なぜ警戒しないのだろう。ずっと厳重にして良かりそうなのに。今まで、何人の人に覗かれたろうか。靴紐を結ぶたびに、見られる危険はあったはず。さっきは、リュックサックを背負っていたから見えなかったものの。でも、私だって、今日になって、初て知ったのだ。昨日まで、長袖のブラウスだたから。そうだ。この薄着をしない限、多分大丈夫なのだ。それは、神社の石段をおりながらも考えたことではないか。長袖を着るときでも、襟を、ちゃんとボタンで留める。半袖の場合は、今みたいなシャツは絶対禁物。それ位のこと、この子は気が付かないのかしら。警戒していないからだ。覗かれているとは、夢にも思っていない。それにしても、この半袖を着たのは何回目だろう。先週も、今日と同じ位暑い日が、確、何日か続けて、今日位暑い日があった。すると、先週も、これを着たのだろう。そして、人前で屈んだり、しゃがんだりしたのだろう。あの、黒い盛りあがりに、何本も生えた、ほそい毛まで見られたのだろう。何という!
この子は、そこまで恥じていないのかしら。銭湯に通うとは、何事だろう。何という神経だろう。それとも、銭湯など嘘か。いや、アパートに風呂がないのなら、銭湯に行くしかない。第一、嘘をついて何になる。やっぱり、銭湯に通うのだろう。みんなに見せのか。週に二回、好奇の目に晒されるのか。みんな、どんな目で見るのだろう。アレを見られずにすます方法があるだろうか。でも、同性に見られるだけなら、まだ我慢できる。番台には、男が座るのではないだろ うか。まさか。この子だって、そのような湯屋には行かないだろうけれど。
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