5/16(月)
神様、刺が、私の肉体にささっています。願わくは、これを去らせて下さい。一週間も十日も、このようには暮せません。由加里を愛するゆえに、すっかり窶れてしましました。伶門の刺が、今こそ、自分の刺として感じられます。でも、すべてが、そうなるようになっていたと思われてなりません。せめて、安らかな眠だけでも与えて下さい。このようでは、とても辛くありますから。
坊が、昨日引越してきた。憎むべき物を着ていた。今、仕事に行っている。
今月の五日、それは、鎌倉に行った日、その宿命の日、坊は、新しい服を着て帰った。運動靴も、新しい物を穿いて帰った。古い運動靴は、リュックサックに入れた。手には、手提袋を持った。中には、三枚の、新しい服が入っていた。リュックサックには、私が使っているのと同じ、ローラメイの小瓶も入れた。「この前のは気に入らなかった?ちょっと、子供っぽかったかもしれないわね。これは、お姉ちゃんのと同じ。姉妹同士、同じが良いわね。」と言って、真赤に照れている彼女の、風呂あがりのみみたぶに付けてやった。着てきた服は、洗濯しておくからと言って取上げた。私が、ジョイナスから、袋に入れて、持って帰ってきた、あの、白い、ぺらぺらした物。洗濯せずに処分した。彼女には、乾燥機を使わなかったので、干したときに、風に飛ばされてなくなったと言った。初から返す気はなかった。捨てる前に、自分で着てみた。
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