と薬指を、軽く、唇に挟んだ。坊は、唇を吸われるときから、目を開いて、不思議そうに見ていた。私は、再び、頭を、枕に沈めた。もう、手を放していた。毛布を上げて、「坊、お姉ちゃんの上にいらっしゃい。」と言ったら、素直に、私の上でうつぶせになった。生際は、遙か下にあって、頬を、胸に、完全に埋めた。「どう、お姉ちゃんのおっぱい大きいでしょう。」「とても大きいです。」「坊は、大きなおっぱいが羨ましい?」「羨ましいです。」「じゃ、坊は、おっぱいが大きくなりたい?」「なりたいです。」「そうねえ、坊はちっちゃいものねえ。男の子みたいだものねえ。私、おかしくなっちゃった。」彼女の頭をなでつつ、言葉を考えた。「でも大丈夫よ!又、大きくなる時期があるから。」「良いんです、私は。」「今まで、好きな人がいないの?」「いません。」「どうして?坊みたいな子を、男の子が放っておかないでしょう。」「放っておいてくれます、滋子お姉ちゃんと違って。おっぱいが男みたいなお陰です。」
5/18(水)の記事は続きます。[編者]
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