結局、その四枚を見付けて安心したら、草臥れたので、もう、探す気力がなかった。坊は、服を買ってもらうことを、当然ためらった。納得させるのに、主な方の口実を使った。姉妹になった記念に何か買ってあげたいのだと。下着のことは言出せなかった。最初に考付いたときには、筋が通っていて、妙案のように思われたけれど、我ながら、同じ下着を着けることが姉妹の証だとは、不自然な理屈に思えてきた。一緒に暮して、徐々に感化すれば、自分から気にするようになる。急に、下着を買おうと言って、変に思われるかもしれない。今日は、応急処置として、元栓を閉めておく。今着ている物なら、絶対に見られない。かわりに、お揃の運動靴を買った。彼女のは古くなっていた。でも、お揃の下着への布石の意味が大きかった。
イベリアに寄ったら、やっぱり休だったので、元町に戻って、この前と同じラムチャップを食べた。タクシーで帰宅。汗をかいたでしょうと、風呂の支度。坊が帰っていったのは九時半。それが先週の木曜日のこと。それから、九日間、私は悶々として暮している。坊は、その後、八日の日曜日にも来た。明日引越してくる。
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