4/21(木)
私のあなた
おもては雨の音です。今夜のような夜は眠れない。あなたのことを考えます。頭を、心を、私のあなたで一杯にします。あなたの滋子が、私の伶門で輾転 反側なのに、滋子の君子様は如何。もしや、安らかにお眠ではありますまいね。明けても暮れても、あなたの私を思ってくれてかしら。
馬鹿だ、私。分っていることだもの。でも、愚痴をこぼす位、良いでしょう!あなたの滋子は、いつも一人なのです。眠れないのです。寂しいからだと 思っていました。でも、そうじゃない。私は寂しくなんかありません。常に、あなたを感じています。だって、そのためだったのですもの。
三時半です。今夜も、このまま眠れないのてしょうか。辛いけれど、明日行けば、又、二日は休めます。
昨日、事務所の人に、交際を申込まれました。上手に断るのは難しいのよ?明日も、顔を合せるのだし。勿論、眠れないのは、その所為ではありませんけ れど。これは前からです。私は子供のときから、眠れなくなる癖があるのです。でも、あなたに会えなくなって、癖が、とても酷くなりました。けれど、これも 愚痴ですね。下に行って、レコードでも聴きます。Tu pure, o principe.あなたも眠らないでね。私と居るのですよ。私は、あなたを愛しているのです。あなたは平気で、女に、こんなことを言わせるのですね。で も、もう、二度と、貴方よりほかの人は愛せないのです。滋子は、貴方を愛しています。
あなたの私
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
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