親愛なる叔父さん、これだけの枚数を読んで下さったのなら、既に僕の精神構造を理解して貰えた事でしょう;この長い手紙の目的、半分はそれなのです。もう半分、それは直に扱います。
僕は知らなければならなかった!自分の目で見なければならなかった。
僕の心的葛藤を想像して頂きましょう;全く、どうやって、男が婚約者に、彼が何よりも愛し尊敬する人に、目の前で服を脱いで呉れるように要請するのでしょう。どうやって、彼は彼女に、体を[つぶさに見]scrutinizeさせて呉れるように頼むのでしょう。そして、僕にはそれが生か死かでした。僕は彼女の体をscrutinizeしなければならなかった;一平方インチも余さずに。するまで僕は思考する事が出来なかった。
しかし彼女にそれを頼む事は出来ませんでした。一再ならず僕は頼む決心をしました。頼む前に、彼女の目に阻まれました。それはまるで彼女が僕の考えを知っていて、目で僕に哀願するかのようでした:どうかそんな頼み事をしないでと。彼女の目!あの信じがたく美しい目!僕は彼女に頼めませんでした。水中で水着が取れたかと、尋ねる事が出来ませんでした。
親愛なる叔父さん。罪の中でも最も醜悪なものを、いよいよ僕は告白すべき時が来たようです。さっきは、その告白を念頭に置いて、これらのページの目的の半分と云ったのです。間違いました。それが目的の全てです。そして、僕が告白し終えたら、僕は歴史に名を留める事でしょう:婚約者に対して最も破廉恥、最も[にく]悪むべき、最も異常な罪を犯した男として。神よ我が魂を救い給え、僕は彼女の神聖さを踏みにじりました。僕は薬を使って彼女を眠らせました。彼女を水着姿で見た二十日後、土曜日のことです。二十日です、叔父さん。その二十日間の僕の状態は描写する必要が無いと考えます。出来ません、どうせ。
その土曜日の午後、僕達はこの大森の家の僕の部屋 ─ 僕が今これらの言葉をタイプしている、正にこの部屋 ─ ここで軽い食事をしました。細かい粉に[ひ]碾いた睡眠薬を彼女のスープに入れ、サンドウィッチに塗りました。薬の効果は[てきめん]覿面に現れ、既に食べ終える前から、食べ物を持ったまま、ぼうっとしていました。
遺書はつづきます。[編者]
伶門のタイプライタ原稿に忠実な翻字は以下で
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