今日、一緒に、ホロヴィッツのレコードを、何枚か聴きました。六十年代のスタジオ録音と、カーネギー・ホールで、十二年振におこなったリサイタルのレコードなどです。昨日、坊に、例の話をしたら、是非行きたいと言うので(時間の都合が付かないと言っても、こればかりは、首に、縄を付けても連れていきますが!)、どのような物を聴きに行こうとしているのか、説明かたがた、レコードを聴きました。午後は、これに費しました。私も、ホロヴィッツのレコードは久しぶりでした。あなたとも、聴きませんでしたね。一枚も聴いていません。あなたは、あまり、ピアノに関心がなくて、正真正銘のワーグナー気違だし、私は、その反対で、そういう、がんがんひゅるるんする物は聴かないしで、考えてみると、私達、音楽の趣味が、全然違っていますね。もん君、さすがに、愛の死は、うまく弾けていたわよ?でも、何だか、あまり口にしたくない曲名ね。連弾も、もっとしたかった。白と黒、懐しいわね。貴方も、良い曲だって練習してくれた。初の章で飽きちゃったけれど。プーランクは、頭から馬鹿にして掛って。でも、あなたが、とっても下手な声で、一生懸命歌ってくれるのを聴くのが一番楽しかった。よく聴いてみると、皆が言うだけあって、ホロヴィッツという人は、偉いピアニストだと思いました。私は、エミール・ギレリスに惚込んでいますので、ベートーベンは勿論ですけれども、ショパンのロ短調ソナタでも、英雄ポロネーズだって、彼以上のはないと惚込んで(どこの、お馬鹿な評論家先生で しょう、彼のショパンが垢抜けないとか、田舎臭いとか言ったのは。)、このごろは、彼の真似なんかしているものですから、ホロヴィッツと聞くと、少し馬鹿にしていました。今日、坊とじっくり聴いて、聴きかたが、少し変って、何となく分ってきたような気がしました。今度、オカダヤに行って、輸入盤があったら、彼の、若いときの録音を聴いてみたくなりました。そのときは、坊と待合せて、今度は、是非、パエイリャのお店が営業していてほしい。あ、そう、それから、ホロヴィッツのコンサートのときは、二日か三日、ホテルに泊って、東京見物をする約束をしました。偉そうなことを言っているくせに、私も、実は、良く知らないのです。新宿御苑にも行ったことがないのです。瑞雲棚引く千代田城とやらは、車の中から、二重橋を、ちらりと見たばかりです。東京駅は、いつも、上野に行く途中で、いくつか手前で止るプラットホームの事でしかありません。降りたこともありません。ホロヴィッツと同じで、東京と聞くと、やっぱり、少し、いえ、とても馬鹿にしていました。相変らず"haughty and naughty" ですね。naughty なところは、相手がいないので、このごろ、発揮する機会がありませんけれど、でも、坊は、ちょっと迷惑しているかもしれません!ディズニーランドが開園したというので、行く約束です。その前に、明日は鎌倉です。大変です!もう三時です!
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