私は、又思出して、厭な気分になりましたけれど、坊がいるので、何でもないふうに装って、封筒を抜取って、買物袋の中に入れました。「私、これを冷蔵庫に入れてくるから、坊、テテをお願ね。」と言って、材料を冷蔵庫にしまって、封筒は、開けずに、そのまま、屑籠に入れました。だから、何が書いてあったのかも知りません。本当よ?でも、その人、そもそも、事務所で、何と言ってきたか、どんな言葉で、私に言寄ってきたか、私が、それを言わないものだから、心配なんでしょう。そのうちに言いますよ!もん君には、何も隠しません。私、もん君を愛していますから。もん君しか愛せませんから、なーんて。坊も、もう、テテは扱慣れていて、「テテマロ!駄目!Wait!おハンド。」などと言ってからかうようになりましたが、やはり、顔を嘗回されるのには、まだ閉口するらしくあります。出てみると、もう、テテを繋終えていました。気が付いてみると、彼女は、今日、軍手をはめていません。今日は暑過ぎて、かえって目立ってしまうでしょう。私の前では、もう、普段から、素手で通していますけれど、外出するときには、やはり、いつも軍手をしていした。私は、なるべく、視線を向けないようにしていますものの、食事のときとか、朗読のときとか、向いあって座ったときに、たまたま、目が、その方に行ったりしますと、彼女は、指を丸めこんで、拳を作ります。それが癖のようです、かわいそうに。この続は、また、明日書きます。今度、坊が、泊りにきます。あいらう゛ゆう。Aisiteimasu. Anatano Shigeko.
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
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