手許に切符が一枚。二枚あったうちの一枚です。あとの一枚は、大森のお家に忘れてきたようです。緑色で、大きく、YEHUDI MENUHINと入った、Special Concert と銘打った切符です。緑字の左上に、日本語で、「田崎真珠メニューインコンサート」となっている。これも、何の切符か覚えていますね。部分部分、茶色にそまっています、私の色に。一階の席だとは読取れます。でも、何列の何番かは分らなくなってしまいました。「’82」と、小さく書いて、その横に、大きな字 で「1 /26」、そして、又、小さく「(金 」「7: 」。きっと、「11/26」「(金)」「7:00」と書いてあったのでしょう。茶色に滲んで、 読めないのです。緑色と茶色が、何だか、奇妙な取りあわせです。一方、メニューヒンなら、あの晩、ベートーベンのを弾いて帰ったそうよ?私も、バルトックより、ベートーベンの方が大好きなのです。もう一回、最後に、貴方と聴きたかった。“例のコンサートには行けそうもないな。Turns out I've got my own leg to break. Pity to miss hearing Menuhin.だからって、チケットを無駄にすることはないよ。万里子か友美を誘って行くんだね。”でも、もう、二度と聴くことはないでしょうけれど。 スペイン料理のお店に入ったら、いきなり、おじさんに、「おい、レイ、遅れるときは電話くれよー。ひやひやしたよー。」って怒られたのも懐しい。そうだ。 一度、由加里を連れていこうかしら。おじさんの方では、一々、去年の私の記憶なんか保っていないわね、きっと。堂々と入っていけば良い。そう思ったら楽し みだな。本当にそうだ、もん君と食べたパエイリャを食べに行こう!ああ、何だか眠くなってきちゃった。9:12分です。二楽章が聴いていてとても眠くなり ました。とても良い心地です。又続けます。
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
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