5/5(木)
去年の今月、私が弾いて、あなたが歌った。
五月。好き五月、
花はほころぶ。
こころの花も、
そっとほころび。
五月、ああ五月。
鳥がほころぶ。
人はしのび音、
きみをくどきて、
'83/5/5、私は弾いて、私が歌う。心の中で、貴方の声で歌うのです。正しく歌っているとも、間違って歌っているとも分りません。ドイツ語を教えて頂けば良かった。読みかただけでも。由加里なら、二度、貴方が歌えば、耳に残ったかもしれない。私は、貴方の訳を追って弾くだけです。
あなた!私は、どんなに、あなたを愛していることでしょう!日が経つに連れて、私の恋は激しくなる一方なのです。だのに、ああ、私は、どんなに、貴方を苦しめたことでしょう!私が悪かった。私は、思慮のたりない女です。みっともない女です。許して下さいね。あなたは真実な人、誠実な人、私には勿体ない人です。今更のように思知って、私は、本当に馬鹿でした。今こそ、貴方の痛が分りました。それを、貴方という、誠実な人は、その、とても言いにくい事を、口にして下さった。貴方に、そのような思をさせた私は、ああ、何という、箸にも棒にもかからない、馬鹿な、浅ましい、下品な女、恥ずかしい女。
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
http://db.tt/9camnmzj
目次はこちら
http://db.tt/fsQ61YjO