5/14(土)
ベティ・クレアズで坊の下着を買う。横浜で、横須賀線の電車を降りるまでは、その考だった。京浜東北線のプラットフォームまで上って、気が変った。というよりも、当りまえの事実に、又々気付いた。この日は、衝撃続で、よっぽどぼんやりしていたに違ない。買物は横浜でしよう。ベティ・クレアズに行ったって、坊に合う物などありはしない。
坊に、服を買与える口実は、鎌倉駅に行タクシーの中で考えた。もうすぐ誕生日だ。といっても二十七日だから、三週間も先のことなので、無理にも「もうすぐ誕生日だから。」と言うのである。それから、この方が主なのだけれど、今日は、姉妹になった、大切な日だから、お揃の下着を買って、これから、ずっと、同じ物を身に着けていようと言う。それを姉妹である証にしようと。
まずは、デパートから始めた。半袖の、襟に、デザインを施した物はいくらもあった。注文に適う物が、全然見つからない。求めるのは、デザインよりも、きゃしゃな坊の首から下を隠してくれる物。屈んでも、首の所で、しっかり閉じている物。ブラウス類は、首回がゆったりしすぎて、普通に着た状態でも、鎖骨が出てしまう。今着ている物よりは、ずっと良いかもしれないけれども、それでは駄目だ。ティーシャツ、ポロシャツでも、まだ心もとない。特別な贈物にもならない。散々探した挙句に、ジョイナスで見付けた詰襟ので、ブラウスというか、シャツというか、あまり見掛けないデザインのを、坊に合いそうなので、試してみたら、ぴったりだった。ボタンを、全部留めれば、喉頸まで来る。一番上のを外しても、鎖骨は隠れる。二時間探して、収穫は、それだけ。在庫品が、ほかに三枚あったので、四枚とも全部買った。うち、二枚が薄紫で、一枚が水色で、一枚が白。試しぎした薄紫のを、そのまま着て帰ることにして、もと着ていた物は、袋に入れてもらって、私が持った。あとは、あるとすればワイシャツ類だけれど、襟がVの字になったのは駄目だから、学生が着るような物しか残らない。
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